講師の紹介
宮田伊津美(みやたいつみ)さん
1946年生まれ。広島大学文学部史学科国史専攻卒。1969年から2005年3月まで岩国徴古館勤務。途中1年間、教育委員会社会教育課文化振興室長。岩国徴古館の所蔵する資料の整理・保存にあたり、岩国地方の歴史を研究。近隣の市町史を執筆。 著書… 『防長歴史探訪』(五)、『古刹永興寺』
図録…『近世の岩国の和歌展』、『岩国の俳句』、『錦帯橋展』、『岩国の焼物』他
史料集…『紙方万覚書』、『坂本家文書』
共著…『岩国市史』、『和木町史』、『大畠町史』、『美和町史』
論文…『岩国藩と朝鮮通信使』他多数
宮田さんからのメッセージ〜市民歴史講座開催の動機
岩国市が県下で初めて育鵬社版歴史教科書を採択したことによって、教科書問題に関わるようになった。その教科書を細かく見ていくと、色々と問題があることがわかった。
図書館で岩国市が独自に作っている副教材『わたしたちの岩国』を何気なく手にとって頁をめくった時、育鵬社版教科書とは異なる体臭のするものではあるが、多くの問題点が見られた。自分の孫もこの教材を使っているので、すぐに教育委員会に間違いを指摘した。翌年に改訂版を見ると、少しは改められていたが、まだ問題点は残っており、指摘外のものもあり、現状を考えると、市教委に訂正を求めるよりも自分が、訂正のための史資料を提供する場を作った方がよい、と判断した。岩国徴古館で、学芸員として研究の場を与えられてきたことに対する、市民への返礼でもあろうと思った。『わたしたちの岩国』に載っている事象をできるだけ史料の裏付けを示しながら話を進めたいと思っている。
なお、自分に残されている時間から考えて、これが最後の講座になると考えている。