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梶ケ森連山かじがもりれんざん之図(全図)



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(部分図) (紫花人形)




紙本墨画着色屏風。昭和52年。2曲1隻。縦66cm 横180cm。








梶ケ森の山岳を描いた彩色山水画屏風です。緑濃い山肌に黒い墨色が強調された稜線の樹木が際だっ画面です。最初に水墨画として何度も筆を重ねて山肌の量感を暈(ボカ)さず判然描いています。山岳を細かく点描し薄く彩色を重ねて穏やかな景感を表現しています。春霞の様な余白は写実的な雲界の表現として古来から用いられた技法です。遠景の連山と近景の山岳との対比が画面に距離感と立体感を感じる景観となっています。左手前の近景にも里山の樹木を描いた心和む画面構成です。 この作品は一度だけ展覧会で公開された事があります。屏風が背景となって歌舞伎舞踊「道成寺」で鼓を打つ白拍子の紫花人形(題名=野火)が屏風の前に展示されていました。


世阿弥の「初心忘るべからず」とは、師の事を指しています。自分がこれから生きていくのに、最も重大な事を教えてくれた人、是なくしては生きていけない知恵を教えてくれた人、其れが師匠であり初心という事です。其れを忘れてはならぬという事です。

人と共に、泣き悲しむ事が出来なくてはなりません。山を見れば山となり、鳥を見れば鳥と鳴く。そこには、欲望というものがありません、純粋な魂だけなのです。人のことに、泣き喜ぶ、この事を教えられました。その人の身になることが、出来るのです。これは魂の触れあいなのです。だから自分と関係つけて喜びや悲しみを共にしたいのです。

美は放物線の頂点のように一点に集まります。それは瞬間の時です。そして永遠に停止した形をとります。