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     紫花人形 (序の章=白梅.)


KISEI  YUKARIHANA    MUSEUM  OF  ART  ;


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先ず展覧会場に来て下さったお客さまに感謝の挨拶を申し上げています。 背景に白梅の屏風を背に「白梅」と題名が付けられました。 琴を奏でる娘の姿は華やかな生活で仕合わせに暮らしていた作者の想い出から物語が始まっています。作品は女性の運命の展開を多様な人物の所作として場面毎に人形を変えて表現しています。女性の姿で世の無常と素直で無垢な魂の美しさを来客者に人形の側に立ち作者は懸命に語り話していました。
掲示して在る写真や文章は編者が展覧会場で作者の傍らで観聴して記録した断片です。作者の仰ぎ観た望月(願いの姿)に思いを馳せて下さい。展覧会は絵画と人形の第7回紫花作品展(昭和54年1月)で、紫花人形が展示公開された最終回と成りました。
人形は女性の優しく健気(ケナゲ)な物語に成っています。先ずは序の章、本題の章、終わりの章へと順に観て下さい。舞台となった台座の傍らに長さ1寸(3センチ)程の薄い杉板に副題に相応しい題名が墨書されて在りました。


人形は哀れな女性の運命を表現しています。私は華やかなものより静かなものが好きです。瞬間々々に美しい考えをし、柔軟な考え方をする事が大切です。貧しさに耐えながら日本の美しさを守りたいと生涯を懸けています。日本の女性は可愛らしかったのです。嘘偽りの無い無垢にそのままの姿がこうでした。女性は盡くしきって仕合せを感じていました。 人生で大切な事は相会う事です。人と人の素晴らしい会合だけが人生で尊い事ではないでしょうか。物や文章でも真実は伝わりますがその瞬間に会う事の真実は何も要りません。真実が此処にあるという事を大切にして下さい。 人形には過去の夢が魂として宿っています。それは人間に対する愛情でもあり、ものの哀れを知った女性の生命を表現しています。

人形に表現しているのは「言葉」です。人と同じ言葉を遣い、言葉に泣き感動する事です。人を憶ったり、懐かしんだりする心が人形を創っているのです。

人形は知識で抑えても解りません。弱い女性の願いが一つの心に訴えているのです。純粋で優しい心が有れば誰にでも解って貰えると思います。

開示されている人形は一人の女性の表現でもあります。男性の心が移り行く故に女性の心が移っているのです。人を信じる事、感謝する心が無かったら理解出来ません。