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  画家がか 之像

KISEI  YUKARIHANA    MUSEUM  OF  ART    ;



表紙
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(多面像)


石膏着色。 昭和34年。 1基。30 cm。






ロダンやブルーデルを尊敬した作者が、西洋彫刻を学び日本人の彫刻を意識して制作しています。 彫刻を本格的に始めたのは戦後の事でした、 その時には日本画家として既に大成していましたが、 彫刻は画家として領域を深めるものと考えていました。画家であり彫刻家である事はルネサンス時代の芸術家にとっては珍しい事ではなく、我が国では稀有な存在でしょう。平面的な絵画に彫刻的な立体感を表現した作品と成っています。
この像は日本人離れした深い骨格の持ち主であった、友人を連想して制作したものです。作品は粘土を粗く優しく緻密に扱っています。 顔面の筋肉、太い首筋に人体解剖を熟知していた作者の綿密で大胆な一面が窺えられます。
彫刻の制作過程でも九分九厘(クブクリン)まで完成しても、残り1厘の過程での遂行が肝要であると語っていました。


作品が言葉に変わってくるような作品でないと、人に感銘を与えません。 彫刻は言葉になりにくいですが、私の作品も言葉に変わるようにと願っています。一番 弱い言葉が、一番強く人々の心に残るようです。






ロダンは苦悩の人です。人間の姿に、人類の苦悩を表現しています。 ブルーデルは、大きな肉片が集まって、散って消え、何も残っていません。限界を感じるぎりぎりの表現です。

彫刻特有の量から成るデッサンの忍耐強い追求によって、素晴らしい夢のある空間の構築に接することが出来るのである。 何か部屋の中に、足りなかってものが満たされたようです。存在感で室内の空気が変わって来ます。其れが何かという事を勉強せねばなりません。机の上に良きものを置いただけで何かが伝ってきます。この感覚がないと落ち着きません。 芸術は一つの事を深めていく事です、全ての作品はその投影です。

彫刻作品には、人間をモデルにしたものが多い。人間の肢体は他と比較にならぬくらいに美しいものである。それは内に燃え盛る不思議な炎が見えるからである。