陣門流本山本禅寺

陣門流本山本禅寺

光了山と号する。現在法華宗(陣門流)大本山。本尊は1尺5寸の金銅釈迦如来像(元本国寺像)。
 ※現在は法華宗(陣門流)別院とも称する。 → 越後三条本成寺
応永13年(1406)日陣上人、本国寺日伝上人(日陣上人の法兄)との法論の末分立し、弟子日登上人をして本禅寺を四条堀川に建立する。
天文5年(1536)天文法華の乱で灰燼に帰し、同9年本成寺日覚上人、西陣桜井町に堂宇を再建する。
天正19年(1592)秀吉の命で、現在地に移転。仏殿、方丈、庫裏、寶蔵等造営。
延宝3年(1675)焼失、延宝5年諸堂を再建。
 「新編法華霊場記・本禅寺」:貞享2年(1685)で 再建当時の様子が分かる。
 また
 本禅寺伽藍古図:これは天保14年(1843)の提出文書中にある天明の大火以前の古図である。
  西辺は寺町に面し45間余、東西は63間余で、南辺に寺中8院を配す。
  表門は寺町に面し、本堂は南面、釈迦堂は西面し礼堂廊下がある。
  本堂西に番神社・拝殿があり、その他鐘楼、土蔵などがある。また本堂東は築地を廻らし、その内に客殿、その東に書院、
  その北に庫裏がある。
宝永5年(1708)焼失(宝永の大火)、その後釈迦堂、御蔵造などを復興。
天明8年(1788)の大火で本堂、立像堂、番神堂、書院、庫裏などを焼失し、その後本堂、釈迦堂、番神社、客殿、方丈、庫裏などが再建される。
現在の堂宇は嘉永5年(1852)と大正12年(1923)の再建である。
  ※以上2011/04/29部分的に追加:
  「洛中法華宗本山寺院の伽藍建築」丹羽博亨(「広島工業大学研究紀要 17 (21)」1983 所収) より記事追加。

2023/04/26追加:
日陣;
延元4年/暦応2年(1339)−応永26年5月21日(1419年6月14日)、越後に生誕。
父は佐々木高貞、母は今出川兼季の娘妙菊で、俗姓は栗原氏と云う。
貞和3年(1347)越後長久山本成寺、代官日龍の下で得度する。
応永4年(1397)上洛し、六条本国寺日静に師事する。
応安2年(1369)越後本成寺住持を継ぎ、北陸、東北、関東、東海に布教する。
日静から六条本国寺を譲られた法兄・日伝と対立する。天台教学に傾斜した日伝に対し、日陣は本迹勝劣を主張する。
応永13年(1406)日陣は本山の本禅寺(四条堀川)を建立し、法華宗陣門流(日陣流)の門祖(派祖)となる。
晩年、本禅寺は弟子・日登に任せ、越後、北陸に弘通する。
応永26年(1419)本成寺を弟子・日存に譲り、伝道弘通のため本成寺を出る。以後不明のため、この日をもって示寂の年とする。

鐘楼の鐘:
元攝津法案寺(生玉大明神/生国魂大明神)のもので大阪の陣の陣鐘と伝える。
 ※法案寺は摂津生玉大明神の神宮寺で、慶長20年大阪夏の陣で家康が徴用・陣鐘とする。
  その後、鐘は旗本大久保忠教(通称・彦左衛門)が拝領、菩提寺である本禅寺に寄進。
大久保家墓所は塔頭裏側(南)にあり。
 ※大久保家墓所は領地であった三河糠田郡尾尻村(岡崎市竜泉寺町前田)長福寺にも分骨埋葬。
 ※大久保家墓所は塔頭心城院東の墓地にあると思われる。<未見>
 ※大久保家墓所は江戸白金立行寺にもある。

2010/12/19追加:
○「花洛羽津根」清水換書堂、文久3年(1863) より
 光了山本禅寺塔中:
玄妙院、養善院、心城院、詮量院、本高院、円龍院、円壽院、智門院、正行院 9ヶ院

2011/08/21追加:
○日蓮宗本末一覧(明治3年11月作成、寺社掛、太政官達により京都府寺社掛が作成) より
 本禅寺塔中
円龍院、本高院、玄妙院、心城院、要善院の5ヶ院が現存し、詮量院は無住寺籍のみ・・・とある。

○大正5年「京都坊目誌」碓井小三郎編記事より(上京第九學區之部)
維新前3,550坪、今2,853坪を有す。
円龍院・玄妙院・心城院(あるいは心成院)・詮量院

2011/08/21追加:
○京都市明細図:昭和2年頃、「大日本聯合火災保険協会」が作成、昭和26年頃まで加筆・修正がなされる。
 京都市明細図本禅寺:南側に5坊舎(一部は廃坊か)が並ぶ、左から現旧円龍院、現詮量院、玄妙院(坊舎が描かれる)、 現心城院、心城院東に坊舎(名称不明)が並ぶ。

本禅寺現況

現伽藍(伽藍概要図):伽藍図は2009/05/08入替、2011/04/09再度入替。
 山門・本堂・釈迦堂・鐘楼・ 三十番神堂・本坊・書院・玄関等の建物と寺中は詮量院・心城院・(玄妙院)の2・3院のみとなる。
無印は2001/05/25撮影、○印は2009/04/14撮影、◇印は2014/08/14撮影、□は2016/03/01撮影、▽は2022/05/17撮影:
山門
 ○本禅寺山門     ◇本禅寺山門2     □本禪寺山門3     □本禪寺山門4    ▽本禅寺山門5
山内:境内は駐車場と化し、少々荒れる。
 境   内     ○本禅寺本堂・釈迦堂     ◇本禅寺山内3     ◇本禅寺山内4
 ▽本禅寺本堂・釈迦堂2
本堂:桁行5間梁間5間 、全面漆喰塗り、寄棟・桟瓦葺
 本  堂     ○本禅寺本堂1     ○本禅寺本堂2      ◇本禅寺本堂3
 ◇本禅寺本堂4     ◇本禅寺本堂5     ◇本禅寺本堂6     ◇本禅寺本堂7     ◇本禅寺本堂8
 □本禪寺本堂9     □本禪寺本堂10    ▽本禅寺本堂11
釈迦堂
 釈迦堂     ○本禅寺釈迦堂(立像堂)     ◇本禅寺釈迦堂3     ◇本禅寺釈迦堂4
 ◇本禅寺釈迦堂5     □本禪寺釈迦堂7     □本禪寺釈迦堂8     □本禪寺釈迦堂9
 □本禪寺釈迦堂10     ▽本禅寺釈迦堂11
その他
 ◇本禅寺鐘楼      ◇本禅寺梵鐘:摂津生玉大明神法安寺梵鐘で、豊臣秀頼の奉納と伝える。
 □本禪寺鐘楼2     □本禪寺鐘楼3     ▽本禅寺鐘楼4
 慶長11年(1606)の有銘。家康により徴用され大阪の陣の陣鐘として使われる。
 その後大久保忠教(彦左衛門)に譲渡され、菩提寺である本禅寺に奉納するという。
 ○三十番神堂     ◇本禅寺三十番神堂2     □本禪寺三十番神堂3     □本禪寺三十番神堂4
 ▽本禅寺三十番神堂5    ▽本禅寺三十番神堂6
 ▽本禅寺小祠:堂名称不明
 ◇本禅寺本坊     ◇本禅寺玄関
寺中:
  ※2011/04/09追加:某氏より以下の情報を得る。
  寺中は西側(寺町通)から東に、円龍院坊舎・詮量院・玄妙院跡(建物は退転し現在は駐車場となる)・心城院と配置。
  寺町通に開く山門の南側に門番所(推定)と思われる建物と円龍院堂舎と思われる建物が現存する。
心城院:日陣上人に随侍の信者が本禅寺境内に警護の心王城を造り、それが後に寺院に改められたのを発生という。
 本堂、庫裡、書院が平成3年改築、宝形造の小宇は岸駒堂で大正年中の建立、岸駒像(岸駒は江戸後期の画家)を安置する。
 ○本禅寺心城院     ◇本禅寺心城院2    □本禪寺心城院3
玄妙院:建物は退転し、駐車場と化す。入口には塔頭玄妙院の 「札」がかかる。写真奥の堂宇は清浄華院である。詳細は不詳。
 ○玄妙院跡
詮量院:天正10年(1582)の創建という。平成16年本堂・庫裡再建。
 ○本禅寺詮量院     ◇本禅寺詮量院2:右に写るのは旧圓龍院寺門・坊舎      □本禪寺詮量院3
  ※2009/05/17追加:以下のWeb記事(記事にリンクできす、故にリンクを削除:2023/04/26)がある。
  平成16年、関西教区 新しい伽藍で入寺式 場所 塔頭・詮量院
   五月六日(木)、京都別院本禅寺塔頭・詮量院第二十七世三品亮徹師の入寺式と本堂、庫裡の落慶法要が行われた。
   同院は四度の火災に遭いながら、近年は心城院住職が兼務、実質住職不在となっていた。
   このたび、古くなっていた本堂、庫裡を新築され、心城院住職赤塚高明師のお弟子の三品亮徹師が迎えられた。
圓龍院:堂舎は残存すると思われる、また現在は有住と思われる。
 ◇本禅寺圓龍院1     ◇本禅寺圓龍院2:寺町通から撮影、辛うじて坊舎屋根が写る。
 □本禪寺圓龍院3     □本禪寺圓龍院4
2023/04/26追加:
末寺:
以下が挙げられる。
「洛陽法華宗本禅寺末寺帳」寛永10年(1633)
  末寺27カ寺、越後国本成寺ヨリ預支配仕寺18カ寺がある。(下注)
 摂州中筋村  妙玄寺
 摂州亀山   法性寺
 丹州石井郷  圓融寺
 丹後國伽佐郡 妙國寺(國は疑問)
  同 吉崎郷 妙圓寺
○因幡國鳥取  妙要寺 →山陰諸国の日蓮宗寺院中にあり
  同      妙源寺
 伯州河村郷  法積寺
○紀州和歌山  久成寺 →紀伊の日蓮宗寺院中にあり(新町久成寺)
 播州姫路   生善寺
 備州恩山   法仙寺
  同      要行寺
 越前国小荘  成圓寺
  同吉田郷  徳性寺
○賀州金沢   實成寺 →北陸諸国の日蓮宗諸寺中にあり(野田寺町實成寺)
  同       覺實寺
 能州七尾   ■照寺(■は判読できず)
  同珠洲郡  法聚寺
  総ミザゴ村 法泰寺
 越中砺波郡  圓徳寺
  同 蓮間  光栄寺
  同婦荷郡大坪村 覚性寺(荷は疑問)
  同冨山   了覚寺
 飛州高山   法華寺
 濃州高木村  了本寺
 上野國前橋  要行寺
 相州小田原  了心寺

自越後国本成寺預支配仕寺

 尾州名護屋  妙本寺
  同稲生村  妙本寺
  同押切郷  本龍寺
  同津島   本傳寺
 三州和田郷  妙国寺
  同浅井村  了性寺
  同尾尻郷  長福寺
  同西郡   長存寺
 遠州濱松   東漸寺
  同アライ  本菓寺
  同ヨコスカ 浄泉寺
 相州小田原  要行寺
 武州金川ノ近処 豊顕寺
  同江城   本妙寺
  同     長應寺
 上野国藤恩  要顕寺
 下総国佐倉  大久寺
 房州小松原ノ近処 本門寺
    已上
  寛永癸酉(1633)霜月吉辰

(下注)
武蔵白金立行寺 は上記に記載がない。


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