津波避難合同調査団結果の紹介
(於 石巻専修大学)


大津波の年(2011年)の12月

石巻市開成応急仮設住宅団地の集会所の掲示板に

「大学などの研究者が、これまでの大地震、大津波の被害の調査結果について
一般の人にもわかるようにやさしく解説しますからおいでください」 
の貼り紙を見たので自転車で10分ほどの石巻専修大学へ出かけた。

石巻専修大学は大規模な応急仮設住宅団地の近くにあるので、
関心の高い人も多く、たくさんの人が集まるだろうと予想した。

ところが、150−200名が入る大きな階段教室に、
研究者が15名ほど、一般市民が15名ほどである。

どうしてこんなに参加者が少ないのだろう? 予想がはずれた!

発表された調査結果の内容は書きません。
私が、会場で質問し、回答をいただいた事項について書きます。

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今村文彦先生(東北大 工学研究科)の講演があった。

私の質問二つ:

1. シュミレーションによる津波と実際の津波の一致、不一致の程度について質問します。
8月以降になってからテレビで津波のシュミレーション映像を拝見しました。

津波のシュミレーションは、津波発生のモデルを作り、波の伝搬を計算し、
各海岸線での津波の高さを求める。 その計算値と実測値と比較する。
各海岸線での津波の高さの計算値と実測値ができるだけ一致するように
津波発生元のモデルを修正する。 以上を何度も繰り返すことであると聞いています。
今回の津波の場合、どの程度、計算による津波の高さと、実測値は一致しているのでしょうか?
シミュレーション結果による一致の程度、不一致の程度をお教え下さい。

先生の回答
津波の高さのシュミレーションによる値と実測値の不一致の程度は、
およそ5000の地点で、それぞれ10パーセント以内です。

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2. 民間のテレビ局で、市街地で津波の海水が流れる様子を映像化して放送しています。
市街地についても津波のシュミレーションができるものなのでしょうか?
それともあの映像は、たんなるアニメーションなのでしょうか?

先生の回答
市街地については津波のシュミレーションはできません。
津波の遡上高はわかります。

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調査結果発表で使用されたスライドの浸水域を示す地図で
私の避難場所(石巻市 際(きわ)地区)の山すそから300−400メートル付近が
実際には浸水しているのに浸水していない色分けとなっていた。
この点を質問した。

3. どなたが、どのように調査をしたのでしょうか?

発表者の回答:
これは、我々が調査したものではありません。
石巻市から提供された資料です。

参加者の一人石巻市職員の発言:
石巻市役所*課へ出向き聞いてみてください。

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後日私が個人的に石巻市役所へ行き尋ねてまわった。
数日後、石巻市へ出向している新潟県の職員から
調べていただいた内容について電話連絡があった。

「(大津波の年の)6月の後半から7月の前半にかけて国土交通省が
業者に委託をして30人ほどで石巻管内を調査したものである。」
とのことだった。

これで納得ができた。 なぜならば、私の避難場所(石巻市 際(きわ)地区)の
山すそから300−400メートル付近は実際に浸水したが、田んぼに海水が
張った状態てあったのは大津波からTヵ月間ほどであった。 それ以降は
水が引き、眼で見ただけでは浸水したようには見えない状態となったからである。

調査が行われたのが、津波から3か月後の6月なので、2か月遅かった。
調査員が眼で観察するだけでなく周辺の人から聞き取り調査を行えばきっと
浸水したことがわかったであろうと思う。 30人という少人数で
かなり広い石巻地域全体を短期間で調査したので、浸水していない
色分けがされたのだろうと思った。

現在この国土交通省の浸水調査地図は使われていないようだ。
石巻市市報に掲載される浸水域地図にも使われていない。
気象庁発表の航空写真による浸水域地図では、
私の避難場所(石巻市 際(きわ)地区)の山すそから300−400メートル付近は
正しく、浸水したことを示す色分けになっている。

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その他


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