津波で役に立った物

私が大津波の避難、避難所での生活で役に立った物は次の三つです。

  1. 手廻し発電器付きトランジスタ・ラジオ (LED一個の懐中電灯付)
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地震が揺れている最中に停電となった。 揺れが収まった後、直ちに、手廻し発電器を廻しラジオを聴いた。

地震直後の「大津波警報」から、避難途中、そして、翌日の午前1時までNHK仙台第一放送を断続的に
聴き続けた。 8月に仮設住宅に入居するまでほとんど毎日、NHK仙台第一放送(891KHz)の
19時のニュースを聴いた。

乾電池がなくても、1分間手廻しで発電すると30分間ラジオを聴くことができるので大変便利。
もしも、このラジオがなかったならば、私は、大津波で死んでいたかもしれない。

ラジオ付属のLED一個の懐中電灯は小さい灯りだが、夜間、避難所のトイレに行くときにも大変助かった。

避難所の数日間(トラックの運転手が家族を探して教室に訪ねてくるまで)、教室で灯りを持っていたのは、
36人中 わたし一人だけだった。
 
  2. 自転車
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自動車は渋滞で避難ができず、車の中で亡くった人も多かったと聞く。(NHKのニュース) 

自転車による避難が最適だった。

私の避難場所には、広い駐車場そのものがない。 小中学校もなければ、公共施設の建物もない。
山の斜面に民家があるだけである。 駐車するとすれば狭い道路上だ。 
道路は、小型の自動車がすれちがう時、スピードを落とし、道の端に車を寄せてすれちがう程の狭い道路だ。
空き地といえば、農機具を置いておくための自動車1−2台程の舗装していない空き地がある程度である。
3月11日には避難する車が少なかったからなんとかなったものの、
もしも、災害時に大量の自動車が集まったならば、
避難目的地手前で、長い数珠つなぎとなり身動きができない状態となったにちがいない。 

渡波地区は15000人が車で避難をするとすれば、広い道路と小学校の校庭2−3個分の
駐車場が必要だろう。 自動車に乗って避難の開始は容易に想いうかべることができる。 
しかし、
現状では、自動車に乗ったままの避難の完了状態を想いうかべることはむずかしい。

津波の後1か月間はガソリンが入手できず、道路も寸断されていたので車は使えなかった。
電気もガソリンも使わない(原始的な)自転車が大変便利で役に立った。

車が使えない一か月間、避難所や町内に住む大人や子供から、
(あなたは)自転車があっていいね、と何度も声を掛けられた。

一か月後、自動車が利用できるようになると、誰からもそのように言われることはなくなった。


* 
  3. リュックサック
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地震の揺れが収まった後、家の戸締りをして、7−8分後に
あらかじめ準備していたリュックサック二つ(一つではない)を背負って津波避難のため家を出た。


リックサックの中味はできるだけ軽いほうがよいと思う。
重ければ準備は整っているだろう、しかし、その重さによって身動きが鈍くなる。
軽ければ、とっさの判断も行動も軽快、確実になる。

避難所、自宅生活でも荷物運びにリュックサックは便利で、なくてはならないものだった。 
   

図1. 手廻し発電器付きトランジスタ・ラジオ (LED一個の懐中電灯付)

大津波の5−6年前に仙台駅東口にある 「ヨドバシカメラ仙台」で店員の説明を受けて購入した。
改良していただきたい点を次のページへ書きます。

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このページは大津波の日から8ー12ヵ月後のホームページ作成初期に書いたものです。
5年を経過した今(2016年9月)読んでも考えは同じで変わらない。
12年を経過した今(2023年3月)再読しても考えは同じで変わらない。

アクティブな物よりもパッシブな物が役に立つと自分は感じているのだと思う。
アクティブな道具とは、電気(電灯線)や乾電池やガソリン、灯油など
外部のエネルギーを必要とする道具のことであり、
パッシブな道具とは、そのもの自体で機能する道具のことである。 たとえば、
自転車、リュックサック、小さな呼子笛などである。
ラジオ付属で電気がなければ動かないサイレンよりも、そのもの自体で動作する
小さな呼子笛のほうが災害時には好ましいと判断する考え方です。


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2000円前後の低価格の製品はおすすめしない。
避難所の渡波小学校で支援物資として懐中電灯付きラジオが
各教室に一個配布された(2011年3月20日)が不良品であった。 
1. ラジオのローカルオシレータが特定の周波数周辺で異常発振をおこし受信できなくなる。
2. ラジオと懐中電灯の切り替えが不確実。 製造者も出荷段階で認識していたはず。
教室の最前列の長い机の上に置いたが手にして使う人はほとんどいなかった。

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