サン・フランシスコのPCCカー |
San Francisco/ United States |
撮影: 2004/9, 2009/4 制作: 2020/7 |
ケーブルカーのほかにも、サン・フランシスコには乗ってみたい鉄道がたくさんあります。今回ご紹介するのは、マーケット・ストリートを走る路面電車、Fラインです。同市には世界各地から集められた古典的な路面電車が多数保存されていて、その中のPCCカーなどが常時営業運転をおこなっています。まさに動く博物館と申せましょう。 ※PCCカーは、1930年代に米国電気鉄道経営者協議委員会が開発した次世代の高性能路面電車です。(President's Conference Comitee) |
PCCカーの走るFラインとEラインの路線図です。撮影場所名を書き込みました。 ・図中赤:Fライン (Castro~Fisherman's Wharf) ・図中青:Eライン (Fisherman's Wharf~4th & King ・図中緑:ケーブルカー(参考まで) ※訪問時、Eラインは未開業でした(後述)。 |
市の中心部であるマーケット・ストリートには、1860年代から馬車鉄道やケーブルカーなどのさまざまな交通機関が存在していました。1906年に発生した大地震がきっかけとなって、これらはMUNI(交通局)に統合され、その後路面電車網が市域全体に建設されました。戦後米国で多くの都市が路面電車を撤去していますが、サン・フランシスコにおいても多くの路線が失われました。しかし5つの路線が維持され、しかも近代的なLRTシステムへの移行が図られました。その一環として、 1982年、マーケット・ストリートを走っていた線路の地下化(ムニ・メトロ)が完了しています。 丁度その頃ケーブルカーの大修理が行われて長期間の運休となったため、新たな観光資源の創出が渇望されていました。そこで1983年にマーケット・ストリートに残っていた路面電車のレールを使って、世界中から集めたクラシックな電車を走らせるトロリーフェスティバルが行われました。これは大成功を納め、以後毎年5年間開催が続きました。MUNIはこの動きを恒久化することとし、1995年9月、古典的な電車のみが走るFラインがカストロ~エンバーカデロに誕生しました。車両はMUNIが保存していた3両に加え、フィラデルフィアから14両のPCCカーを導入しました。エンバーカデロ~フィッシャーマンズ・ワーフの延伸は、2000年3月です。 |
Powell (MUNI METRO) マーケット・ストリートの地下を走るムニ・メトロです。元々は路面電車でしたが、ライトレール(LRT)に変身して地下を走るようになりました。今でも郊外区間は地上の併用軌道を走ります。 ※さらにこの下、地下2階に空港とベイ・エリアを結ぶ広軌高速鉄道のBARTが走っています。 (2009/4/8) |
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Market & 5th Street, [1010] 上掲の地上区間、マーケット・ストリートです。サン・フランシスコで最も賑やかな目抜き通りを、ヴィンテージの香りがするFラインのオールドタイマーが走っています。この1010号は、市電のLRT化後も保存されていたサン・フランシスコのオリジナル車両で、1948年にセント・ルイスで造られたPCCカーです。 その形からTorpedo(魚雷)と呼ばれています。 (2004/9/17) |
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[1059] この車両はフィラデルフィアから購入した1948年製のPCCカーです。片運転台なので、道路の中央寄りにドアがなく、終点のループで方向転換します。同型車は30両ほどが在籍していて、PCCカーを保有していた米国各都市の塗色が施されています。 オレンジの車体と灰色の屋根は、ボストンの Boston Elevated Railway の塗色です。 (2009/4/7) ※ボストンのPCCカーはコチラをご参照下さい。 |
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Market & 2nd Street, [1057] フィラデルフィア型PCCカーのドア側です。前扉から乗車して料金を払い、中扉から下車します。いずれも4枚折戸ですが、中扉は外側に開きます。 1057号は明るいカナリア・イエローに緑色の3本帯が特徴で、オハイオ州シンシナティ市の塗色です。 (2009/4/8) |
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上記に関連してまったくの余談ですが、仕事でシンシナティを訪問したことがあります。日本ではほとんど知られてない都市ですが、 小生railbusが被っている野球帽のレッズは有名です。 シンシナティには戦前に市電の路線網がありましたが、1951年までに姿を消しています。 (2004/9/13) ※その後2016年9月に、ダウンタウンを一周する全長5.8kmのLRTが開業しました。軽快なスペイン製の連接車が走っています。 |
Jones & Beach, [1060] Fラインの終点、ジョーンズ&ビーチです。海を見ながら魚料理が楽しめるフィッシャーマンズ・ワーフの近くです。 この1060号もフィラディルフィアから購入しましたが、シルバーの車体にクリーム色の窓枠は元々フィラデルフィアの塗色なので、昔のままの姿で走っていることになります。 フィラデルフィアで有名なお菓子の外装デザイン色に似ているため、クリームチーズ号という別名が付いています。 |
[1063] ジョーンズ&ビーチの終点付近は単線で、左回りの一方循環路線になっています。 イエローオレンジの車体に灰色の屋根は、メリーランド州バルチモア市 Baltimore Transit Companyの塗色です。 (2004/9/17) ※現在はバルチモアの別の色に変わっています。 |
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[1062] 次々と、各都市のカラーをまとった電車がやって来ます。ほとんどがフィラデルフィアで走っていた車両ですが、観光客にとっては自分の町の思い出が甦ってくるので好評です。 1062号の緑色とクリームの塗り分けは、ケンタッキー州ルイビル市のカラーを再現しています。 (2009/4/8) ※現在はピッツバーグ色に変更されています。 |
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[1007] 1010号と同じ、サン・フランシスコのオリジナル車両です。両運転台車なので、左右両側に扉があります。 チョコレート色とクリーム色の塗り分けは、フィラデルフィアの西郊外を走っていた Philadelphia Suburban Transportation のカラーです。 (2004/9/17) |
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上掲の1007号です。黒人の女性運転士が発車の準備をしています。小生もこの車両に乗ってみました。 |
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1007号の車内です。側面に天窓がないのが特徴です。両運転台車の座席は、車体中央部を境にしてそれぞれが前向きの固定シートになっています。つまり進行方向の後ろ側は後ろ向きに座ります。また、全長15mの車体両端にドアがあるので、降りるのが大変です。 前ドアから降りる乗客も見かけました。 ※片運転台タイプの車両は、バスと同じように全列前向きの固定シートです。 |
Jones & Beach, [1051] 終点のジョーンズ/ビーチで夜景を撮影しました。 1051号の塗色は、1970年代にサン・フランシスコのPCCカーで使われていた塗り分けです。前面のクリーム色が夜景に良くマッチしています。 ※この車両もフィラデルフィアから来ました。デザインが少し異なりますが、色使いはサン・ディエゴのPCCカーに酷似しています。 |
Ferry Building, [1053] エンバーカデロのフェリー・ターミナルからフィッシャーマンズ・ワーフに向かって、海岸沿いの広い道が続いています。途中にはたくさんの波止場があり、観光名所になっています。 薄緑色はニューヨーク市ブルックリン地区を走っていた Brooklyn & Queens Transit Corporation のカラーです。 |
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[130] PCCカーの出現以前の世代を代表する鋼鉄製電車です。1914年にオハイオ州のジュエット・カー社で製造され、サン・フランシスコに納入されました。以後、1958年まで使用された正真正銘のオリジナル車両で、引退後も奇跡的に保存されていました。乗降口兼運転台には密閉式の扉が無く、武骨な鎧戸が付いています。 黄色と青の塗色は1010号と同じく、戦前のサン・フランシスコ・カラーを再現しています。 |
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[1895] 同じくフェリー・ターミナルの時計台前を走るイタリア・ミラノの市電です。このタイプの電車は設計者の名前を冠して、ピーター・ウィット型と呼ばれています。大量に保有していたミラノのイメージが強いのですが、実は発祥地は米国で、ニューヨーク、シカゴなど多くの都市で採用されました。 サン・フランシスコには10両ほどがミラノから譲渡されていて、PCCカーに次ぐ勢力になっています。オレンジ1色の塗りは、ミラノ時代のままです。 |
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Archi di PortaNuova (Milan, Italy) 参考までに、故郷のミラノで活躍するピーター・ウィット型電車の写真を再掲します。1995年にミラノのヌォーヴァ門をくぐる5番違いの同型車です。 (1995/7/13) ※ほとんどの車両は、番号の重複を避けるために改番されています。 例えば上掲の1895号は、旧1795号です。下掲の1811号は、旧ミラノの1911号です。 |
Market & New Montgomery Street マーケット・ストリートを疾走する旧ミラノ市電をズーミングで撮影しました。 製造された1928年頃の塗色を再現しています。街並に溶け込むような落ち着いた配色です。ミラノでは見たことが無かったカラーリングでしたので、大変感激しました。 (2009/4/8) |
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ここからはEラインの説明になります。エンバーカデロから海岸沿いに南へ走る区間は、ムニ・メトロの郊外地上部分 の1つです。マーケット・ストリートの地下を走るムニ・メトロは多くの系統がエンバーカデロで終点になりますが、 その中のNラインは大きく右へカーブしたのちに地上に現れ、King & 4thまで走っています。一方、フィッシャーマン ズ・ワーフ方面とは1987年のトロリーフェスティバルを機会に線路が繋がり、PCCカーなどのオールドタイマーを週 末などに限定して運転していました。Eラインとして通年運行するようになったのは、2016年からです。 Eラインは北側でFラインと、南側でNラインの地上区間とそれぞれ線路を共用しています。尚、終点の 4th & King に はループ線が無いので、両運転台車が充当されています。 |
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Embarcadero & Brannan St. (MUNI METRO) オークランドにつながるベイブリッジの下を走るムニ・メトロのNラインです。訪問時、まだEラインは未開業でしたので、Nラインのみが走っていました。 (2004/9/17) |
2nd & King 同じくムニ・メトロのNラインを、終点の1駅手前の 2nd & King で撮影しました。 車両は伊アンサルドブレーダ社製LRV2型です。全長22.6m、2車体3台車の連接車を2組連結しています。 ※アンサルドブレーダ社は、現在の日立レールイタリー社です。 |
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CAL Train Station 終点の 4th & King は、サン・ノゼ方面に向かうカルトレインの始発駅です。カルトレインは非電化の近郊列車で、2階建ての客車をディーゼル機関車が牽引(又は推進)します。 |
最後になりましたが、トロリーバスの写真を1枚だけご覧に入れます。サン・フランシスコは坂の町ですので、坂道に強いトロリーバスが多数走っています。屋根の中央から後方に伸びるツインテールが、なんとも素敵ですね。 この車両は2003年に米ETIで造られたもので、2019年に引退しました。ETI (Electric Transit Inc,.)は、チェコ共和国のスコダ社と米国航空産業のAAI社の合弁企業ですが、すでに解散しています。 |
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References: https://www.sfmta.com/ https://www.streetcar.org/brief-history/ https://en.wikipedia.org/wiki/E_Embarcadero https://www.streetcar.org/streetcars/ https://en.wikipedia.org/wiki/Streetcars_in_Cincinnati https://www.cincinnati-oh.gov/streetcar/ https://www.bart.gov/ https://www.caltrain.com/main.html https://en.wikipedia.org/wiki/Trolleybuses_in_San_Francisco |