海外トラム紀行

ボストン
アメリカ国旗
 Boston/ United States
 
撮影: 2000/2, 2000/10 制作: 2020/3

2000年に米国東海岸のボストンを訪問しました。ボストンには40kmに及ぶトラム路線があります。レトロなPCCカーが走るマタパン・トロリーと、日本製の車両が活躍するグリーンラインに乗車しました。

 ボストンのトラム, マタパン
Mattapan, Boston, Masachusetts, USA 2000/2/7

ボストンのトラム, 米国地図   ボストンは米国東海岸北部にある港町で、マサチューセッツ州の州都です。17世紀に英国から入植した清教徒によって築かれました。のちに独立運動の端緒となった都市として知られています。ニューヨークから列車で北上すると、最速3時間半で到達できます。
ボストンのトラムは、地下鉄やバスとともにMBTA(マサチューセッツ港湾運輸公社)が運営しています。

 
 ボストンのトラム, 路線図   ボストンの地下鉄とトラムの路線図です。中央左にある枝分かれしたグリーンラインと、赤い矢印で示すマタパン・トロリーがトラムです。
この地図はボストン・マガジンのオフィシャルサイトのものを加工しました。

ボストンのトラム, マタパントロリー地図   Google Mapsの上に今回訪問したマタパン・トロリーの路線を赤色で記入しました。
地下鉄レッドラインの南西の終点、アシュモントの駅で一旦外に出て、このトラムに乗り換えます。終点のマタパンまでわずか4.2kmの道程です。
ボストンのトラム, マタパン   Mattapan

終点、マタパンの風景です。緑色の車両に混じって、前年に更新されたオレンジ色の車両も見かけました。

(2000/2/7)
 
 ボストンのトラム, マタパン   地元の人々が乗車するところです。車両右側の前端と中央にそれぞれ外開き折戸の扉が付いていますが、終点では左側からも乗車出来ます。
観光用でなく普段の電車にレトロなPCCカーが使われていることに感動しました。


※PCC: 1930年代に米国電気鉄道経営者協議委員会 (President's Conference Comitee)が開発した次世代の高性能路面電車。

ボストンのトラム, マタパン   こちらは車両左側の写真です。左側のドアは中央1箇所のみの配置で、主に島式ホームで使います。
フロント窓が凹んだスタイルは、その後の鉄道やバスの車両デザインに大きな影響を与えました。

 ボストンのトラム, マタパン   マタパン・トロリーの開業は1929年です。使われている車両はプルマン・スタンダード社が1945~46 年にかけて製造したもので、「戦時下PCC」と呼ばれています。
訪問から20年が経過しましたが、今なおこれらの車両が現役で活躍しています。今までに何度か新型車両への置き換えやバス転換の計画がありましたが、ことごとく地元の反対にあったとのことです。

ボストンのトラム, マタパン   マタパンの車庫に入って行く車両の後ろ姿です。
リアウィンドウの上に付いているのはライトではなく、トロリーワイヤーのレトリバー(巻き取り器)です。今やポールで集電する電車は、世界でも大変珍しい存在と申せましょう。
 ボストンのトラム, マタパン除雪車   除雪車です。この日は雪が少なかったので出番はありませんでした。ジェットエンジン駆動の除雪機、ウェスティングハウス社製"Snow Zilla"を搭載しています。
 ボストンのトラム, マタパン   マタパンに下り電車が到着しました。PCCカーは運転台が前方1箇所のみの構造なので、駅を取り囲むループ線を経由して方向転換します。
 ボストンのトラム, マタパン   マタパンから上り電車が出発するところです。右の白い建物が信号扱い所です。
 ボストンのトラム, マタパンのバス   マタパンから先へは、10系統ほどのバス路線が連絡しています。
車両は1980年代の米国を代表するGMCのRTSタイプ、実に洗練されたデザインです。
 
ボストンのトラム, ミルトン   Milton

途中駅のミルトンで、跨線橋から上り電車を俯瞰しました。昨夜の雪があたり一面に残っています。
ボストンのトラム, バトラー   Butler

バトラーを出発する上り電車のリアビューです。うっすらと積もった雪に夕陽が反射していました。

 
ボストンのトラム, シーダーグルーヴ  
Cedar Grove

シーダーグルーヴ(杉谷)駅のホームです。近くには同名の墓地があって、少し寂しい所です。
マタパン・トロリーの沿線は治安面から訪問するのは勧められないと、米国在住の友人からあとで聞きました。手遅れですが、幸い無事でした。
ボストンのトラム, ブリガム
  Brigham Circle

ここからは市街地の中心を走るグリーンラインの写真です。2000年の別の時期に、仕事の関係で訪問しました。従ってあまり写真を撮る余裕がありませんでした。 
グリーンラインは多くの支線に枝分かれしています。ここはそのうちの一つ、リバーサイドに向かうE線です。


(2000/10/8)
ボストンのトラム, ブリガム  
上掲と同じくE線のブリガム・サークルです。渡り線が設けられていて、一部の列車がここで折返しになります。
 
ボストンのトラム, ブルックリンヒルズ   Brookline Hills

こちらはグリーンラインD線のブルックリン・ヒルズです。E線が道路上に敷設されているのに対し、このD線は旧鉄道線を利用して造られました。そのため駅間も長く、緑豊かな森の中を走ります。
 
ボストンのトラム, ブルックリンヒルズ   グリーンラインの開業は遠く1897年に遡ります。
以前はマタパン・トロリーと同じくPCCカーを使っていましたが、のちにボーイング社の連接車を採用しました。しかし脱線事故が頻発し、1986年から日本の近畿車両製120両に置き換えられました。
全長22m、2車体3台車の部分低床連接車で、最高速度88km/h を誇る高性能車です。優れたデザインの日本製トラムが大量に輸出されていますが、なぜ国内で採用されないのか不思議ですね。
ボストンのトラム, パークストリート   Park Street

グリーンラインはダウンタウンに入ると地下線路を走ります。ここは米国で最も古い地下トンネル区間です。ボストン・コモン公園の地下にあるパーク・ストリート(公園通り)で撮影しました。

※使用したカメラはオリンパスのデジカメC-800Lです。わずか80万画素しかないので満足な画質が得られてません。しかし当時としては最先端技術で、暗いところで手持ち撮影が出来ることに驚きました。他の写真はすべて銀塩フィルムです。

 
ボストンのトロリーバス, ケンブリッジ   North Cambridge Carhouse

ノース・ケンブリッジの車庫で、数少ないトロリーバスを撮影することができました。この車両は1976年にフライヤー・インダストリーズ社が製作したE800 という型式で、GE製のモーターを搭載しています。フロントが4枚のガラスで構成される視野拡大窓になっています。
ここは街を歩いていて、偶然見つけました。残念ながら時間が無くて、乗ることが出来ませんでした。

(2000/10/8)
ボストンのトロリーバス, ケンブリッジ   同上E800のリアビューです。どこか日本の西工車体に似ていますが他人の空似(そらに)です。路線の終点であるハーバード駅での乗り換えの便宜をはかるために、車体両側に乗降口が付いた珍しい車両です。

※この車両は2004年にリタイアして、現在はネオプラン製に置き換わっています。
また写真の系統とは別に、デュアルモードバスによるBRTのシルバーラインが2004年に開業しました。

 
References:
https://www.mbta.com/
https://en.wikipedia.org/wiki/MBTA_subway
https://www.bostonmagazine.com/property/2016/05/03/cost-of-living-boston-mbta/
http://www.kinkisharyo.co.jp/pdf/gihou/KSW15/KSW15_04-05.pdf
二玄社「世界のバス'81-'82」別冊CAR GRAPHIC, 1981/11/25
https://cptdb.ca/wiki/index.php/Flyer_Industries_E800
 



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