(2017年8月12日) 杉やヒノキなど、ほとんどの木材は水に浮く。水に漬けて沈む木材が無くはないが稀である。 金属では軽いほうのアルミニウムでも水に漬ければ沈んでしまう。岩石もほとんど水に漬ければ沈んでしまう。 世の中に存在する物質は水に浮くか沈むかで大別できそうである。人間の感覚として、水に浮くものは軽い物質で、水に沈む物質は重いと言って良さそうである。水に浮く木材でも大きなものは重い。 重い物質と軽い物質を分けるには同じ大きさで比べる必要がありそうである。物体で同じ大きさということは、縦横高さがあるから、これらを乗じた量、つまり体積が同じという意味である。 同じ体積で比べて、木、水、鉄で重さが違うのは何故だろうかとニュートンは考えたに違いない。歴史上最も偉大な物理学者の一人として必ず名を上げられる英国のアイザック・ニュートンである。 ニュートンは物質によって、その物質を構成する素材のつまり具合、過密か粗密かの程度が異なるからだと考えた。この度合いを密度と呼び、密度が基本的な量であると考えた。 ニュートンは物質の量、すなわち質量、は体積に密度を乗じた量であるとした(1)。体積は基本的な量である長さの3乗である。[体積]=[長さ]^3、つまり、 [V]=[m]^3。 [質量]=[密度]・[体積] ・・・ (1) 質量の単位を[kg]と書き、密度の単位を[ρ]と書けば、質量は次のように組立単位で表されることになる。 [kg]=[ρ]・[m]^3 ・・・ (2) ニュートン力学では質量を基本単位とし、密度を体積当たりの質量と定義しているので、密度は組立単位である(3)。 [密度]=[質量]/[体積] ・・・ (3) (1)式と(3)式は質量と密度が同じ関係式で表されている。このことは質量を基本的な量と考えれば密度は組立単位で表される量になるが、密度を基本的な量と考えると質量が組立単位の量になる、つまり質量と密度は対等な量であることを意味している。 どちらを取るべきかは、おそらくより合理的である方ということで(3)式が採用されているのであろう。ニュートン力学といえども、必ずしもニュートンが考えたことが採用されているわけではない。 同様に、ニュートンの運動方程式である(4)式を考えてみる。 [力]=[質量]・[加速度] ・・・ (4) [加速度]は[長さ]と[時間]から構成される組立単位の量である。 ニュートン力学では[質量]が基本単位の量とされていて、[力]は組立単位の量になっている。ところが(4)式において[力]と[質量」は対等な位置関係にある。つまり、[力]を基本単位とすべきか、[質量]を基本単位とすべきかは、どちらが合理的であるかで決めるべきであろう。 質量の特性は慣性があることであり、そのことを表現するには(5)式のように書くのが良い。従って、質量は組立単位となる。これが「力を力基本単位に」、「力を基本単位に(2)」で説明していることである。 [質量]=[力]/[加速度] ・・・ (5) (了) 戻る
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