(2015年7月11日)
アインシュタインは1905年に特殊相対性理論を、1916年に一般相対性理論を発表した。アインシュタインは間違っているという趣旨の本が皆無ではないものの、この二つの理論の正しさについては長年かけて実証されてきた。今や特殊相対性理論は100%正しく、一般相対性理論についてもまず間違いなく正しいであろうという評価になっている。
一般に最先端の研究に取り組んでいる科学者は、他人の理論の間違いをあからさまに指摘することはあまりしないようである。アインシュタインもそうだったと思われる。一般相対性理論が予測する重力で光が曲げられる現象が実証されて名声を得た後に、各地で講演した中で間接的に少し触れているだけである。
ところが、ケイレブシャーフの著した「重力機械」によると、「アインシュタインは最終的にニュートンの重力理論は虚構であると主張した」とある。アインシュタインもこのように主張せざるを得なかったのは、いつまでもニュートン理論も正しいとされていることに我慢できなかったのかも知れない。
アインシュタインはニュートン理論のどこを間違いであると気がついたのであろうか。講演先でアインシュタインが話した内容はニュートン理論の誤りを具体的に指摘したものではなかった。自分が何に気が付いたかを述べただけであった。
以下は、アインシュタインの気づき事項から、ニュートン理論がどのように修正されるべきかを箇条書きで示したものである。
-
自由落下の状態にある物体には重力が消えている。
(解説)
・アインシュタインが1907年に気が付いて、このことが生涯最高の”発見”であったと、名声を得た後の各地の講演で語っている。
・自由落下にある物体が無重力状態になることはニュートンも含めてニュートン以後の人に知られていた。しかし、この無重力状態になるのは、重力と慣性力が釣り合っているからだという説明であった。
・無重力状態は重力と慣性力の力の釣り合いであると考えることは出来ても、実証することが(理論的にも)できない。実証できなければ力が掛っていない状況と区別できない。
・区別できない二つの状態は同じ状態であると考える(等価原理)。
・無重力状態が力の釣り合い状態でないならば、重力は力でないとみなさざるを得ない。
-
地球を周回している宇宙ステーションは自由落下の状態にある。
(解説)
・自由落下というのは地球の重心に向かって落ちる運動だけでなく、初期条件として横方向の速度の違いによって放物線運動にも円運動にもなり得る。宇宙ステーションは常に落下している状態にあることに変わりないが水平速度が秒速8km近くあるので、何時までたっても地球の表面に達しない。
-
宇宙ステーションには力が働いていない。
(解説)
・アインシュタインにより自由落下の状態にある物体には力が働いていないから。
-
力が働いていない運動は慣性運動である。
(解説)
・慣性運動の定義:慣性だけで運動を持続しているときの運動をいう。
・廻したコマの回転運動は慣性によるものであるから慣性運動の一種であるがコマの内部に、(慣性力である)遠心力により、引き張り応力が発生している。
・慣性運動は慣性飛行と言う場合もある。
-
慣性運動は一般に等速直線運動ではない。
(解説)
・自由落下運動は真下に落ちるときは直線運動であるが等速でない。自由落下が円運動の場合は等速であるが直線運動でない。自由落下が楕円、放物線、双曲線運動の場合は等速でも直線でもない。
・ニュートンの運動の第一法則「力が働いていない静止している物体は静止を続け、運動して要る物体は等速直線運動を続ける」(慣性の法則)は見直す必要がある。
・アインシュタイン以後の慣性の法則は「力が働いていない物体は自由落下する」。宇宙空間は重力場であるから、例外はない。
-
宇宙に万有引力という力は存在しない。
(解説)
・ニュートンが示した万有引力の式はケプラーの法則で知られる惑星の運動を見事に説明した。しかし、逆二乗則の重力加速度が存在するという仮説だけでも同じように説明できた。ニュートンが万有引力という力の次元の式にしたことがアインシュタインの言うニュートン理論の虚構に対応する。
・物体に重さ(力)があるのは物体が落下することを阻害されるために生ずる慣性力でこの慣性力の大きさが重さである。
-
重力場の運動方程式に変更する必要がある。
(解説)
・ニュートンの運動の第2法則「力は質量に加速度を乗じたものである」(運動方程式)は重力場でない時に正しい。
・重力場の運動方程式は「力(F)を物体の質量(m)で除した値は重力加速度(g)と物体の得る加速度(α)の和に等しい(F/m=g+α)」となる。
-
作用反作用の法則は不要。
(解説)
・ニュートンの運動の第3法則「ある物体が他の物体に作用を及ぼすとき、それとは逆向きで大きさの等しい反作用が常に働く」(作用反作用の法則)は重力場の運動方程式に含まれているから不要である。
・この法則は残しておいても良いが、mが非常に大きい場合の極限値としてαがゼロになるときだけを別に法則として挙げる必要もないし、アインシュタインの重力方程式も一つであることに対応してニュートンの方程式も一つにした方が美しい。
(了)
戻る
|