中途身体障害者のなんちゃってエッセー



脳卒中後に自立するって事は?
 大事なご家族が脳卒中で半身麻痺などの身体障害者になってしまったら、ご家族の方は身の回りのお世話を何でもやってあげたくなると思いますが、その結果自立も出来ない何にも自分では出来ない人間になるのです。今も小生の家族は小生を全く身体障害者として扱わなくて「起きた時からがリハビリです」とか言ってほとんど何もやってくません。その結果自分でやらなければならないのでほとんどの事は自分で出来るのです。どうしても絶対に自分では出来ない事は、家族がやってくれていますが、ほとんどの事は自分でやっています。
 
 ただ何でもご家族がやってあげたのでは、当の本人は甘えるだけで自立は出来ないのです。ある程度突き放すのも本当のやさしさだと小生は思うのです。実際に家族が何でもやってあげている半身麻痺の人間を数人知っていますが、どの人も自立をしていなくて何年たっても「自分は障害者だから出来ない」「あれやって、これやって」と何でも家族にやってもらっています。なので本当のやさしさはある程度突き放す事だと小生は考えています。

 家族が何でもやってあげることは当事者を不幸にするだけだと思います。障害の程度にもよりますが、何でも最初から手を出すのは止めて、初めは何でも自分でやらせてみてどうしても出来なければ手伝うようにしないと駄目だと思うのです。今現在ほとんどの事は自分で出来るのはこのお陰だと僕は考えています。人間は何でも楽する事に慣れていくのです。バリアフリーでは駄目なのです、バリアアリーじゃないと。
 あくまで小生の体験・経験を元にした小生の考えなので何の根拠もありません.。
バリアフリー VS バリアアリー
 小生が入所した身体障害者更生施設は全館バリアフリーでした。三階建てでしたがエレベーターは数台あったし、階段には全て手すりが取り付けていたし、浴室まで洗い場が一段高くなっていて、車椅子のまま洗い場に簡単に移動が出来たし、浴槽も洗い場より一段低くなっていたので洗い場から座ったままで浴槽に浸かれるのでした。なんと浴槽の中にまで手すりがあったのでした。とにかく浴室から、トイレから物干し場から全てが身体障害者用にバリアフリーになっていました。物干し場は、物干し台が低く出来ていて車椅子に座ったまま洗濯物を干す事が出来ました。施設の職員も小生たち障害者が歩いていると避けて歩くし、障害者中心の世界だったのです。施設の名前は「身体障害者更生施設」でコンセプトは「脳卒中などで身体障害者になった方の社会復帰のための更生施設です。」なのにこのバリアフリーが更生の大きな邪魔をしていたのです。
 
 一生施設で生活をする障害者には快適かも知れませんが、自宅復帰、社会復帰を目指す障害者は、社会、家庭にはバリアだらけだからです。買い物に出れば子どもが走り回るし、全ての階段に手すりがあるわけではないし、小生たちが歩いていても施設のように周りが避けてくれる事もないし、外に出ればワイワイガヤガヤ人の波、自動車はとばしているのです。なのでこのようなバリアフリーで障害者中心の施設で自宅復帰に向けての訓練は全く役には立たないということを痛感しました。だから上記でも書いたようにバリアフリーでは無くバリアアリーで生活をしなければ社会復帰は出来ないのです。

これがバリアフリーを売りにした現在の更生施設に感じた事実です。
僕にとってのリハビリテーション
 病院では6ヶ月でリハビリが終了しました。次に入所した更生施設ではほとんどリハビリはありませんでした。理由を確認したところ「発病から半年から1年が過ぎると回復は見込まれないから。これ以上は回復しない」という事が理由でした。小生は現在発病から数年が過ぎていますが、諦めずに自宅から通所のリハビリ施設に通っています。リハビリ施設に通う以前から毎日で出来るだけ長い距離を散歩していました。それが最近、本当に薄皮を剥がすように少しずつ回復に向かっているのです。今まで出来なかった動きが普通に出来るのです。自分では気が付かない事も他の第三者の方から「あれ?一人で出来だしたじゃん」「歩くの早くなったな、それに休まないで二時間も平気で歩いてんじゃん」と言われるようになったのです。本当にいつまでリハビリを続けるかは本人の気持ちしだいですが、諦めないで続ける事に意味があるのです。半年単位のゆっくりとした変化ですが、ほんの少しずつ状態は良い方に変化しているのです。
 
 長島茂雄さんがこんな事を言っていました。「リハビリは自分との闘い」「しかしリハビリは嘘をつかない」と。しかし長島さんだから「日本一の設備」「日本一のリハビリ機材」を使い「日本一のスタッフ」がついているのですが、それでも本人にやる気が無ければ出来ないのです。小生たちも出来る範囲でリハビリを続けましょう。

 毎日リハビリをしなくても週に2〜3回のリハビリをとにかく続ける事です。毎日何時間もリハビリをして1年で止めたのでは意味が無いのです。生きている限り、体が動かなくなるまでリハビリは続けるのです。現在、全く左半身が動かない小生にはいくら頑張っても左手で右腕の袖をまくる事は出来まん。どうしても両手を必要とする事は出来ません。しかし他の事は以前のように全てが出来るようにこの先も生きている間はリハビリを続けていくのです。「もうリハビリは止めた。どうせ良くならないし」と思った時点で終わりなのです。「いつか良くなるぞ」と信念を持って諦めずに続けましょう。「継続は力なり」
何度も見る目覚めの悪い夢
 脳幹出血で身体障害者になって見る夢の中で目覚めの悪い夢は(目が覚めたとき泣きたいほどつらい夢)

@:夢の中では健常者で(昔の小生)夢の中で寝てしまい夢で自分が身体障害者になってしまい、つらい思いをしていると夢の中の小生の夢が覚めて「あ〜良かった!今の身体障害者になったのは夢だったのか」と安心をしていると、本当の夢から覚めてしまい実際は現実の自分が存在している。

A:夢の中でも既に身体障害者で、夢の中ではリハビリ効果で全ての機能が回復して昔の体に戻り、うれしくて「リハビリのおかげだ」と喜びをかみ締めていると夢から覚め、自分が本当に回復しているような錯覚がしばらく続くが夢だと認識したときに辛くて辛くて泣きそうになる。

 以上の2種類の夢は何度も何度も入院中から繰り返し見ている夢で、この悲しい夢を見たくないので、寝るのが本当に怖くて怖くてたまらないのです。この辛さは健常者の頃には経験した事が無かったですね。なので健常者の方々にはぜ〜ったいにわからないでしょうね。



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