脳卒中のリハビリテーションとは





 脳卒中やその他で脳に傷害を受けた人は、リハビリテーションにより能力の一部、あるいはすべてを取り戻すことができます。リハビリテーションは失われた機能を回復するのに役立ちますが、どの程度まで回復できるかは、大脳の損傷した部分がどこまで自然に治癒するかによって大きく左右されます。たいていの場合、自然治癒のプロセスは脳卒中や損傷が生じた後の6カ月間に進みますが、2年間ほど続く場合もあります。どの程度自然に治癒するかは正確に予測できません。治癒の程度を予測するのが難しいことも理由の1つですが、筋肉の拘縮などの他の障害やうつを防ぐためにも、リハビリテーションは患者が医学的に安定したらすぐに始めます

 大脳のどの部分が損傷したかによって、失われる機能も異なります。心理テストを含む詳細な診察により、リハビリテーションチームは損傷の種類や重症度を評価します。その後リハビリテーションチームのメンバーは、失われた機能のうち、リハビリテーションによって回復が見込めるのはどれかを検討し、患者に合わせたプログラムを作成します。リハビリテーションの成否を左右する要因には、患者の全体的な状態、関節可動域、筋力、排泄機能、脳が損傷する前の能力、社会的状況、学習能力、やる気、対処能力、リハビリテーションへの参加能力などがあります。

 脳卒中のために脳が損傷を受ける範囲は、詰まったり出血したりしている動脈がある場所に限られます。ですから、脳卒中の場合、損傷の範囲と症状は、比較的正確に特定できます。外傷によって脳が損傷した場合、障害の程度は、加わった力の大きさと方向、損傷が生じた場所によって決まります。脳腫瘍の摘出手術の際に、脳が損傷する場合もあります。手術した部位と大きさにより、その後患者にどのような機能障害が生じるかが決まります。

 拘縮を防ぐために関節を動かす訓練が必要な人もいます。また、協調運動訓練が必要な人もいます。脳卒中では体の片側が麻痺することが多いため、麻痺していない側の腕や脚を訓練します。ベッドに入る、向きを変える、寝返りを打つ、起き上がるなどの動作も訓練します。ベッドから出て、いすや車いすに1人で安全に移乗する力を回復することは、患者の肉体的健康と精神的健康にとって重要です。

リハビリテーションで専門の療法士が治療する障害には、歩行障害、協調運動能力の低下、筋肉のけいれん、視覚障害(片眼あるいは両眼に生じた半盲、全盲など)などがありますが、特別な方法で発語障害の治療も行います。たとえば、歩くのに問題がある人には歩行訓練プログラムが行われますが、このプログラムでは転倒予防の訓練もします。温熱療法や寒冷療法により、一時的に筋肉のけいれんを鎮め、筋肉を伸ばすこともできるようになります。片眼が見えなくなった人は、ドア枠などの障害物にぶつからずに歩けるよう、特別な訓練を行います。協調運動能力は、作業療法により改善されます。
  
 脳卒中や脳の外傷では、特に脳しんとうが起こった場合には、認知能力も低下します。認知能力の低下には、方向感覚、注意と集中力、知覚、理解力、学習能力、思考をまとめる能力、問題解決能力、記憶力などの障害があります。しかし、これらの障害すべてがどの患者にも現れるわけではありません。認知能力のリハビリテーションはとてもゆっくりと進められます。患者1人ひとりの状況に合わせて計画され、治療は1対1で行われます。このリハビリテーションは、動機づけと繰り返しにより望ましい行動を促すとともに、望ましくない行動は控えるように訓練します。

 多くの皆様が、「リハビリテーション」で、「動かなくなった手足が元通り動くようになる」事だとお考えだと思います。確かにリハビリテーションの基本は「麻痺した手足の訓練」ですし、「ほぼ完全に麻痺が快復する」場合もあります。しかし、全ての方がそのように経過するというわけではなく、リハビリテーションもその患者様の状態に合わせいろいろな方法があるのです。

 脳卒中で「一度破壊された脳組織は原則として治らない」ので「一度失われた機能はもどらない」可能性が高いのです。
ですから、リハビリテーションとは、「壊れてしまった脳を回復させて失われた機能を取り戻す」奇跡の治療法では決してなく、「脳の壊れてしまった部分の働きを、周りの生き残っている脳に改めて教え込んで同じ様な働きができるようにさせ」たり、「失われてしまった働きを、いろいろな形で補うことで過程や社会への復帰の手助けをする」ための治療法なのです。

 リハビリテーションの方向は大きく分けて:

@ 一度失われた機能の再獲得(症状・障害自体に対する訓練)
麻痺して動かなくなった手を動かすように訓練する、失語症に言語訓練する、など。

A 失われてしまった機能を他の形で補う(症状・障害をいかに補うかの訓練)
麻痺して動かない足に装具を付けて歩行訓練する、動かない右手の変わりに左手を利き手にする(利き手交換)など。

B 機能障害の悪化の予防(機能障害により新たに障害が出ることを予防)
麻痺のために関節が固まり動きにくくならないよう関節の運動をするなど。

C 障害を持っての家庭内・社会復帰の援助(環境の整備)
自宅の改造、障害者用自動車免許の取得など。

があります。







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