フェルメール 壁の絵に
9061
9061 Jan Vermeer: A Lady
Writing c.1665−70 Femme rn jaune ecrivant
une letter
Washington D.C. National Gallery of Art,
Gift of Harry Have-meyer and havemayer,Jr. in memory of their
father, Horace Havemeyer
2017・3・6 エントリー ヴィオラ ダ ガンバ
のカデンツ
毎週自動録画している 『美の巨人たち』 という番組の
フェルメール 『手紙を書く女』 の回を見て
やった〜〜〜! と 思わず叫びました。
あまりに お馴染みの
↑ この黄色の毛皮つきガウンの女性の 背景の壁の絵に
(真っ黒ですけど)
なんと 楽器が描かれている というではありませんか!
じつは
密かに フェルメールの壁の絵に 楽器があるのでは と
ずーーーっと 気になっている作品が あります。
↓ こちらの 『天秤を持つ女』 の背景にある 壁の絵。
これは 『最後の審判』 とういことなので
どこかに必ず ラッパを吹く天使がいるのでは と
拡大したり 検索したり ずっと調査を続けているのですが
いまだに 楽器があるのかどうか 解明できていません(涙)
それなのに
え〜〜〜〜っ?!!
まさか 『手紙を書く女』 の壁の絵に
楽器があっただなんて・・・
それでは この番組に感謝しつつ
その衝撃の内容を
ご紹介したいと思います。
TV東京 {『KIRIN-美の巨人たち』 フェルメール 手紙を書く女 より
この絵は 縦45cm 横40cm の小さな作品。
安定した構図の中に
輝くような黄色の毛皮つきのガウンを まとった女性がいる。
よく見ると ガウンの黄色の絵の具は
左肩のほんの一部分に使用しているだけで あとは茶色。
それが逆に いっそう黄色を引き立て
絵にインパクトを与えている。
フェルメールの作品で 黄色い衣装をまとった女性の絵は
全部で4点あり すべて別人。
ん?
この三人と その下の画像の BCDと 6人かも?
TV画像
他の三人は
あくまでも しぐさを描くモデルだったと思われる。
しかし こちらを向いて 手紙を書いている彼女だけは
フェルメールにとって 特別な存在である。
じつは
亡くなったフェルメールの財産目録に
この毛皮つき黄色のガウンの記載が残されている。
つまり このガウンは フェルメールの妻 カタリーナのもの と考えられるのだ。
また フェルメールの 手紙をテーマにした作品は
全部で6枚 確認されている。
TV画像
年代順にみると 六枚のうち 三枚までは 一人だけ描かれ
この絵B を境に その後 二人の人物が描かれるようになる。
それは 単に手紙を読む女性 から
手紙をめぐって揺れる人の心や そこから生まれるドラマに
フェルメールの興味が移っていったように思われる。
この中で 唯一 こちらを向いているのは Bの女性 だけ。
これは 手紙という手法を借りながらも
描きたかったのは この女性そのもの。
つまり これは 妻カタリーナの肖像画 なのだ。
と ここまで番組が進行したところで
いよいよ 壁の絵に 話が及びます。
背景の壁の絵には 一体 何が描かれているのか?
TV画像
TV画像
TV画像
何故 ここに楽器が描かれているのか?
楽器は 愛の象徴。
つまり この絵は 最愛の妻カタリーナへの
フェルメールからの ラブレターだったのかもしれません。
ばんざぁ〜〜い♪
この番組では
フェルメールの画法についても くわしい説明がありました。
フェルメールの絵には
@ポワンティエ 点描画法 A ウェット イン ウェット
という手法が使われていて
Aでは 絵具が乾かないうちに別の絵の具を塗り重ね
その細かな凹凸に光が反射する効果で いっそう絵が輝いて見える。
そうだったんだ!
が 楽器のことを ぬきにして
フェルメールの絵の中で 一番 感動した作品は
マウリッツハイス美術館の
『真珠の首飾りの女』 の対面に 展示されていた(2008年)
大作 『デルフトの眺望』 でした。
この絵の前に立った時
右側の窓から射す自然光に 絵の中のデルフトの町全体が
キラキラ キラキラ 輝いて
なんて美しい絵なんだろう と すっかり心を奪われてしまったのです。
そっか あれは
ポワンティエ と ウェット イン ウェット の魔術
だったのですね。
<追記>
2020年 西洋絵画の展覧会の中で 今年一番 と噂の
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展が
3月3日〜6月14日までの日程で
上野の国立西洋美術館にて 開催予定だったですが
世界中を震撼させているコロナウィルスの猛威の中
東京は 緊急事態宣言が 5月末日まで延長され
いよいよ この展覧会の開催も 危ぶまれる事態と なってきました。
ロンドン・ナショナルギャラリー始まって以来初の 大規模貸出し ということで
61点もの作品が 今 上野の国立西洋美術館で 開催を待っているのです。
コロナの鎮静化が見られない現状では もう無理なのかも。
このまま閉幕になったら 本当に惜しいなぁ と思いますが
ハマスホイの時ほどの ショックでないのは
↓ お目当ての フェルメール最晩年の作品
『ヴァージナルの前に座る若い女性』 のカードは
コレクション開始当初(20年以上前)から すでに持っていたから(笑)
72
72 Jan Vermeer: A Young
Woman Seated at a Virginal c.1673−75
London. The National Gallery, reproduced by courtesy of the
Trustees
1999・9・9 エントリー 楽器
そんな中
嬉しいことに ハマスホイ展と 同じように
BS日テレ 『ぶらぶら美術・博物館』 が
開催延期中の 『ロンドンナショナルギャラリー展』 を
二回にわたって 先行放映してくれたのです。
そして その番組の中で
またまた 新たな嬉しい発見がありました。
ほら!
この壁の絵にも リュートを弾く女性が描かれていたんです♪
TV画像
主任研究員 川瀬祐介氏の解説によると
この画中画に描かれているのは
リュートを弾く女性と 売春宿の男性客と 取りもち女
という三人の構図で
音楽は 快楽の隠喩となっている。
これまでの フェルメールの絵の特徴は
いつも 左手の窓から光が部屋に差し込む構図だったが
ここでは 部屋の窓は閉ざされ 少し雰囲気が異なる。
手前には カーテン
そばに ヴィオラダガンバ が立てかけてあり
チェンバロを弾く女性が こちらを ふり向き
一緒に音楽を楽しみましょう と誘っているかのよう?
それは男か?
この時代の風俗画は あえて答えを描かず
思わせぶりに 興味を起こさせる手法をとっている。
この晩年の作品では
これまでと 明らかに 描き方が異なっている。
フェルメール特有の光の捉え方である
スポイトで水滴を落としたような 細かいハイライトの手法を使っていないため
光点が弱くなっている。
そのため この作品は それほど評価されてこなかったが
もしかしたら フェルメールが さらなる描き方を模索している途中だったのかも。
もう少し長生きしていたら
さらに新たな手法を 完成させたのかもしれない
とのお話でした。
(上記参照)
@ポワンティエ 点描画法 Aウェット イン ウェットの手法
Aは 絵具が乾かないうちに 別の絵の具を塗り重ね
その細かな凹凸に光が反射する効果で いっそう絵が輝いて見える。
コロナ禍で 今年の展覧会は ことごとく 開催中止の憂き目にあっていますが
そんな中
ハマスホイ展に 引き続き ロンドン・ナショナル・ギャラリー展も
BS日テレ 『ぶらぶら美術・博物館』が 取り上げてくれました。
心から 感謝の拍手を 送ります!
<追・追記>
六月に入り コロナ対策での休業要請が段階的に解除され 美術館博物館も対象に。
国立西洋美術館で2020年3月3日〜6月14日までの開催予定だった
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展は間に合わないはずでしたが
なんと 会期変更となり 2020年6月18日〜10月18日までの日程で
開催されるという ビッグニュースが飛び込んできました!!
すご〜い♪
さて 巣ごもり状態が続く中
さらなる大発見が ありました!
この 『フェルメール 壁の絵に』 という テーマ
手前みそながら なかなか奥深いのかも。
じゃあ〜ん!
↓ この絵の壁の絵にも ご注目!
71
71 Jan Vermeer: The Concert
c. 1665/66 Boston, Isabella Stewert Gardner Museum
1999・9・9 エントリー アンサンブル
なんと この絵にも
『ヴァージナルの前に座る若い女性』 の画中画と まったく同じ
リュートを弾く女性と 売春宿の男性客と 取り持ち女の あの絵が
壁に飾られています!
どちらのカードも 20年以上前から ファイルしていたのに
今の今まで
まったく 気がつきませんでした(汗)
『フェルメール 壁の絵に』
という このページを作成して 三年経ちますが
テレビ番組から 教えてもらったことだけに留め
他の作品の壁の絵は チェックしてみなかった
向学心のなさに 反省しきり。
72の 『ヴァージナルの前に座る若い女性』 では
この壁の絵が ビオラダガンバを弾くであろう 男性の存在を
それとなく 匂わせていたようでしたが
71の 『合奏』 での この壁の絵の役割は どうでしょう?
ウィキペディア 『合奏』について
座ってハープシコードを弾く女性
後ろ向きに座ってリュートを弾く男性
立って歌う女性 の三人が描かれている。
(中略)
背景の壁の右側の絵は
フェルメールが
『ヴァージナルの前に座る若い女性』 の背景にも
描き入れている。
↓ この絵は 娼館の情景を描いた
ディック・ファン・バビューレン作 『取りもち女』 で
ウィキペディア画像
フェルメールの義母 マリア・ティンス が所有していたが
(模写という説もある)
当時のオランダ絵画において 音楽は性愛と関係づけられることもあり
この絵が それを象徴している と考えられている。
実際に 存在する絵 だったのですね。
『ヴァージナルの前に座る若い女性』 と 『合奏』 の共通点は
この 壁の絵 のほかに
部屋手前のカーテンのような 厚手の織物
床の白黒デルフトタイル
床に置かれた ビオラダガンバ など。
『ヴァージナルの前に座る若い女性』 とは違い
『合奏』 の三人からは 意味深な暗示は あまり感じられず
ごく普通の演奏図かな と思っていました。
でも
バビューレンの絵が 壁に飾られているということは
この三人の関係にも 深い意味が隠されているのか?
二枚の絵の 制作年月日には
およそ10年くらいのギャップがあります。
最晩年のフェルメールは
振り向く若い女性に さらに なにか新たな暗示を匂わせて
描いたのでしょうか?
ちなみに 71 の『合奏』は
アメリカの慈善家で 美術収集家の イザベラ・S.・ガードナーが
1892年 パリのオークションで落札
ホストンに創設した イザベラ・S.・ガードナー美術館に展示されていたが
1990年盗難され 行方不明に。
フェルメールの作品は これまで たびたび盗難にあったが
この作品のみ 現在も行方不明のまま。
盗難絵画としては もっとも高額な作品とされている。
ということです。
フェルメールが 壁の絵 に使用した
ディック・ファン・バビューレン作 『取りもち女』のカードは
未入手ですが
彼の 他の作品を 二枚コレクションしていますので 参考まで。
3454
3454 Dirck van
Baburen (1594/95-1624) Luitspeier, 1622
olieverf op doek 71.4 x 58.6cm
Aankoop met steun Ver. Rembrandt 1955
Coll. Centraal Museum Utrecht/ c1995 Art Unlimited/Reproduction
prohibited
2004・12・11 入手 リュート
5685
5685 Dirck van Baburen (1590/95-1624)
Der Flotenspieler Lenwand, 70 x 55cm
Eigentum des Kaiser Friedrich-Museums-Vereins Kat,Nr,KFMV.291
GEMALDEGALERIE Staatliche Mussem zu Berlins 2009・1・30 入手 フルート
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