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大津絵の鬼

 

 2695

2695  大津絵 おにのさんざい  京 版元 まつ九   2003・7・17入手  三味線

 

のカデンツ

 

↑ このカードは ご実家が 滋賀県大津方面の友人  KM  から頂きました。

ユーモラスなイラスト画で とてもインパクトはあったのですが 

カードに書かれた 大津絵 という文字は 気に留めませんでした。

 数年後  ↓ 4249 のカードを 別の友人 YT から もらって

 あ あれと似たカードだな と思い 見比べてみて 初めて

両方に共通する 大津絵 という文字を 認識したのでした。

ネットで検索し

いろいろなサイトで学習したところ

大津絵とは

江戸時代、人々の往来で賑わった東海道の宿場町、大津で生まれた民画。

その後 大津の絵師たちにより 独自に継承されてきた。

初期は仏画として やがて世俗画として描かれ 

江戸後期には 大津絵十種 という代表的画題が確立。

@鬼の寒念仏  A長頭翁 B藤娘 C瓢箪鯰(ひょうたんなまず) 

D鷹匠 E座頭 F雷公 G槍持ち奴 H長刀弁慶 I為朝

さらに 教訓的 風刺的な 道歌なども 添えられるようになる。

道歌とは 

道を説く教えを分かりやすい歌として表現したものだそうです。

東海道大津宿として にぎわっていた頃 

この大津絵は 旅人たちの格好の みやげ品となり

また 護符としての効能も唱えられたので たいそう人気をはくしたとか。

たとえば 『藤娘』 は良縁に  『鬼の寒念仏』 は子供の夜泣きに というように。

しかし 鉄道が開通すると 徒歩の旅人が減少 

大津宿も大津絵も それにともない 徐々に衰退していったということです。

 

 

4249

4249 大津絵 鬼の三味線 18C 江戸時代(部分) 日本民藝館所蔵 2007・1・12入手  三味線

 

 

大津絵はこのユニークな三味線を弾く鬼が いつも主役とは限らない 

ということも分かりました。

 大津絵独自の技法としては

旅人の需要に応じ 数多く迅速に描かねばならぬ必然性から

合羽摺り 版木押し そして コンパス 定規 などが用いられた。

色も 七色ほどで描かれ、 簡素で のびのびとした描線などが特徴となっている

 とあります。

ほんと 愛嬌があって 見ているだけで楽しくなる絵ですよね。

どこか ちょっと 風神雷神図にも通じるような。

今後 この大津絵の鬼さんたちが 

たくさんこのコレクションに集まってくることを期待して この展示室を設けました。

 

 


 

 

<追記>

その後 大津に旅することもなく 

大津絵を新たに手に入れるチャンスもなく 

7年近く経ってしまいました。

ある日 この展示室を開き 

あれ以来ちっとも この鬼さんたちが集まってこないなあ と嘆いていた時 

ふと 時代の流れで大津絵が衰退したなら 

今という時代 旅をしなくたって ネット販売って手段があるんじゃない? とひらめき

大津絵 & ポストカード で検索してみたところ 見つけたんです!

大津にお住まいではない 現代の作家さんの 独創的な作品群を!!

やはり大津絵は 現代に 継承され続けているんですね。 

(注: 伝統的な大津絵は、滋賀県の四代目高橋松山先生という方が大切に継承されているそうです)

では さっそくネットで手に入れた 

河口邦山氏の作品を お楽しみください。

 

まずは 鬼の三味線  道歌(?)が添えられています。

 

7338

7338 河口邦夫  2013・11・24入手 三味線

 

 

 

 

↓ 前述の大津絵の代表的画題の 鬼の念仏 と 藤娘 のツーショット。

7342

7342   河口邦山  2013・11・24入手 うちわ太鼓

 

 

↓ こちらは 鬼の寒念仏 (鬼の念仏)

鬼をモチーフにした 大津絵の代表作。

小寒から立春までの寒の明け方 

山野や家々の門前で念仏を唱えながら 歩きます。

この鬼は 袈裟衣を着て 鉦を首からぶらさげ

左手には奉加帖帳 右手には 鉦を打つ槌を持っています。

鉦は うちわ太鼓と呼ばれる 法具の一種。

この 僧衣をまとった鬼の姿は 

慈悲ある姿とは裏腹な偽善者を風刺したもの 

だったそうです。 

顔かたちは鬼のままなのに

衣装・小道具だけ僧侶のつもりになっても・・・と。

ただ 頭の角を片方 折っているのは 

我欲を戒めているという合図となり

多少の救いはみられる ということです。

 

7335      7337

 

7336       7334

 

7335  7337  7336  7334 鬼の念仏(逢都絵) 河口邦山 画    2013・11・24入手 うちわ太鼓

 

 

 


 

 

 

<追・追記>

 

『雷公の太鼓釣』 を入手!

雷神の鬼が地上に落とした太鼓を 弁慶が 吊り上げようとしている図で

どんなに熟練したものでも 時には失敗することもある という教訓だとか。

 

 

 

9152

9152 大津絵 釣鐘弁慶  絵葉書資料館蔵  2017・5・23入手 

 

身体剛健にして大金を持つ という護符に。

 

 


 

 

<追・追・追記>

久しぶりに コレクションの太鼓のファイルを 眺めていた時

 あれ〜〜? 

これって うちわ太鼓に 藤娘・・・

ということは

↓ このカードも 大津絵なのでは? と やっと気づきました。

 

 

 3554

3554  神坂雪佳  大津絵  2005・3・10入手  うちわ太鼓

 

 

前述した 大津絵十種 という代表的画題は

@鬼の寒念仏  A長頭翁 B藤娘 C瓢箪鯰(ひょうたんなまず) D鷹匠

E座頭 F雷公 G槍持ち奴 H長刀弁慶 I為朝

 そういえば

うちわ太鼓の鬼の寒念仏と 藤娘の間に ひょうたんを抱えている人がいるので C瓢箪鯰 

内またの羽織の人が 肩にのせているのが鷹なら D鷹匠

一番左は おおきな釣鐘を抱えた H長刀弁慶 でしょうか?

鬼の寒念仏と 鷹匠の間には 白鬚老人で頭の長い(梯子のようにみえる) A長頭翁

弁慶と鷹匠の間の 後ろ向きの奴さんは G槍持ち奴

一番右には 雷太鼓だけ ちらっと見えますので F雷公 か。

その隣の 下駄を履いて棒を振り回しているような人は 

残り二つのうちの 為朝 とは思えないので E座頭 か?

 

ファイルから取り出して カードの裏の情報を確認したところ

やっぱり 題名が 大津絵。

3554 ということは 大津絵として 冒頭の 鬼のさんざい のカードの次に 

このコレクションに エントリーしていたことになります。

当時 大津絵 のことなど 全く知らず

大津絵 と題名を入力しても 

鬼のさんざいカードとは 結びつきも しませんでした(汗)

 晴れて この展示室に登場!

 

ところで このカードの作者  神坂雪佳 

お洒落な女性の名前と 思われるかもしれませんが

かみさか せっか (1866−1942) と読み 本名は 神坂吉隆。 

明治から昭和にかけて 京都画壇で活躍し

 琳派の流れを継承した近代デザインの先駆者としても 

多大な功績を残した方だそうです。

 

 

展示室 牛歩リズム でご紹介している 神坂雪佳の 

『牧童』 の絵が大好きなのですが

そのわりに 画家の名前を 気に留めていなくて

このカードが 『牧童』 と同じ人の作品だとは 

今の今まで まったく気付きませんでした。

えっ? 

エクセルで入力する時 同じ作家の作品は分かるのでは ですって?

それがですねぇー

せっか と読むなんて知らなかったものですから 

雪 と 佳 を 一文字ずつ変換して 入力してたんです(汗)

何を隠そう

  現代のお洒落な女性の名前と勘違いしていたのは  

この  自身なのでした。

で 

かみさかせっか(神坂雪佳) と入力して 

オートフィルターにかけてみたところ

なんとびっくり 神坂雪佳のカードは 

5枚も コレクションしていました(汗)

『牧童』以外は  どれも ポップなデザインのカードで

まさか 明治から 大正 昭和と活躍していた方だとは 

思いもよりませんでした。

あなどれない 神坂雪佳! 

 『琳派の流れを継承した近代デザインの先駆者として功績を残した』 

というのに ぴったりのカード 『雷神図』 も ありましたので 

さっそく  展示室  風神雷神図屏風  で ご紹介しています。

 カードコレクションをはじめて  かれこれ 15年近く 経つというのに 

知らないことばかり 驚くことばかり の日々ですが

コレクションカードから いろいろなことを教えてもらっていることに 感謝。

 

 


 

 

2017年 壽 初春大歌舞伎公演

大津絵道成寺

愛之助さんが 早変わりで五役を演じた舞台の記念カード 入手。

 

 9048

9048  かぶきねこづくし 2017・2・4入手 釣鐘 & うちわ太鼓

 

歌舞伎公式サイト 『歌舞伎人』 から

近江の三井寺では 鐘供養が行われ 外方が唐子を従えてやってきます。

外方が酒宴を始めると 藤娘が鐘を拝ませて欲しいと現れ

外方は舞を所望します。

藤娘は舞を始めますが いつのまにか消えてしまい

今度は鷹を追って 鷹匠が現れます。

その後 犬とじゃれつきながら座頭が去り

いなせな船頭が現れ踊ります。

再び藤娘があらわれたのですが 落ちた鐘の中に姿を消します。

しかし弁慶が祈ると 鐘から大津絵の鬼が現れ

駆けつけた矢の根の五郎が祈り伏せるのでした。 

 

 

大津絵十種から

 藤娘 鷹匠 長頭翁  

座頭   瓢箪鯰(ひょうたんなまず)

鬼の寒念仏 

 

 

 


 

 

2018年  浅井忠の鬼の寒念仏 入手!

 

デジタル版 日本人名大辞典+Plus

浅井忠( 1856−1907) は 明治時代の洋画家 安政3年6月21日生まれ。

工部美術学校でフォンタネージに師事。明治22年明治美術会の創設に参加31年東京美術学校教授。

フランス留学後の35年京都高等工芸教授。門下に安井曾太郎(そうたろう),梅原竜三郎らがいる。

関西美術院初代院長。明治40年12月16日死去。52歳。江戸出身。号は木魚,黙語。

 

 

黙語図案集より 

 9467

9467 大津絵図・鬼の寒念仏  浅井忠 『黙語図案集』 より  UNSODO
2018・2・21入手    うちわ太鼓

 


 

  

 

こちらにも 大津絵のキャラクターが たくさん登場していましすね!

 

 1515

1515 擬土佐又平筆法遊擬人物図  富岡鉄斎 77歳(大正1) 
清荒神清澄寺蔵  Otsue Figures in the Manner of Tosa Matahei
2018・10・28入手(差し替え)    うちわ太鼓

 

 


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