説明文を読む力をつける国語の自主学習 |
5年生説明文「森林のおくりもの」学習指導案 |
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○ | 森林と人間の関係に関心を持ち、説明されている内容を主体的に読み、自分なりの考えを持とうとする態度を育てる。 |
○ | 森林と人間の関係について、筆者のものの見方、考え方がどのように述べられているか、表現に注意してとらえ、自然と人間の関係について自分の考えをまとめ、他の資料で調べることができるようにする。 |
本教材は、森林と人間生活の関係について述べた説明文である。筆者は「森林のおくりもの」
として6つの観点から述べている。これは大きく2つに分けて考えることができる。一つは木そのものの「おくりもの」であり、もう一つは、森林の果たしている目に見えない役割としての「おくりもの」である。前者は、「木材」・「紙」・「火」に分けることができる。後者は、「川の水がなくならない」「土が雨に流されない」「土と養分を補ってくれる」と整理することができる。筆者は、こうした観点で整理しながら、巧みに自分の考えを織り交ぜ、事実に基づいて説明を進めている。
そして、最後に現代の日本人が森林の恩恵を受けることができるのは、山を守り続けてきた先祖のおかげであるとしたうえで、その幸せに感謝し、森林を守る仕事の重要性を認識しなければならないと論を結んでいる。
文章の構成は、序論ー本論ー結論と尾括型の構成になっている。それぞれの観点からの説明も、問いかけに対して事実に基づいて自分の考えを述べており、大変わかりやすい構成の説明文である。
こうした説明文を学習することは、文章の主題や段落の要旨を正確に読みとる力をつけるだけでなく、自然や社会に対する関心が高まったこの時期の児童に、森林の果たしている役割の重要性について考えさせるうえでも意義深い。
また、さらに発展させて、自然と人間生活の関係について自分なりの考えもまとめさせてみたい。 |
本学級の児童は、男子19名、女子21名の計40名である。意識調査では、上記のような結果がでている。説明文に対する苦手意識がなかなか克服されていない実状がわかる。しかし、国語の学習が嫌いという児童や、説明文の学習のしかたがわからないという児童がほとんどいないのは、これまでの学習の効果があらわれているといえる。
また一方で、国語に対する関心の高い児童が多く、読書量調査では、11月末までに学級全体で1030冊の本を借りている。もっとも借りている児童は90冊に迫ろうとしている。また、読み声カードの提出状況では25名が100日以上の読み声を続けている。説明文の読み方についても、「学習問題」「論の展開」「文章構成」等に気をつけて読む力がついてきている。
「学習問題の作り方」は、これまでの説明文の学習でかなりなれてきたが、文章全体に関わるような学習問題を自らの手で作ることのできる児童は、ごくわずかである。
また、逆にほとんど本を借りない児童も3名いる。読み声カードもほとんど提出しない児童が2名いる。教師の支援を受けながらでないと、学習問題を作れない児童も多い。
しかし、本教材は、5年生としての説明文の最後の教材であるので、主体的に文章を読んでいく力を身につけさせ、説明文を読むことによって知識をふくらませたり新しい発見をしたりしていく喜びを何とか味わわせたいものである。 |
そこで、指導にあたっては、まず問題解決的な学習形態をとり、単元全体を、「つかむ」「調べる」「深める」「まとめる」という流れで構成し、単元全体の学習を通して問題解決的な学習が進められるようにしたい。次に、児童の主体的な活動の場を確保するために、児童が自主的に学習する内容と、教師や友達と協力しながら考える内容に分けて整理する。これは、主体的に学習を進めたり、個に応じた支援する場を明確にすることにもなる。
学習問題作りでは、まず、大まかな段落構成をつかんでから大きな学習問題を作り、次に意味段落ごとの学習問題を、「おくりもの」という視点から考えさせるようにしたい。児童にとって考える道筋をわかりやすくすることも、大切な支援である。
「書く活動」は、児童の自主的な活動の中で、積極的に取り入れていきたい。本時でも、「教科書への書き込み」「への記録」「考えを書く」といった活動を取り入れたい。
読みとったことのまとめは、図や絵、表などのさまざまな形で主体的にまとめさせ、グループ学習や一斉学習の中で、自分の考えやまとめと友達の考えと比較させながら、読みとりを深めさせていきたい。さらに、読みとったことをもとに、筆者の考えについて自分なりの感想も持たせたい。
また、児童の学習の手助けとなるワークシートを積極的に活用したり、いろいろな種類の木の実物を準備したりして、児童の主体的な読みをさらに深いものにしていきたい。 |
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段階 |
学習内容及び学習活動 |
主な発問と児童の反応 |
書く活動支援評価留意点 |
準備 | ||
つ か む |
1問題の確認 |
○これまでの学習を整理しましょう。 |
使われ方 の表 | |||
○ 森林のおくりものは、本当におくりものだろうか。 |
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3調べたことを発表する ・おくりもの ・つかわれかた |
○森林のおくりものには、どんなものがありましたか。 ・木材・紙・火 ・川の水がなくならない ・森林の土が流されない ・土地がやせてしまわない |
○発表を支援、補足しながら、学習したことを想起させる。 ○調べたことを意欲的に発表できたか。 (評) | ||||
し ら べ る |
4「森林のおくりもの」の意味について考える |
○「おくりもの」とは、どういう時に使いますか。 ・プレゼント ・人に何かをあげるとき ○「森林のおくりもの」の中で「おくりもの」としてはふさわしくないものはどれですか。 ・川の水がなくならない ・森林の土が流されない ・土地がやせてしまわない ○筆者はこれらの「おくりもの」のことをなんといっていますか。 ・別のおくりもの |
○ノートに書き出す (書) ○書き出すだけでなく書き出したわけを発表させる。 ○「別のおくりもの」という言葉に気づいて、書き出すことができたか。(評) |
辞書 | ||
ふ か め る |
5「別のおくりもの」の意味について考える |
○川の水がなくならなかったり、土が流されないことがなぜおくりものになるのですか。 ・山くずれや災害から私たちを守ってくれる ・土や養分をたんぼに補ってくれる ・川の水は、森林が大切に守っていたものだから ・川の水が運んできたものは森林が持っていたものだから ・森林の宝物を私たちにくれているから |
○森林の直接的なおくりものだけでなく、存在そのものが、私たちの生活を守っていることに気づかせる。 ○ノートに記録させることで自分の考えをはっきりさせる。(書) ○資料を用意し、森林がなかったらどうなるか考えさせる。 ○森林の働きについて、自分なりの考えを持つことができたか。(評) |
水と土の資料OHP | ||
ま と め る |
6「森林のおくりもの」 についてまとめる 6次時の学習内容をつかむ |
○森林のおくりものは、あなたの言葉で表すとどんなものだといえますか。 ・私たちのくらしを守ってくれる ・森林のめぐみ ・森林の力 ・森林の役割 ・森林からのプレゼント ○今日まで調べたことをもとに、筆者の考えに迫っていきましょう。 |
○自分の言葉に置き換えることで、読みとったことを表現させる (書) ○森林のおくりものを自分の言葉で表現することができたか。(評) ○次時の予告をし、筆者の考えをつかもうとする意欲を持たせる。 |