富士登山 山頂 → 5合目


剣が峰から見る御来光

最高点の碑がある測候所脇の展望台からついに御来光を見ることが出来た。

空がゆっくりとオレンジ色に染まり、午前4時52分、太陽が姿を見せると、いっせいにカメラのシャッターを切る音が聞こえる。
同時に「すごい」とか「わぁ」とか歓声と、中には万歳したりして喜ぶ者も。
ただの日の出であるが、日本人は日の出が大好きなんだ。

結局、一緒に来た4人の中で最高峰オブ最高峰、剣ヶ峰まで来たのはオレ(ピッキー)1人であった。

(回想 ちょっと前に戻る)

ガイドさん:今からお鉢巡りに向かいます。今からかだとぎりぎり剣が峰で日の出が見られると思います。ただし、途中で神社・郵便局へ寄ると ちょっと難しいかもしれません。ともかく、みんながんばって行きましょー!
一同:お〜!!


人数は10人前後だっただろうか・・・
まだ暗かったこともあり正確な人数は覚えていない。
思ったより少ないなという印象。
個人的にはまだまだ体力は残されていたので迷わず参加を決めた。

チームアドベンチャーでは隊長のみ不参加
なんてこった隊長・・・だからあれほど体を鍛えるように行ったのに。
「ダイエットを兼ねて運動しなきゃ」と言いつつ何もしないで食っちゃ寝、食っちゃ寝してるからこうなるのだ。

お鉢巡り部隊、いざ出発!

日の出時刻まではとにかく時間がない。
空はいよいよ漆黒の闇から東の水平線に朝焼けが出始めようかというところだ。
幻想的な風景にしばし見とれていたい気分だが急ぎ足で歩き始める。

思ったより道も悪い 時にはまだ薄暗い中、断崖に近い場所も歩いたため、やや怖くはあったがそれよりも、なんとか早く剣が峰に立ちたかった。

朝焼けが始まった・・・急がないと! 噴火口

やがて暗闇の向こうにひときわ高い峰が見えてきた。
あれこそが真の日本最高所・・・剣が峰

周囲にはまだ雪が大量に残っている。
その手前に見える噴火口。
近づくこともできるが柵もないのでうっかりすると落ちてしまいそうだ。
まだ薄暗いし、吸い込まれそう・・・と表現した方がピンとくるかもしれない。


剣が峰が見えてきた
まる子:私たちは剣が峰行かないで、郵便局と神社へ行くから。
ピッキー:あれ?ここまで来て行かないの?
しずる:だって両方行ってる時間はないっていうし、私の目的はもともと神社だもん。じゃあね〜、ば〜い!


ここで神社・郵便局部隊と剣が峰部隊の2つに分かれることとなった。
女性はみんな神社・郵便局部隊の方へ行き、剣が峰部隊は男性5名のみ。

ガイドさんは神社・郵便局部隊を目的地まで案内するという役目が生じたため、剣が峰部隊の中から厳選された勇者に赤い指示灯が渡され、ここから剣が峰までは彼が先導することとなった。

この頃になると日の出が近くなり、周囲もだいぶ明るくなっていた。
さらに道幅の広いところまで来たので縦一列でなくとも移動できるようになっていた。
かと言って、楽になったワケではなく、ここから剣が峰は急勾配の難所「馬の背」
写真で見るだけでもキツそうだけど、実際に上ってみるとやっぱりキツい。とにかくキツい!!
斜度もかなり急だが、さらに砂地なのでまともに立てない

早く・・・早く行かないと日が登ってしまう・・・

焦る思いと共に手足は砂地に吸い込まれていくようだ。
ストックをうまく使いながら時には四つんばいでじわりじわりと上っていく。

そして、ようやく剣が峰に到達!!

ついにやった!!
そして、日本の最高地点から御来光を眺めたのである。


滑らないように慎重に
御来光を見つめる人々

ここで後から追いついたガイドさんと合流。
ここからは下山スケジュールとの戦いであった。
さらにスピードアップ!!(高度3776mです)

すぐに足元の粗目上に凍った雪が我々を襲う。(7月の後半です)
聞くと、数日前まで雪のため通行不可となっていたらしい。
実に運がいい。


影富士
ガイドさん:影富士です!
しかし、うっかりして噴火口までおちたら目も当てられない。
慎重に、かつ急いで雪ゾーンを抜け、さらにお鉢の外周の丘に立つとそこには・・・


説明不要かもしれないが、蛇足ながら・・・影富士とは朝日(または夕日)を浴びている富士山の姿が雲海や地上に影となって映っている有名な光景です。
タイミング的にはご来光が見え始めてから30分くらいの間がチャンスなんだとか。
ガイドさんが急いだ理由はこれもあったようだ。

さすがにこれは感動である。

しばし影富士を見物したあとお鉢続行。
ますます時間がなくなってきて、ほぼ小走り状態。(高度3700mは越えてます)

あまり景色を見ている余裕はなかったが、上を見れば青空、下を見ると赤茶けた土、そして一部雪、そして眼前に広がる雲海。
なかなか見れない風景でこれも感動。

これまで人もまばらだったが、いきなり人が多いところに出た・・・と思ったら、ここがお鉢巡りゴール地点であり、スタートした地点。
これにてお鉢巡り任務完了。

眼前に広がる雲海 久須志神社の鳥居 これでお鉢巡り終了

振り返れば剣が峰、前を見れば見事に輝く太陽が我々を祝福してくれるかのように燦燦と輝いていた。
久須志神社の鳥居のあたりで神社・郵便局部隊へ加わったまる姐さん、お鉢巡り不参加の隊長と再会となった。

(ピッキー)

再び全員集合

Pi-子隊長:御来光見た?
ピッキー:剣ヶ峰から見たよ。
まる子:私としずるさんは郵便局と神社へ行ってて見なかった。
Pi-子隊長:え?見なかったの?
まる子:うん、気がついたら日が昇ってて・・・
Pi-子隊長:ところでしずるは?
まる子:あ、なんか気分悪いって山小屋で休んでるよ。
Pi-子隊長:えっ、あのしずるが!?

ちょっと心配。
でも、ここまで来ちゃったら自力で降りるしかないしな。

ガイドさん:皆さん、お待たせしました。これから下山します。
あれあれ、しずるは?
まぁ、置いていっちゃっても大丈夫そうだし、ネタとしておいしいし〜、と思ったら、ちょっと離れたところでしずるとまる子さんとしゃべっていた。
いつの間に・・・(ああ、残念だ)

Pi-子隊長:しずる大丈夫?・・・って見た感じ大丈夫そうだけど。
しずる:うん、20分ぐらい休んでいたら、なんとかよくなったみたい。


今度こそ、再び全員集合

そして下山開始。
登ってきた砂礫の道を今度は下って行く。
それにしても高度3776mの山だってのにすごい人。
御来光を見た人々がいっせいに下山を開始しだしだので、さながらライブが終わった後で出口へ向かう人のよう・・・


山頂は砂礫と溶岩しかない(たまに雪)
   日本で一番高度も人口密度も高い場所
   ・・・かもしれない

登りはあれだけ苦しめられた砂礫だけど、1歩で3歩分ぐらい滑り降りることができるから爽快だね。
人がもっとすくなければ、もっと爽快に降りられることだろうけれど、たぶんみんな同じことを思っていることだろうな。

駄菓子菓子(あ〜あ、また使っちゃったよ、こなつちゃんネタ)
ルンルン気分で降りて行けたのは最初だけ。
調子に乗って滑り降りていくと、ズルっと滑り、バランスを失って転ぶ。
登山の疲れですでに足がガタガタ。


雲はまだまだあんな下に・・・
8合目まで降りてくるまでに、かなりの疲れきっていた。
しずる:けっこう降りたと思ったのに、まだまだ雲が下にあるねぇ・・・ (@o@)
Pi-子隊長:8合目だもん。まだまだ、だよ。 (;^_^AA

ガイドさん:皆さん、私の声が聞こえるところに集合してください!

ぞろぞろぞろ
それぞれに散って休憩していた人たちが集まる。

ガイドさん:登りは私のペースについてきていただきましたが、下りはそれぞれのペースで行ったほうが楽だと思います。
それはそうかもしれない。
豪快に砂礫を滑り降りて行く人、転ばないように慎重に行く人、それぞれだもんね。

ガイドさん:ですので、ここで解散とさせていただきます。しかしながら、皆さんが富士スバルライン五合目まで無事着けるように、それから バスの時間に遅れないように、私は一番後ろから行って追い立てます。つたないガイドではありましたが、ありがとうございました。
( ^^)// (^−^)//( ^o^)// ( ^。^)// パチパチパチ
こちらこそ、どうもありがとうございました。

Pi-子隊長:さて、じゃあ、下山・・・
ピッキー:あ、オレ、ちょっと写真撮りたい。ここから山中湖がきれいに撮れるし。
しずる:フリースたたんでおこう。さっき丸めてリュックにつっこんじゃったから。

太陽が出ると気温はぐんぐん高くなり、さっきまで山頂で震えていたのは何だったんだろう?といった感じ。
ここから先は夏の装いで大丈夫・・・

まる子:日焼け止め塗っておかなきゃ。山は地上に比べて紫外線がすごく強烈なんだから。
暑いけど、上着脱ぐのはやめておこう。

しかしまぁ、夏だってのに長袖着込んで、砂煙避けのサングラスとマスク・・・これじゃあ、どこかのコンビニ強盗か過激派、はたまた将軍様のいる北の国から逃げてきた人たちみたいだ。


山中湖がきれいに見える 平地でこんな格好していたら不審者だね

とりあえず、準備が整ったので再び下山開始。
下山道はひたすら人工的なジグザグ道が続きます。
非常に単調。右へ行って、左へ行って、右へ行って、左へ行って、右へ行って、左へ行って、右へ行って、左へ行って、右へ行って、左へ行って、右へ行って、左へ行って、 右へ行って、左へ行って、右へ行って、左へ行って、右へ行って、左へ行って、右へ行って、左へ行って、右へ行って、左へ行って・・・の繰り返し。

ああ、でもちょっと下山のコツがつかめてきたかな。
慣れてくるとわりと爽快にスピードを出して滑り降りることができ・・・

すってん!!

調子にのっていたら転んだ。

しずる:Pi-子、また転んだ〜(笑)
うるさい!
ピッキー:体型が丸いから転がりやすいんだよなぁ、これが。(笑)
もっとうるさい!!
Pi-子隊長:疲れて足がカクカクになってきたんだよ!ちょっと休もう。

ジグザグの折り返しの所に広めの場所があり(スピード出過ぎて止まらなくて落下しないように、なのか休憩スペースなのか不明)そこで休憩。
う〜ん、微妙にヒザが痛いな。歩き方が悪いんだろうか。
調子にのって滑り降りていくと転ぶか、人にぶつかるかし
砂煙がすごくサングラスもマスクもとれないもんだから、暑いし、マスクしてるから息でサングラス曇っちゃうし(「メガネが曇らない」がうたい文句のマスクだったのに!?)
登りとは別の意味で疲れる下り・・・

ピッキー:オレはヒザよりも足のつま先が痛いんだよな。
ガイドさん:「かかと」から降りるようにした方がいいですよ。途中でツメがはがれたら、かなりの苦痛です。

あれれ、ガイドさんが・・・ってことは・・・

しずる:私たちビリですか?
ガイドさん:そうですよ、がんばって!!

休憩でちょっとまったりし過ぎたか。
Pi-子隊長:休憩終了!さ〜、行くよ〜!!


さ〜、下山再開!

7合目付近に来ると植物が見え始めます

途中、滑っては転び、つづら折れの連続で目がまわりそうになりながら、なんとか7合目の公衆トイレのところまで来ました。
これでようやくつづら折れの道は終了〜!

ここまで下ってくると、木が生えている。
岩と砂だけの荒涼とした景色をずっと見てきたので、緑が目に痛〜い!
なんといっても日陰はいいねぇ。

しずる:位置がよく分からないんだけど、ここからあと少し?
Pi-子隊長:う〜ん、ここからほんの2.5kmだって。がんばっていこうね〜!!
(涙)

以前は富士スバルライン寄りのところに下山道があったのですが、大きな落石事故が発生した為、離れた場所に下山道が造られたのだそうです。
落石が恨めしい!


久しぶりに見る樹木(と言っても1日) 馬だ、馬だ〜!

まる子:あ、馬だ。
Pi-子隊長:そういや、5合目にもいたね。馬車もあったし。

体調を崩したり、足を痛めてどうしても動けない〜という方は、ここから富士スバルライン5合目までを馬に乗って帰ることも可能だそうです。
但し、富士山特価で片道1万円ぐらいだそうなので、ちょっと疲れたくらいで利用するのには贅沢ですね。

急勾配の下りはもうないけれど、登ったり、下ったりの道が延々と続く。

Pi-子隊長:あれ?ここ通った?なんかデジャヴ
しずる:6合目のところじゃない?ようやくここまで来た〜
(感涙)
道なりに歩いていくと6合目の「安全指導センター」の建物が見えてきた。
つい昨日通ったばかりなのに、懐かしさすら感じる。

まる子:ここまで来たらあともうちょっとだよね。
Pi-子隊長:そうだよね〜、スローペースで歩いていたのに、あっという間に来ちゃった気がするよ。

・・・とめちゃめちゃ希望的観測を抱いたのがいけなかったのかもしれない・・・
6合目「安全指導センター」からゴールまで未だ1.7kmも残っているのです。


この標識見かけた〜。ここまで来ればあと少しだよね〜 ・・・と思ったけど、そうでもなかった。延々続く緩やかな上り坂

Pi-子隊長:6合目からはすぐだと思ったんだけどな〜まだ着かないね。
まる子:しかも、緩やか〜な登りが延々と続いてるよ。そうだ、下りだから楽々だったんだよね。
しずる:うんうん、しかも下りでバテバテの人を見て「あともうちょっとなんだから頑張ればすぐ着くじゃん!」とか思ってたけど・・・かなりキツいね。
(涙目)
勾配は大したことがないんだけどロングなロングな上り坂。
昨日からの登りの疲れ、下山の疲れ、もう少しだと思っていた希望が砕かれた・・・まぁ、そういった諸事情があり、バテバテ女性陣3人。
これから登山〜♪とか、5合目に来たついでにちょっと歩いてみよう!とか、馬車に乗っている人たちの笑顔がムカつく!

もうダメ!今度馬車が通ったらいくら出してもいいから乗りたい!
というぐらい体力も気力もなくなった頃、ようやくゴールが見えてきた。

Pi-子隊長:まる子さん、ようやくゴールが見えてきたよ〜
まる子:あ〜、本当だ〜!!・・・ところで、Pi-ちゃん?
Pi-子隊長:ん?
まる子:頼むから「富士山リベンジ!」なんて企画しないでよ。
Pi-子隊長:もうイヤだ。頼まれなくてもしないよ!!



バテバテの女性3人 やった、ゴールはすぐそこ!!!

ゴールの手前にいるピッキーが見えた。
カメラ機材抱えてるし、一番荷物重いはずなんだけど、やっぱり体力違うね。
ハンデとして私のリュックも持たせればよかったかな。

Pi-子隊長:あ、絶対写真撮られるよ。汗かいてるし、疲れてボロボロなのに。
まる子:イヤだなぁ、化粧もしてないのに。

まる子さん、それはいまさらだと思う。

ピッキー:お疲れさまでした〜
てっきり写真を撮られると思っていたのに、ピッキーの手はカメラを抱えたまま。

Pi-子隊長:てっきり写真撮られるかと思ったよ。それにしてもカメラ、真っ黒・・・つーか、真っ白になったね。砂ぼこりで。
ピッキー:うん、そうなんだよね。何?写真撮ってほしい?
Pi-子隊長:ヤダよ!・・・って思ったけど、そういや、山頂ではみんなバラバラになっちゃって、全員での写真を撮らなかったからゴールで撮っとくのもいいかもね。
(ボロボロですが)
まる子:あ、しずるさん、来たよ。しずるさ〜ん!

しずる:・・・・・・・・・・・・・・・・・・

気がつかないよ・・・完全に魂が抜けております。

Pi-子隊長:しずる〜!!
疲れているのでちょっとの距離を歩く気がしない。

まる子:しずるさん!あ、ゴールしちゃったよ。
あわててしずるを追いかけるまる子さん。
ピッキー:ゴールは全員でしようと思って待っていたのに、一番最後に来た人にゴールのテープ切られちゃった感じ?
う〜ん、人生ってそんなもんだよね。

結局、このバタバタでゴールの全員集合写真は撮り忘れました。

この後、下山者名簿にチェックをし、「百歳長寿の鈴」もらって、お土産購入。
ちょっと遅めだったけど、10時くらいだったかな〜?
(つづら折の道では何回かガイドさんと遭遇したけど、6合目以降は会わなかったし)

それからバスで地元のスーパー銭湯のようなところでさっぱりして帰りに着きました。
東京までのバスの中では全員熟睡。
本当にお疲れ様でした。m(_ _)m

それにしても2日間雨も降らず、無事御来光を望むことができたし、みんな高山病にならずに登頂できてよかった。
一生に一度は富士山登山!・・・ですね。

一生に一度で十分だけどね!

(Pi-子)