翼 〜朝霧パラグライダースクール〜


おおっ、飛んだ〜!

尺八のおっさん:いい音色だろ〜、ようやくここまで完成したぜ!苦労したんだよ作るのに。
「あんだ誰や?」と思う我々の疑問をよそにおっさんはさらに続ける。
尺八のおっさん:これ(尺八を指さして)なんで出来てるか知ってる?
一同:さあ?
尺八のおっさん:
(得意げに)塩ビの水道管をつなぎ合わせたもんなんだ。 音色の調整が難しいんだぜぃ。

水道管で出来た尺八を特訓中のまる子さん
一同:ほ〜


いかん のっけからおっさんのペースにはまってしまった。
我々は尺八を聞きにきたわけではない。
Pi-子隊長:(事務所の奥に座ってる女性事務員さんに向かって)あの〜、 午後から半日体験で予約した"チームアドベンチャー"です。
事務員さん:どうもどうも。予約入ってますよ。まず申し込み用紙に記入して、注意事項や規約を 読んで納得いただけたら誓約書にサインもお願いします。

全員に申込書と誓約書を配る。

ちなみに誓約書というのはぶっちゃけていうと、やっぱり安全とはいえ空を飛ぶということは落ちるという危険性もあるわけで「怪我することもあんぞ」みたいな内容のことが書いてあり、それに納得したらサインをすることになる。
・・・納得できなければおっさんと尺八を堪能して過ごすことになりそうだ。(^_^;

Pi-子隊長:げげっ、体重を書く欄があるよ。
事務員さん:だいたいでいいですよ。
Pi-子隊長:えっ、じゃあ、一桁目は切り捨てで・・・
インストラクター:体重によって機材が違うからね。まぁ、ウソついても
(体型を)見れば分かっちゃうけど。(笑)
レインボーカラーのしましまのシャツを着たインストラクター氏が言う。
さらに事務所内には茶髪で加藤鷹似のおっさん(インストラクター)もいた。
なかなかパンチの効いた学校だ。望むところである。


右側が校長コレクションのプレミアヨーヨー
我々が手続きをしている間、先ほどの尺八のおっさん、今度はヨーヨーを持ち出して曲芸を始めた。
尺八のおっさん:これ最近マスターした技です、名づけてテポドン〜!
Pi-子隊長:すご〜い、トレンディ
(死語)な技!(笑)
るむ:え〜、怖いよ〜
(>_<)

尺八のおっさん:さらにその変形、東京タワー・・・それから、よっと・・・ダブルスターの完成!
慣れた手つきで技の数々を披露。尺八を手作りしてしまうところといい器用なおっさんだ。

尺八のおっさん:このヨーヨーは限定品でとても貴重なんだよ。当時コーラのおまけでついてきていたんだけど 何種類かあるうちのシークレットモデルで1ケースに1個しか入ってなくて・・・ま、これも腐るほどあるヨーヨーコレクションの一部なんだけど。
一同:ほ〜
尺八のおっさん:でも俺、シークレットモデルを触って見破る方法を見つけたから、これ何個も持ってるんだよね。
(さりげなく自慢)
一同:すげえ〜!(なんとなく驚嘆)
尺八のおっさん:パッケージの手触りが違うんだよ。形も違うだろ。こう言うと簡単そうに思うだろうけど発見するまでは 苦労したんだよ〜。コレクターの間でも謎だったんだ。
一同:なるほどねー

いかん我々はヨーヨー講釈を聞きにきたわけではない。
どうしてもおっさんのペースから抜け出せない。

事務員さん:皆さん半袖ですけど、長袖のシャツか何か持ってきてます?
Pi-子隊長:予約した時に言われたので持ってきましたよ。
事務員さん:じゃあ、これロッカーの鍵。女性の方だけですが、ロッカーがあるのでそこを使って身支度してください。

パラグライダーをやる時の服装は長袖・長ズボンが基本。
長袖にしないと機材が擦れてケガをしてしまうことがあるので必須、初心者は転んだりするので動きやすくて転んでも大丈夫な服装がいいとか。
靴は足首を保護してくれるようなハイカットのものが望ましい・・・とのことでしたが、はきなれた靴(普通のスニーカーなど)でOK。
パラグライダーの機材一式、ヘルメット、グローブはレンタルの中に含まれてましたが、気になる人はグローブだけ持ってきてもよいでしょう。

身支度といっても長袖をはおるだけなのですぐに完了。
事務員さん:皆さん、準備できましたね・・・校長、お願いしま〜す!
校長:あいよ〜、ほんじゃぼちぼち行こうか!楽しいぞぉ〜、自分で空を飛ぶというのは!!

なんと、尺八&ヨーヨーのおっさんが校長であるということが判明した。


あの小山からテイクオフ!
校長とレインボーインストラクター(以下"レインボーマン")に連れられ、機材をチョイス。
体重もちゃんと申告したが(隊長は詐称したようだが)男用、女用の2つに分類された。
スレンダーなまるちゃん&るむちゃんと隊長ではその差が・・・

テポドン発射 (ノ#-_-)ノ === ∋=>☆)O°)

荷物をかついで小山の前まで行く。
パラグライダーの機材は大きく分けて翼の部分であるキャノピー(ポリエステル、ナイロン等の強度の高い布で作られている) とパイロットの体を支える座席部分にあたるハーネスの2つ。
ハーネスにはプロテクターが入っていて、万が一の場合、パイロットの体を保護してくれるんだとか。
+パラグライダーをコントロールするひも(ブレークコード)、キャノピーとハーネスをつなぐライザーと呼ばれるひもが含まれてます。
これら全部合わせてだいたい10kg ぐらいでした。

まずは基本である準備体操をし、ヘルメット、グローブを身につけ・・・機材は取り付けを間違えるとたいへんなことになるので、初心者で ある我々は取り付けてもらう。
最初の一仕事は約10kg の機材を身につけた状態で高さ20m の小山に登ること。
・・・これがなかなかキツイ。m(_ _;m)
こつがわからず余分な力も入っているのだろう。

まずは小山の8合目付近からのTRY!
キャノピーを広げ、空気をいれ、上に上げる。

ぶわっ!!

空気が入るとものすごい風の力で引っ張られ、体が一瞬もっていかれそうになるが、うまく体制を整えなければならない。
(初心者なのでインストラクターに支えてもらっているが)

大将:エアアドベンチャー第1便、飛びま〜す!!
一発目は大将が飛ぶ。
  軽い女装 助走から発射!!
小山の斜面を駆け下りているつもりが自然と体が軽くなり・・・フワリ・・・空を飛んだ。

一同:おおお、飛んでる!(マジで驚嘆)
飛ぶときは体の力を抜き、手を軽く万歳状態。
大将の初フライトは距離にして10mほどで失速が始まった。

校長:じゃ〜、右肩のひもをゆっくりひいて〜・・・そう、次は左ね〜
校長がメガホンで指示し、大将が手を肩の位置まで下ろし、徐々に高度を下げる。
着地の寸前で手を尻の下まで下げ、重心を前に持ってくる。(重心が後ろに行くと当然後ろに転倒する可能性がある)

校長:そうそう、じゃ〜次行ってみようか。
続いて皆それぞれフライトに成功
ただし隊長だけ一発目は飛べずにそのまま小山を駆け下りた。

まさか、重すぎか・・・ (違う、風がなかっただけだ! by Pi-子)

飛べない○○はただの豚だ (by ポルコ・○ッソ)

やはり、まるちゃん&るむちゃんと同じ機材を使うには無理があったのでは・・・ (また殴るよっ! by Pi-子)
しかし2回目以降は無事フライトに成功 正直本人も冷や汗ものであったろう。 (そんなことはない by Pi-子)

機材を装着して・・・ドキドキだ!
さぁ、走れ、走れ、走れ〜!

おおっ、鳥に・・・鳥になったぞ〜!!
無事、着地〜


何回か飛んでいるうちにコツが分かってきた気がするぞ。(もっとも校長とレインボーマンの手助けがあるから飛べるのだが)
足か地面から離れて飛ぶ瞬間・・・これがたまらなく快感になりそうだ。
数秒ではあるが鳥のように空を飛んでは・・・着地。

そして、地に足がついたら・・・やっぱり人間だもの、安心してしまうが・・・それでは危険。
レインボーマン:早く(キャノピーに対して)風上に回ってくださいね。飛ばされちゃいますよ〜
そう、キャノピー(パラシュート)が開いたままだとそこに風が入り、体ごと流されてしまうのだ。風が強い時は特に要注意。


どっこらしょっ、と
パラグライダーは危険だと言われがちだが、パラグライダー自体が危険なのではない。
どんなスポーツであれ"注意と確認を怠らない"ということが一番大切な事なのだと思う。

さ〜て、それからがもう一仕事。
キャノピーの中に風が入らないようぎゅ〜っと絞ってから肩に担ぎ上げ、20m の小山を登る。
手ぶらならそんな苦にはならないのだろうが、約10kg のパラグライダー機材を担ぎながら登るのはけっこうキツい。
絞り方が甘いとキャノピーに風が入ってきて、さらに負荷が増えていく・・・

数回飛んだところで大分疲労がたまってきた。
正確には飛ぶ事よりも、飛んだ後の機材を担いで山登りするので疲れてきたのだ。

そんな時、空からパラパラと雨が・・・次第にどしゃ降りになってきた。
校長:あ〜、本格的に降ってきちゃったな〜・・・撤収するか。
だいぶ慣れてきて着地もスムーズになってきたところで、もうちょっと飛びたいような余韻と、疲れてきたのでホッとするような 気持ちで本日のパラグライダー教室は終了となった。

事務員さん:お疲れさまです。よかったら冷麦召し上がってください。
事務所に戻ると冷麦が用意してあった。
来た時からテーブルの上に器はあったが職員の昼食と思っていたので我々にふるまってくれると思わなかった。

Pi-子隊長:お昼しっかり食べたのに、パラグライダーやったらお腹が減ったね。
まる子:機材担いで山登りしたのがきいたんだよ。

確かに小腹が減っていたので、皆、お言葉に甘えていただくことにした。
校長:この特製ゴマだれがうまいんだ お薦め。
なるほどあっさりとしてうまい。

我々が冷麦を食べていると校長のヨーヨータイムがスタート。
自慢のコレクションの一部も披露してくれた。
校長:こいつはプロ用、こっちは初心者にいいよ。こいつは良く回るね〜、その分糸をまめにかえなきゃなんないんだな。やってみる?
ここでスケ番刑事世代のまるちゃんがを立候補。

まる子:おまんらなめたらあかんぜよ
と、格好はばっちり決まったがヨーヨーは・・・ひょろん・・・
まる子:やってみるとけっこう難しいよ。(^o^;)
ブランクが大きかったのか、それとも酒が入っていなかったからか、きれいには決まらなかった。
これでは犯人は捕まえられない。

さらに、その横ではレインボーマンが剣玉を持ち出し自慢の技を披露。
この事務所、何でもあるねん。

ヤッターマン世代の大将も負けじと剣玉を披露するが・・・
大将:ケンダマジーック!
かつっ・・・ころん・・・空しく球は淵をはじかれてしまった。
大将:やってみるとけっこう難しいぞ。
どうもドロンボーは倒せそうもない。


縄文人と同じ手法で加工したという勾玉
さらに校長のコレクションお披露目は続く。
今度はヨーヨーじゃなくて翡翠の勾玉の登場だ。
校長:これは縄文人と同じ手法で加工した勾玉なんだ。
一同:ほ〜
(この時点ではまだ何がすごいのかは分かっていない)
校長:まず"目"の穴に注目してよ。機械であけるとこうはならないんだ。ハンドメイドの証だよ。
一同:ほ〜
(なんとなくすごい気がしてきた)
確かに機械で開けたのなら穴の大きさが均一になるところだが、両側がすり鉢状で真ん中の数ミリだけが貫通していた。

校長:竹棒のキリで根気よく削るんだけど、1時間で1ミリくらいしか穴が空かないんだよ。
一同:ほ〜
(この辺から本格的にすごいのが分かってきた)
まる子:たいへんなんですね。イヤになっちゃったりしないんですか?
校長:これがまた楽しいんだよ。あ、ちょっと待ってね。


少しして、校長はさらに大きな翡翠を持って来た。
校長:翡翠探しに行った時、帰る間際で偶然波に流されてきた物なんだ。あのタイミングはオレに見つけてくれ、 と言わんばかりで運命を感じたよ。しかもかなり貴重品。
正直言って我々に価値は分からないが・・・確かに大きくて美しい翡翠であることだけは分かる。

Pi-子隊長:我々も洞窟に入るだけではなく、翡翠の原石を見つけるのも必修にしようか。校長、見つけるコツは?
校長:今は地元の連中がまめに拾ってるからね、よっぽど運がよくないと手に入らないな。強いて言えば見極めのコツは表面のきらめきかな・・・

校長の話はつきることはない。
翡翠の図鑑などを持ち出しての講釈がつづく。

ヨーヨーと剣玉で遊びつつ、校長の翡翠講座を聞きつつ、さらにパラグライダーの話もいろいろ聞けた。
校長はパラグライダー歴20年以上の強物で、ハンググライダーから転向してきたそうである。
「おそらく日本人では2人目にパラグライダーを飛んだんじゃないかな〜」と本人談。
レインボーマンも若いのに10年以上のキャリアがあり(子供の頃に始めたそうだ)数々のライセンスを披露してくれた。

それから同校が主催した台湾パラグライダーツアーのDVDを見せてもらった。
楽しそう&飯もうまそうでうらやましい限り。
山の上から数キロ先の海岸に向けてのフライトは非常に楽しそうで・・・あんなに飛べたら気持ちいいんだろうなぁ。

校長:飛べるようになるよ。格安のライセンス取得コースもあるからね。別に強制じゃないけど。
今日は5,000円で体験コースに参加したので特別価格(?)+5,000円でライセンス取得コースに入門できるんだとか。
・・・確かにお得だ。
事務員さん:ただ、エリア使用料(\1,050)と保険料(\1,050)、高度から飛ぶ時はモノレールチケット料(11枚つづり\3,150)は別途かかりますので、 それはご了承ください。
(2006年7月の情報なので興味がある人がある方は直接ご確認ください)

ピッキー:あの・・・パラグライダーは自分で買わなきゃいけないんですか?
レインボーマン:B級までだったら買わなくてもいい。その先に行くんなら買わなきゃいけなくなるけど。
大将:それはだいたいいくらぐらい?
レインボーマン:う〜ん、ピンきりだけど新品でだいたい65万円ぐらいかな、安くて。中古が出る時もあるけど。

安い軽自動車の中古が買えるぐらいの値段か・・・庶民にとって安くはないな。

レインボーマン:ま、最初から買っちゃって、やっぱりやらなくちゃいました〜じゃもったいないしさ。 A級取ってみて、先に行きたければB級、さらに先へ行きたければパラグライダー買って次へ行ってもいいんじゃないかな。
確かにおっしゃる通りで。

ピッキー:オレやってみたいな〜、パラグライダーのライセンスなんてかっこいいじゃん!
るむ:私も小山じゃなくて高い所から飛んでみたい!
大将:ま〜そうだな〜、もうちょっと自分で飛べるようになりたいな。
まる子:今日も楽しかったもんね。もうちょっとやってみたいかな。
Pi-子隊長:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

真っ先に飛びつきそうなPi-子隊長が無反応?

Pi-子隊長:ど〜しようかな〜・・・他にも海外遠征もしたいし、洞窟もな〜・・・確かに私も上から飛んでみたいとは思うけど・・・
るむ:え〜、一緒にやろうよ!
ピッキー:じゃあ、隊長抜きの4人でやろうぜ!決定!!
Pi-子隊長:ちょ・・・ちょっと待って、それもなんかヤだな・・・私も入る〜!


こうして我々は全員ライセンス取得コースを申し込んだ。
パラグライダーはスカイダイビングから派生しただけに(たぶん)それなりの高さから飛んでこそ醍醐味がわかるというものだろう。
新品は高いので買うことはないかもしれない・・・が、まだどっちに転ぶか分からない。
勢いで買ってしまう可能性だってある。
未来はわからないから面白いのだ。

次回は400m の山から飛ぶことができるのだろうか・・・次に来る楽しみが増えた。

(ピッキー)