ざっ、ざっ、ざっ・・・さらに樹海の奥へと進む一行。
無事、熊とは遭うことはなく、次なる目的地「本栖風穴」までたどり着いた。
まる子:すごく深いね、この洞窟。下が見えないよ。
Pi-子隊長:・・・ここ、入るんですか?
Wさん:いえ、ここへは入りません。なんせ23メートルの縦穴なので、入るとしたら本格的な装備が必要になります。しかも下は氷なので非常に危険です。
23メートルの縦穴・・・それはすごいな。
Wさん:本栖風穴は第一、第二の2つの風穴からなる全長494メートルの溶岩洞窟です。
ちなみに溶岩洞窟とは、溶岩流の外部が冷えて固まった際、内部の熱い溶岩、もしくはガスなどが圧力で外部に噴き出した後に残った空洞。
溶岩樹型というものもあり、それは高熱の溶岩流が樹木を取り込んだまま固まったもので、中の樹木は焼き尽くされ、"型"のみが残ったもの。
両方が組み合わされてる複合型というのもある。
Pi-子隊長:今まで見てきた鍾乳洞とは違って、荒々しい感じだね。
我々が過去征服してきた鍾乳洞は水の力で何千年もの歳月を経て出来たものだが、溶岩洞は火(火山)の力によって短時間ですべてを焼き尽くして出来たものなのだ。
同じ"洞窟"でも対照的でおもしろい。
(鍾乳洞とは・・・
"日原・大増鍾乳洞" ご参照)
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こんなところに落とし穴!? |
本栖風穴の入口 | |
Wさん:小さなガスの吹き溜まりの跡は樹海の中、無数にあります。ほら、こんなところにも。
Wさんは我々の立っている近くの足元を指差した・・・そこにはくるぶしまですっぽり入ってしまう程度の穴が。
まる子:うわぁ、ぼーっと歩いてたら落ちるね。
ピッキー:肝試しとかに来た若者なんかがコケて「樹海は危険なところだ」なんて伝説が生まれていくんだろう。
大将:夜なんかだと真っ暗だから全然分からないだろうな。
Pi-子隊長:やっぱり手が出てきてひきずりこまれた・・・ってなるんだろうね。
るむ:だからそうゆう話はやめよ!・・・でもあながちウソじゃないかも。
Wさん:では先へ進みましょう。次の富士風穴へは皆さんに入ってもらいますから期待しててください。
そうこなくっちゃ!
左側が大室山 |
再び歩き出す一行。
途中、樹海では珍しいぐらいの大木が目についた。
Wさん:あ、気がつきました?この丘側の木は育ちがいいと思いませんか?
そう言われてみると、この一帯はちょっと違うような気がする。
Wさん:ここは大室山との境目なんですよ。溶岩流は低いところへ流れていくでしょう、ここより高い山側は溶岩流が流れずに被害を免れたんですよ。
土が残っているから木が根をはれるんです。
まさに紙一重だ。
Pi-子隊長:富士山が噴火して溶岩流が流れてきた時にここに人がいたとして、大室山へ登った人は助かったんですね?
Wさん:まぁ、そうゆうこともあったかもしれませんね。
溶岩流にあったら高いところに逃げろ、だな。 φ(..)メモメモ
今日1日でいろいろなことを学習した我々だが、ツアーはいよいよクライマックスにきていた。
まる子:あの白いもやは何?
確かにその付近は他の場所に比べて異様な"もや"が発生しており、それはゆっくりと動いていた。
Wさん:あれは風穴が近い証拠です。洞内は夏でも0℃以下ですから外気との温度差によって白いもやが発生するんです。
心霊スポット目的に来て、こうゆうの見た人は誤解するだろうな。
Wさん:では皆さん、これから洞内へ入りますのでリュックの中からヘルメットと軍手を出しください。
受付時に渡された川口浩(ヘッドライト)付きヘルメットと軍手を取り出し、装着!
るむ:これ(マイ川口浩)
はどうする?
Pi-子隊長:せっかく持ってきたから首から下げておこう。
頭にはOUTBACKからレンタルした川口浩付きヘルメット、首からも川口浩、これぞ
"W川口浩"だ!?
あの白い"もや"は何? |
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| 富士風穴の入口(オレたちを待ってるぜ!) |
洞窟の入口は5,6mほど陥没したところにあり、慎重に階段を下りて行く。
なんせ雨で濡れているので滑りやすいのだ。
降りる途中でぐんぐん気温が下がっていく。
Wさん:中は真っ暗で見えませんが、下は凍っていて滑るので注意してください。
一同:は〜い!
Wさんを先頭に富士風穴の内部へと足を踏み入れる。
風穴はのっけから垂直の入口であり、備え付けられたはしごを利用して中に入っていく。
その後は岩をつたいながらどんどん下へ。
気温はさらに下がり、吐く息は白く、しばらくいると指先も冷たくなってくる。
下まで降りると意外と広いらしく、かがまなくても歩けそうなのでほっとした。
が、W川口浩の光がきらきら光っている・・・ということは下は一面氷なのだろう。
まるでスケートリンク。真央ちゃんもびっくりだ。
Wさん:真ん中を歩くと滑って危険なので壁(岩)に手をつきながら、足はスケートのように滑らせながら歩いてください。
Wさんのアドバイスどおり、足元だけえなく、岩に頭をぶつけないよう注意しながらゆっくり移動する。
言うことを聞かないと怪我のもとだ。
まだ暗闇に目が慣れていないから辛い。
風穴内には照明が全く設置されておらず、川口浩の光だけが頼りだ。
"W川口浩"にしてきてよかった。
ようやく目が慣れて来た頃、前方に光る物を発見!
・・・と思った時、Wさんがちょうど懐中電灯の光をその物体にあててくれた。
るむ:わ・・・きれい!!
その物体の正体とは
氷柱だった。
暗闇の中、懐中電灯の明かりで照らされた氷柱その風景は幻想的なものだったのだが・・・
・・・よく見ると紙くずみたいの入ってない?
確かにきらきら光る氷柱の根元の方に紙くずのようなものが一緒に凍っている。
Wさん:以前、誰かが何も考えずに捨てていったものでしょう。困ったものです。
「富士山はゴミがあるから世界遺産にならない」と言われているが、その足元の樹海も同様なのだ。
Wさん:これを見られてよかった。真夏になるとなくなっているかもしれませんから。
まる子:溶けちゃうんですか?
Wさん:入口付近の氷は真夏になれば多少溶けますが、この辺のは完全に万年氷なので溶けるわけじゃないんです。夏になると訪れる人が増えて、
中には面白半分に氷柱を折っていく人がいるんですね。
折ってどうしようというのか?
まさか氷柱を持って行こうというのか?それともストレス解消のつもりなのか?
いずれにせよ悪質なマナー違反はやめてもらいたいものだ。
氷柱のある場所から数十メートル(ぐらいだと思う)行くと広い空間に出た。
所々に氷筍(ひょうじゅん)があり、先ほどの氷柱同様、暗闇の中にわずかな光だけで見るそれは本当に幻想的。
溶岩には水を染み込まず、割れ目から水が抜けていくため、常に同じ場所に水滴がたれてくるのだ。
それがツララとなり、下に落ちた水滴は氷筍となる。
でもってツララと氷筍が合体すると氷柱に・・・この辺は鍾乳洞と同じですね。違いは石灰を含むか、ただの水か、それだけ。
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幻想的な氷筍 |
美しい氷柱なのですが・・・ | |
Wさん:皆さんライトを全て消してください。
Wさんの指示に従い、全員が頭と首の川口浩を消した。
本当のまっ暗。隣の人はおろか、自分の手さえ見えず、かすかに水滴の音が聞こえてくる。
暗闇に対して恐怖を感じると同時になんだか心が和むような・・・とてもか不思議な気分だ。
時間にして1分ぐらいだっただろうか?再び川口浩を点けるとこんなに明るかったのか、とすら思う。
Pi-子隊長:番号!
ピッキー:1!
るむ:2!
まる子:3!
大将:4!
ピッキー:・・・今の点呼はどうゆう意味が?
大将:誰かいなくなってないか、とか?
Pi-子隊長:いや、一人増えてたらどうしようかと・・・ (^o^;
よく見るとこの先も洞窟は続いているようだが・・・
Wさん:この先は傾斜がきつくなっているので、普通の靴じゃ滑って戻れませんよ。怪我する危険が大きいし、やはりアイゼン、ピッケル、ロープなど
装備を整えないと難しいですね。
残念だが仕方ない。
ここで折り返し、地上へと戻って行った。
風穴から外に出るとまさに別世界。
気温25度以上で雨が降り、湿気が実にうっとおしい!
Wさん:皆さん、お疲れ様でした。あとは車に戻るだけです。
もう3時間以上経っていたのか・・・
あっという間でした、樹海ツアー。
樹海といえば前述のとおり自殺の名所だったり、二度と戻れない迷宮だったり神秘的というかオカルト的なイメージが強かったが、実際はすばらしい自然の宝庫であり陰鬱さは感じない。
今日みたく天気が悪い日には薄暗いがそれはそれで幻想的であり、雨に濡れたコケはさながら濃い緑の絨毯のように映えていた。
晴れている日は木立から差し込む太陽の光が見事なコントラストを作るそうである。
確かに道に迷えば出れなくはなるがそれはどこの山でも同じこと。
大自然の営みの中で溶岩の上に苔が堆積され、生命が育まれるという特殊な環境
熊の爪跡、過去の凄まじい噴火から出来た溶岩洞窟、その中の氷の芸術・・・自然の造詣に感銘を覚えた。
洞窟もいままでの鍾乳洞とは一味違い、非常に貴重な経験であった。
車まで戻る途中、奇妙な形をした木を見かけた。
Wさんの話によれば、別の木が倒れてきた時に巻き添えをくって折れてしまい、さらに大雨などで先端を失ってしまった木。
しかし、唯一残った一本の枝を成長させ、命を保ち続けているのだとか。
Wさん: 自殺しようとここに来た人にこの木を見てもらって考え直してほしいです。
Wさんがぽつりと言った言葉が印象的だ。
マスコミもオカルト的な扱いをやめないと自殺者などが減ることはないだろう。
実際に自殺志願者が起こした事件などもありけっしていい影響は与えてない。
オカルト特集をやったら同時に樹海の美しさもアピールしてほしいものである。
・・・ということで改めて訂正したい。ナビが狂ったのはのろいではなく単なるナビの頭が悪かったのだと・・・
誰だよ平安時代うんぬんいいだしたやつは・・・すみません。m(_ _)m
開始時間が遅れていたため、終了したのも遅くなり、OUTBACKの事務所を出た時は14:00近く。
OUTBACKスタッフお薦めの炉辺焼きの店があるというので我々はそこで遅めの昼食をとることにした。
お店は車で10分くらい・・・のはずだったが、またもや道に迷う。
今回は目的地にまともに着かない旅である。
まいう〜な炉辺焼き |
しかし、どうにか炉辺焼きの店に到着した。
飛騨の山奥にあった合掌造りの建物を移築、古い形そのままに復元したものだそうで、中に入ると囲炉裏が暖かく迎えてくれた。
料理は炭火を使い、軍手を付けて自分で焼いて食べる方式。
ぴちぴちしたニジマスをそのまま炭火に・・・ちょっとかわいそうだったけど、極めてまいうー
とうもろこしに野菜串、イカを秘伝(かどうかはしらないが)のたれにつけて食べるとこれまたまいうー
やっぱり炭火で焼きたては実にウマイ!!
一番安い2100円のコースにしたが、最後はあつあつのほうとう鍋が付いていて、ボリューム満点!
お腹一杯になり、満足させていただきました。m(_ _)m
るむ:電車の時間は夜の7時だよね。それまでまだ時間があるけど、どうする?
Pi-子隊長:ん〜、雨の樹海の中を歩きまわって冷えたから温泉でも入ろうか。
ピッキー:その前にメガネを取りに行かせてくれ!!
Pi-子隊長:あ、そうだった。じゃあメガネを取りに行ったら温泉へ行こう。
この後、樹海荘に帰りメガネを奪還!
そして温泉につかり、全員お肌すべすべとなった後はパラグライダースクールの校長に言われた通り浅間神社へお参り。
静かでここもある意味別世界なのだが・・・いかんせんゆっくりしている時間がなくなっていた。
現在17:30過ぎ。
この時点で大月駅へ向かえば、まだ余裕なのだが、日本のサラリーマンの悲しい宿命。
急いで近くの道の駅へ行き、土産物を物色。
土産物を購入し、全員車に戻ったのが18:00過ぎ。
ここでカーナビを大月駅をセット。
河口湖ICから高速道路利用で18:30到着予定・・・電車は19:04発だから、まだまだ余裕の範囲内。
大将:いやまてよ さっき中央道路渋滞の表示があったな・・・
ピッキー:そうか じゃ一般道路ルートに切り替えよう
Pi-子隊長:よきにはからえ!
まる子:あせって事故に気をつけてね
本来ならそれでもまだ余裕はあるはずだが、道の駅の近辺は最近道路を整備したようでカーナビには検知されず・・・結果的に遠回りさせられた。(泣)
遠回りはさせられたものの、この道は昨日来た道・・・まで戻り、あとはひたすら走るだけ・・・だが、私にはあることがひっかかっていた。
追い越し禁止の一車線道路で
目の前の若葉マークの車
法定速度・・・いや、それ以下で走ってるよ。
あせり&いらつきは募る。
るむ:追い越せないの?
ピッキー:カーブ多いし、追い越そうと思っても対向車がけっこう来てるからムリ。
まる子:気をきかせて追い越させてくれてもいいのに・・・
大将:パッシングして煽っちゃえよ!
しかし若葉マークの車にシューマッハ並のパッシングを仕掛けるのは・・・人道にもとる行為だろう。(というか道路交通法違反だ)
せめてどこかで曲がってくれないものか、と祈り続けるが、祈りは通じず、若葉ちゃんとは甲州街道(大月駅近く)まで一緒だった。
ようやく若葉ちゃんと別れたのは18:55、電車の時刻19:04。
しかも駅近くのガソリンスタンドが2件も休み。
ガソリンスタンドを探しているうちに19:00ジャスト・・・おりしも大月駅前の交差点で赤信号にぶつかった。
ここから駅は目と鼻の先・・・車がなければ間に合う。
ピッキー:みんなここから先に帰ってくれ。ここから走れば間に合う!!
Pi-子隊長:な・・・なんだってー!(MMRが残ってる)
ピッキー:もし、オレが樹海荘にメガネを忘れなければ間に合っていたのだ。あの取りに行く30分のロスがなければ・・・このままではみな樹海に取り残されてしまう。
行け、行くんだ!!オレのことは気にするな!!!
るむ:なんてこと言うの!?困難はみなで分かち合うものよ!次の電車があるわ。
まる子:こうなってしまったことは仕方ないわ。ミスは誰でもあることよ。
大将:そうだ!!遅れたらそれに合わせて行動すればよかったのだ。これは我々全員の計画ミスだ!!!
Pi-子隊長:ここから荷物持って走るの?・・・え〜、かったるぅ〜
仲間たちのアツい言葉に思わず目頭が熱くなる(一名を除く)
よーし気合入れてスタンドさがしちゃうぜ!!
・・・と思った矢先にあっさりスタンド発見し給油。
なにやら家族でやっているスタンドらしく、中学生くらいの子供がおつりを持ってくるし、中でじいさんがTV見てるし、実にアットホームなスタンドであった。
結局、車を返却できたのは19:10。
・・・やはり間に合わなかったか・・・
まぁ、この時間だからしばらく待てば電車は来るだろう。遅くとも2時間以内には都心に帰れる筈だし・・・
と、思っていたが、若干一名、るむちゃんだけはあきらめてなかった。
加速装置で駅までダッシュ!それにつられて他4名もダッシュ!!
ここで奇跡が起きた。
駅の電車案内表示に
我々の乗るべき特急がまだ表示されている!?
るむ:すみません、この電車、遅れてるんですか?
駅員:大雨の影響で遅れが発生してるんですよ。でも、もうすぐ来ますからホームにてお待ちください。
大雨よ、ありがとう!! |
マジですか!?
外は雨ですっかり夜だが、我々の目の前にはまぶしい光が確かに差し込んだ。
ダッシュで駅のホームに向かう。
ホームでは登山、行楽帰りの客が何人か電車を待っていた。
他の人たちは電車の遅れに不満顔だったが、我々だけは妙にハイテンションおおはしゃぎしているうちに電車が入ってきた。
るむ:あ〜、無事に乗れてよかったぁ。
車掌のアナウンス:本日は雨のため電車おくれまして申し訳ありません・・・
るむ:全然もうしわけなくないよね。
Pi-子隊長:みんな、私の雨女パワーに感謝しなきゃ!!
大将:う・・・でも、確かにすごいな。電車をも遅らせるとは・・・
ピッキー:だてにマルタで大雨降らせてないな。なんかだんだんパワーアップしてきてるような気もするが・・・
まる子:とりあえず、乾杯ね。□\(~_~* )
こうしてみな無事帰路につくことができた。
今回の旅で感じたのはやはりチームワークと助け合いを通じた心のふれあいである。
我々の仲間たちはもちろん、道を教えてくれた地元の人、パラグライダースクールのアットホームな雰囲気。
遅刻して迷惑をかけたOUTBACKのみなさんが暖かく迎えてくれたこと。Wさんの名ガイド・・・すべてに感謝です。m(_ _)m
困ったときは親切がみなうれしいものである。
これからもこの気持ちを忘れずに、誰か困っている人がいたらお返しをしなきゃいけないというものだ。
しかし、今回の旅で残念だったのは富士山が見えなかったこと。
行く途中るむさんがちらっと見つけたあの時の一回だけ。
当時はまさかあれが最後になろうとは思わなかった。
雨女パワー爆発であるが最後にそれに助けられたのだから文句はいうまい(今回だけは)
次回はどんな冒険が我々を待ち受けているのか・・・乞うご期待!
(ピッキー)