翌日
4日連続5時台起床!
但し、今日のみはと起きるというか、
めっちゃ寒くて目が覚める
起きだしてごそごそと着替える・・・が、誰も起きない
っていうか、
どうして寝ていられるんだろうか?
しょうがない、デリケートな人間の辛さである。
るむちゃんの様子を見ると・・・
るむ:・・・ぶつぶつ、ああ駄目!雪の上ではアクセルをもう少し慎重にあけて・・・もう少し荷重移動を遅くできるわ
であれば立ち上がりにあと5センチはガードレールに寄れるわね・・・ぶつぶつ
夢の中で小生のスノードライブにレクチャーしているのだろうか?
真偽の程は不明だが、約束なんでとりあえず声をかけてみる
ピッキー:(どっきりカメラ風に小声で)
るむさ〜〜ん、おはようございますうぅ。
るむ:ん〜、まだ寝てる(バッサリ)
夢の中でのドライブが優先らしい
皆を起こさないように1人で外へ・・・
Pi-子隊長:あ、ちょっとストーブ点けていってくれる?
起きてるなら自分で点けろ!
・・・と思いつつ、「男は黙って」ストーブを点け、外に出た。
一人で撮影開始
あいにくやや雲が多く、景観ももうひとつだったが、夜明け前雪深い風景での古民家は非常に味がある。
Pi-子隊長:寒いね〜
しばらく付近を撮影しているとすると隊長が起きてきた。
Pi-子隊長:朝日撮れた?
ピッキー:ここからだと木ばっかりで無理だな。この先って何があるの?
Pi-子隊長:分かんない。地図見てもこの先は途切れてるし。
ピッキー:展望のいい場所があるかどうか、ちょっと車で行ってみるか。
キュルキュル、ブォン!
車に乗り込み、エンジンをかける。
フロントガラスには霜が下りていて、
前が全然見えない
まぁ、でも、それほど対向車があるとは思えないし、ちょっと行ってみるか。
道はカチンカチンのアイスバーンだし、どの道スピードは出せない。
朝日のあたる雪山など探しつつ、ゆっくり走って暖気運転にもなるのでちょうどいい。
朝の冷えた空気は実にすがすがしい(冷えすぎで痛いぐらいだが)
しばし走ってみたが、思うような景観は得られず、あえなく行き止まり
残念ながら、ただの暖気運転になってしまった。
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フロントガラスに霜
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行き止まりだ |
苫屋まで戻ると玄関先でるむちゃんとご主人の坂本さんが語り合っていた。
Pi-子隊長:おはようございます、やっぱり朝は寒いですね。
坂本さん:これぐらいだとまだいい方だよ。今朝はマイナス10℃ぐらいかな
マイナス10℃でまだいい方とは・・・
スウェーデンもこのぐらいだったけかな?(
スウェーデン編参照)
るむ:お隣の奥さんが豆腐作ってるみたいだってご主人と話してたんだよ。
Pi-子隊長:お豆腐さんなんですか?
坂本さん:いや、時々作ってお店に納めてるみたいだけど、専門の豆腐屋ってわけじゃないよ。この辺の郵便の集配業務もしていて「近所のなんでも屋」さんって感じのパワフルな奥さんでね。
そこの小屋から煙が出ているってことは豆腐を作り始めたんじゃないかと思うんだけど・・・ちょっと行って見てみるかい?
ピッキー:いきなり行っちゃって大丈夫なんですか?
坂本さん:大丈夫。「苫屋」に泊まってます、って言えば入れてくれるよ。
こうゆう小さな集落ならでは、だな。
お隣へ行くと一見普通の家・・・の横に小さな小屋があり、そこで豆腐を作っているらしい。
中の湯気で曇ったガラスの向こうにおばさんらしい人影が見えるが、前を歩いている隊長がノーリアクションでフリーズ
ピッキー:何?中に入らないの?
Pi-子隊長:だって、今電話中みたいだよ
確かに小屋の中の人物は携帯?コードレスフォン?・・・どちらかよく分からないが延々と話し続けていた。
しばらく辺りの景色を見たり、撮ったりしていたが、電話は終わりそうにもない。
朝から一体何の作戦を練っているのだろうか?
食事の時間も近づいていたので、ここは一時撤退
居間に入ると部屋全体を囲炉裏の煙が漂い、差し込む陽の光で包まれていた。
昨夜とはまた違うが、これも幻想的な光景だ。
久美子さん:南瓜のスコーン、食べてみて
運ばれてきた朝食はスコーンか・・・和朝食だと思っていたのでこれはちょっと意外だ。
ともあれ、囲炉裏の上に網を置き、軽くあぶってから、いただきま〜す。φ(* ̄▽ ̄*)ψ
こころなしかトースターで焼くよりも香ばしい。
やはり「遠赤外線効果」なんだろうか?・・・などと考えながらスコーンを頬張る。
食後はコーヒー
いまどき珍しい壁掛け式のコーヒーグラインダーでるむちゃんとくりりんちゃんが交代で豆を挽いてくれたものだ。
砂糖の代わり(?)として出てきたにサトウキビを粒状にしたものがまた絶妙なうまさであったことも追記しておこう。
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コーヒー豆を挽く くりりんちゃん
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南瓜のスコーンとコーヒー |
食後は荷物をまとめると、出発までのひとときをめいめいに過ごす。
居間で過ごしたり、雪かきを手伝ったり・・・
ピッキー:今日の計画は?
Pi-子隊長:日本で唯一野田村でしかとれないマリンローズって石があって、鉱山の一部を観光用に公開してるって聞いたんだけど
冬は休業だって。どうしようかな〜。「もぐらんぴあ」でも行ってみる?
軽く補足しておこう
マリンローズは和名をバラ輝石といい、日本では野田村「野田玉川鉱山」だけでしか産出されない貴重な石だ。
ピンク色のソフトな色で、女性はオシャレ心をくすぐられるのだろう。(特にまる姐さん)
ここ「苫屋」から車で30分ぐらいのところにある「マリンローズパーク野田玉川」では展示資料館や工房などの施設が整備されており、見学だけでなく研磨、加工し、自分だけのマリンローズを造ることができる。
まる姐さんのお財布のためには休業でよかったのかもしれない。
「もぐらんぴあ」は久慈駅から車で15分ぐらい。
石油備蓄基地のトンネルを利用した水族科学館。
日本では唯一の地下水族館で、トンネル水槽では頭上を魚が泳ぎ、地中にあって海中にいるような体験が出来るそうだ。
自称「穴マニア」の隊長は別に鉱石とか魚に興味があるわけではなく、ただ単に穴にもぐりたいだけのようだ。
しかし「苫屋」のゆっくりした時間の中であまりあくせく動くのは似合わない気がする。
ここで午前中を過ごして帰るのも悪くない。
久美子さん:お隣さんがお豆腐作り始めたみたいだから、ちょっと行ってみない?
Pi-子隊長:行きます、行きま〜す!
ピッキー:ちょっと待て。豆腐は朝から作ってたんじゃなかったのかい?
久美子さん:朝はお豆腐作りに使う道具をお湯で洗ったり準備していただけみたいよ。できたては本当においしいんだから行ってみましょう。
一同:失礼しま〜す!
早速、再度お隣におじゃまする。
小屋の中では大きな釜の中に仕込み中の豆腐から湯気が立ち込めている。
お隣さん:皆さん、昨夜は「苫屋」にお泊りかい?寒かったでしょう?
坂本さん夫妻も一緒なので「はい」とも言えず一同苦笑い。
お隣さんが住んでいるのは苫屋と違って近代的な住宅であるが、この小屋は昔ながらのものだ。
以前は馬小屋だったのらしいが・・・
坂本さん:苫屋もそうだけどこの辺りの古い家のことを「南部曲がり屋」なんて言ってるけど、なんで「曲がり屋」なのか知ってるかい?
くりりん:家がL字形になってるからですか?
坂本さん:そうなんだけど、そんな形になったのは訳があって、昔はほとんどの家で馬を飼っていたから、馬の
様子が部屋から見えるように馬小屋と家を繋げたからそんな形になったのだそうだよ。
ちょっとしたトリビアだな。
お隣さんの場合、改築した時に住まいと馬小屋を分けて、小屋の部分だけが残っているのだ。
馬が亡くなってからは豆腐を作ったり、物置なんかになっているらしい。
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おじゃましま〜す
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豆腐作り中 |
お隣さんは突然の闖入者にもイヤな顔一つせず、もくもくと鍋をかき回し、時々灰汁を取っていた。
まる子:かき混ぜてるのは焦げ付かないようにですか?
お隣さん:そうだよ。さ、そろそろいいかね。
お隣さん、沸騰する寸前に鍋を持ち上げ、中のものを濾(こ)すための布袋に流し入れた。
沸騰してふきこぼれてしまうとうまく固まらなくなるのだそうだ。
ギュウ、ギュウ・・・体重をかけて布袋を絞っていく。
お手伝いしたいところだが、これにもコツがあって失敗しては申し訳ないので見学に徹する。(^_^;A
お隣さん:豆乳飲んでみるかい?
断るわけもなく豆乳を一番絞りでいただく。
あまり豆臭くもなく、ほのかに甘さを感じる。
個人的にあまり豆乳は好きではないのだが、これはいける。
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こちらが「おから」 |
ギュ〜・・・布袋を絞っていく
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さらに熱々のおからをいただく。
う〜ん デリシャス!! いくらでも食べれてしまう。
蛇足ながら絞った汁が「豆乳」で、袋の中に残った絞りかすが「おから」である。
るむ:大豆はどのぐらい水に漬けてたんですか?一晩ぐらい?
お隣さん:いや〜、冬場はもっとだね。昨日から丸一日ぐらいかね。
料理を習っているまる姐さん、るむちゃんは関心があるのかあれこれ質問している。
その点、こうゆう時の隊長は寡黙・・・(私は「食べる人」 by Pi-子)
さらに豆乳を煮続けるとうっすら幕のようなものができていく・・・あれが「湯葉」か!!(食べたい!!!)
お隣さん:湯葉食べるかい?
気持ちを見透かされたようで、お隣さんは湯葉を掬い上げ、お椀に入れてくれた。
お隣さん:お醤油・・・
久美子さん:持って来てますよ!
準備万全!
大豆本来の深みや甘みが凝縮されたかのようなコクがあって、
超ウマ〜ッ!
お醤油なくてもおいしい!!
お隣さん:豆乳と湯葉はもういいかい?
いくらでも食べたいところだが、豆腐作りのジャマをしてはいけないので全員首を縦に振る。
豆乳に、にがりを入れて、さらにかき混ぜると豆乳はすぐに固まって、白いかたまりが出来た。
この時かきまぜすぎたり、温度が低すぎたり、高すぎたりしても固まらないんだそうだ。
豆乳を濾してにがりを入れれば簡単に豆腐が出来ると思っていたので反省。\(_"_)
あとは枠に流し込み、軽い重しをかけて固めれば豆腐が出来上がるのだが、その前の段階、白いかたまりになった豆腐をくみ上げて
再びお椀によそってくれた。
いわゆる「よせ豆腐」だな。
まずは醤油をつけずに一口・・・ふわっと甘く深いお豆腐の味が、
口いっぱいに広がる。
豆乳、おから、湯葉、よせ豆腐、どれもこれも絶品だ。
やはり大量生産のものとは一味も二味も違う。
お隣さん:おかわりは?
ピッキー:いただきます!
いかん、いくらでも食べられてしまう。
るむ:ところでおからはどうするんですか?
お隣さん:持っていくかい?使い切れない分は捨ててしまうだけだから。
一人につきスーパー袋1袋分をお土産としていただいてしまった。
なんという贅沢!
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豆腐、完成です!
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おかわり〜 |
そうこうしているうちに帰りの電車の時刻もせまってきていた。
坂本さんご夫婦とお隣さんにお礼を言うと、後ろ髪をひかれつつ苫屋を後にする
苫屋ご主人の話では夏は蛍がきれいだし、秋は紅葉が美しいのだそうだ。
是非また苫屋に訪れたいと思う宿だ。
久慈駅前 来たときと全然違うな |
途中、道の駅で買い物及び昼食をゲット。
ちゃんとしたところで食べようと思っていたのだが、お隣さんに長居しすぎて時間が無くなってしまったのだ。
もっとも長居する価値は十分あったのだが。
コンビニで買ったお菓子も、だべる時間と食欲がなかったので全部残ってしまった。
それもこれも濃密なスケジュールと美味な食事、そして
処理班不在という影響もあるだろう。
(結局、帰りの道中皆で山分けとした)
るむ:そうだ。車はどこで返すの?またレンタカー屋へ行って駅まで送ってくれるのかな?
ピッキー:いや、今日は祝日だからレンタカー屋休みだって。駅前のスタンドに置いておくように言われたよ。
駅前のガソリンスタンドでガソリンを補給後、店員に事情を話してレンタカーを返却。
店員の対応からしていつもこんな感じらしい。
大都会じゃあ、まずあり得ないパターンだ。
帰りは終止好天に恵まれた。
隊長の低気圧もイベント終了後は効力をなぜか無くすらしい。
うみねこ号乗車アゲインで、当然来た道を戻るわけだが
景色がえらく違う。
しかし、あの大雪のおかげで琥珀博物館の職員には親切にしてもらったし、漁に出られなかった「たかえい」のおっちゃんに浄土ヶ浜を案内してもらえたし、苫屋では雪かきを楽しんだ。
苫屋の坂本さん夫妻との語らい、お隣さんの作ってくれた豆腐・・・これらすべてが「岩手からの贈り物」だったのだろう。
冬の岩手はとても寒くて、とても暖かかった。
長年の目的でもあった氷渡洞は大崎さんの助力があってこそ征服が成し遂げられた。
今回は総合的に達成感、満足度も高いものとなった。
しかしひとつの目標が達成されると新たなる目標が現れる。
次なる目標は夏の苫屋か沖縄か・・・その日まで我々も準備を怠ることがないよう牙を研ぎ澄ませておくことにしよう。
川口浩とともに。
(ピッキー)