GO WEST!・3〜西安へ〜



城壁の上にて


西安2日目
今日は西安の市内めぐり
まずは宿泊しているホテルの目の前にある城壁へ

日本で"城"というと領主の住居があり周りに石垣を積み、さらに外側に堀をめぐらせている・・・といったものですが、中国で"城"というとそれは城壁のことを意味します。
人々の居住地域を頑丈な城壁で囲み、外国からの侵略、または盗賊などから守っていたのです。

Pi-子:中国語で「城市」といえば「都市」のことだもんね。
ちなみに欧州や日本のような領主の居城である"城"のことは"城堡"といいます。

藤田(トンティエン):この城壁の上ってのぼれるの?
お姉たま:あ、あそこにから上れるみたいだよ。

やはり無料ではなく、有料(1元ぐらい)で城壁の上に上がってみた。

中山(ジョンシャン): けっこう広いんだね、車4、5台は横に並んで走れそうだよ。
朝早かったからだろうか、城壁は全然人がおらず、我々の貸切状態だった。

約60年ぐらい前まで城の門は日の出と共に開けられ、日没前に閉められました。
もし用事があって、日没に間に合わなかった者は市内には入れず、野宿となったそうです。
もっとも大きな都市では城門の近くにそんな人を相手にした宿ができ、飲食店ができ城の外に繁華街が生まれることもあったらしいけど。

中華人民共和国成立後、人々は城内の生活から解放され、無用になった城(壁)は取り壊され、多くは広い環状線などになってしまいました。
多少の修復がされているとはいえ、これだけしっかりした城壁が残っている都市は他にないんじゃないかな。
さすがは歴史遺産が豊富にある古都、西安ってところか。

藤田(トンティエン):どこまで城壁の上を行くの?
Pi-子:おもしろそうだから一周してみようよ。
旬ちゃん:え〜、この城壁って東西に4km、南北に3kmも1周すると14kmもあるんだよ。次の出口で降りようよ。

そんなにあるんだ・・・(^_^;
ここは旬ちゃんの言うとおり、次の出口で城壁を降りて、街の中心部へ向かった。

南門から少し北に行ったところに「鐘楼」がありますが、ここが街の中心となっており、ここから東大街、西大街、北大街、南大街という大通りがのびています。
「鐘楼」は読んで字の如く、鐘が吊り上げられている楼閣があります。
明代初期1384年に建てられた、外観は三層、内部は二層(見た目は三階あるように見えるが、中に入って見ると二階しかない)高さが36mの建物で、中に重さ6トンの 鐘(現在はレプリカ)吊り下げられています。

この「鐘」がどうゆう役割をしていたのかというと
前述したとおり、城門は毎日開閉されていたのですが、毎朝、定刻になると鐘楼に吊り下げられている鐘が鳴り響き、これが「開門」の合図になっていたのです。

対して「閉門」の合図になっていたのが、「鐘楼」からちょっと西へ行ったところにある「鼓楼」
文字通りこちらには「太鼓」が吊り下げられており、夕方、太鼓が鳴り響くと、再び城門は閉じられる・・・ということです。

ではさっそく鐘楼へ・・・と思ったけれど、入り口はどこ?
なんせ鐘楼は東西南北に抜ける大通りのまん真ん中、ロータリーにあるのでどこからは入っていいのか分からない。
それらしい横断歩道もないし、車やら自転車やらがごちゃごちゃになっているとおりを歩いていくのはちょっと危険。

藤田(トンティエン):オレ、ちょっとトイレ行ってこよう。
旬ちゃん:あ、私も。
お姉たま:私も行こうかな。寒いせいかトイレが近い。
Pi-子:私はさっき行ったばかりだからいいや。ここで待ってるよ。あれ、中山は?
藤田(トンティエン):写真じゃない?ここだと「鐘楼」が近すぎて全部入らないとか言ってたし。

この辺にいるってことで、私がここにいれば分かるでしょう。

鐘楼を見ながら待つが、みんな、なかなか帰ってこない。
トイレがそんなに遠いのか、それともみんな" 大"なのか(←下品)

中山(ジョンシャン): あれ?Pi-子だけ?みんなどこへ行ったの?
Pi-子:トイレ。でも帰りがちょっと遅いんだよね。どこまで行ったんだろう?
中山(ジョンシャン): トイレはすぐそこ、地下にあるって表示がされてるけど・・・あ、あそこにいるじゃん

中山が指差した先に鐘楼があり、藤田、旬ちゃん、お姉たまの3人がそこから手を振っていた。

実は鐘楼は歩道から地下道をくぐって行けるようになっており、その途中にあるトイレに行った3人はそれに気がついて鐘楼へ行っていたのです。
こっちは待ってたってのに〜! o(*`へ´*)o

古い町並みを残している古文化街
鐘楼と鼓楼へ行った後は、街中をぶらぶら
南門の近くに「古文化街」という通りがあり、そこには筆、硯、書画、拓本などを売る店が続いていて、(中国の)時代劇の中に来たような気分になります。

古文化街の近くには陝西省博物館、またの名"碑林"とよばれている、歴代書家の石碑を数多く展示している博物館があります。
旬ちゃん:どうする、入ってみる?
Pi-子:どっちでもいいよ。せっかくだから入っておこうか。


博物館は宋の時代に建てられた孔子廟(寺子屋みたいなもん?)を利用しているもので、入り口に2頭の狛犬のような像があるのですが、うち1頭にまたがって写真を撮っている欧米人発見!
お姉たま:東洋的なものが面白いのかもしれないけど、日本で神社へ行って狛犬にまたがって写真撮ったら怒られるよね。
Pi-子:ま、ここ、中国だし。


Pi-子の一言に誰もが納得。
中国人の全員ではないのですが、きれいな花畑の中を踏み荒らして撮影したり、撮影禁止!と書いてあるところで撮影したり、もちろん記念像によじ登って写真撮影なんてのは珍しいものではないんですよね。

旬ちゃん:Pi-ちゃんも記念に狛犬もどきにまたがって写真撮ってみる?ここでしかできないよ。(笑)
Pi-子:またがるのはさすがにねぇ。でも日本じゃ絶対できないし、せっかくだから・・・よいしょっと。
ちょっと遠慮げに狛犬もどきのおしりにつかまって撮影してみました。

遠慮げに狛犬もどきのおしりにつかまってみました城壁の上から見た陝西省博物館(碑林)

博物館の中も文字通り(さっきからそればっか)石碑の林。
なんせ石碑の総数は2000点以上にも上るそうです。
中には偉大な書道家の作品、楊貴妃とのロマンスで有名な玄宗皇帝の書なんかもあり、中国最大の書道芸術の宝庫!・・・というのは分かるんですが

旬ちゃん:漢字ばかりで書道の勉強してるみたい。
お姉たま:う〜ん、私、色がついてないものってダメだわ。
Pi-子:色は別にどっちでもいいけど、書の偉大さが分からないから飽きちゃった。
藤田(トンティエン):漢字だから、日本人は「文字」として認識しちゃうけど、欧米人みたいに「デザイン」として見られたらおもしろいかもしれないけど。

4人は早々に飽きてしまっていたが、中山1人はすご〜く真剣に見ていました。

博物館を出ると、そこには(当然ながら)観光客めあてのお土産屋さんがあり
旬ちゃん:あ〜、この布人形かわいい!

旬ちゃんが目をつけたのは陜西省で古くから伝わるというデザインの布で作った人形や小物。
魚、鳥、なかには虫やヘビの刺繍なんかもありましたが、お店のおばさん曰く虫やヘビはそうゆうものを身につけて魔よけにしたんだとか

私、お姉たま、旬ちゃんの3人はそれぞれ小物にバッグ、服、ベッドカバーなどを購入!
でも、これだけ購入するものがあったら値段交渉をしっかりしなければ・・・
普段は言い値の半額から交渉し、(最初の値段から)7〜8割のところで購入するのだが、ここは西安、思い切って言い値の3分の一から交渉開始。
お土産やのおばさん:そんなんじゃ原価割れしちゃうよ〜

そう言うのは分かっていたので、そこから少しずつ値をあげて、(最初の値段から)6割ぐらいで交渉成立!
それでもぼられているんだろうな〜とは思うけど、まぁ、いいか。

見るからに怪しいのですが・・・
再びぶらぶら再開
藤田(トンティエン):なんだろう、ここ怪しくて面白そう。
そこには「人体芸術大展覧」と書かれた得体のしれない展示会場が

旬ちゃん:半地下にあるのが、なんかイヤだ。
Pi-子:ちょっと面白そう。誰か行くなら行ってもいいよ。
中山(ジョンシャン): やめときなよ〜

怪しさがプンプン漂っているのは分かっていたけれど、好奇心には勝てず、Pi-子と藤田の2人で入ってみることに。

入り口で入場料(1元ぐらいだったかな〜?)を払って中に入ると胎児の模型?
妊娠3ヶ月目ぐらいから臨月にあたるぐらいの胎児がずらり・・・
Pi-子:模型・・・だよね?だと思いたい。
藤田(トンティエン):いや〜、本物じゃない?こんなところでお金をかけてこんな精巧な模型をつくるとは思えないよ。


「一人っ子政策」が施行されているので、堕胎も多いって聞いてるし、藤田が言うとおり精巧な模型をつくるよりも本物という確立は高い気がする。
中は切り取られた腕の断面(これも本物?)とか、そんなんばかりで、あんまり気分のいいものじゃないんですが・・・
Pi-子:途中だけど出ようか?
藤田(トンティエン):そうだね〜、夢見悪くなりそう。


2人で外に出ようとすると、奥から私たちを呼ぶ声。
何だろう?と思って行ってみると、奥にちょっと飾り立てた部屋があり、真ん中に水をはった鍋?楽器?みたいなものが置いてあった。
おじさん:ちょっと手を水につけてから、これをこすると・・・ほら

くわわわわわ・・・わわ〜ん・・・

係員らしきおじさんが実演しみると、鍋のような楽器のようなものが不思議な音をたてた。
今まで不気味〜なものを見ていたので、ここでちょっとホッとした・・・というか、正直、気が緩んだんだろう。
おじさん:君たちもやってごらんよ。

そう言われてまずはPi-子が試してみる。
当然といえば当然だけど、さっきおじさんがやったのと同じよな不思議な音がした。

藤田(トンティエン):オレはいいよ。
藤田はあまり乗り気ではなかったが、おじさんに薦められて同じことをしてみる。

手がぬれたので差し出されたタオルで手を拭き、外へ・・・行こうとしたら
あれ?どうしてドアを閉じてるの?
おじさん:はい、30元になります!
Pi-子&藤田:はぁ?30元?


なんと今ので料金が30元だと言う。
そんなの一言も書いてないじゃん!サギだよ、ぼったくりだよ!!
「高すぎる!」と抗議するが、場所は薄暗い半地下、入り口のドアは閉められているし・・・

お姉たま:で、30元払って出てきたのね。
Pi-子:さすがにね〜、怖かったしさ〜・・・
(^_^;
藤田(トンティエン):30元で自分が標本になりたくなかったしさ〜(^o^;
さすがにそれはない・・・と思いたい。

中山(ジョンシャン): だから止めたのに。
旬ちゃん:見るからに怪しかったじゃん。まぁ、30元なら安いもんだよ。

30元 = 450円 だしねぇ・・・だけど、今泊まってるとこの1泊の料金と同じぐらいだよね。
昨日言った兵馬俑が人民価格で1元(留学生も同額)、外国人価格で10元だったから、高いほうの外国人価格でも兵馬俑3回見れる計算・・・いや、そうゆう考え方するのやめよう。

気を取り直して、夕食をとり、ワインとちょっとしたおつまみをゲットして宿へ帰還。
なぜワイン?
だって、今日は大晦日。
日本人らしく新正月を祝おうか、ということもあったのですが、昨夜、あまりにも寒かったのでアルコールで温まりたいというのもありまして (^_^;

中山(ジョンシャン): あ、栓抜きがない!
Pi-子:じゃあ、受付のお姉さんに言って借りてくるよ。


受付のお姉さんと一言で言っても快く要望に応えてくれる人もいれば、その逆ということもよくあることで
「言うだけ言ってみよう」という気持ちでお姉さんにいうと、この人は前者だったようで、すぐに厨房(だと思う)に連絡をし、栓抜きを持ってくるよう手配してくれた。

栓抜きを待つ間、最近、日本語の勉強を始めたというお姉さんと私のつたない中国語で会話を始めた。
受付:あなた、年はいくつ?
Pi-子:19歳。あなたは?
受付:私、17歳。


え・・・私より若いの?
ずいぶん落ち着いて見えるから、てっきり年上だと思ってた。

受付:私、あなたが○○だわ。
Pi-子:え?ごめん、今の分からなかった。ちょっと書いてもらえる?

差し出した紙には「羨望」と書かれた。

受付:私も外国に行って勉強したいな〜。
「羨望」・・・この字は日本語と同じ意味を持っているのだろうか?
受付:あ、栓抜きが来たわ。はい、どうぞ。
もう少し話をしてみたかったけど、みんなが栓抜きを待っていたこともあり、部屋へ戻ることに。

中山(ジョンシャン): う〜ん、このワイン甘すぎるな〜、子供向きだな。
お姉たま:そうだね〜

Pi-子:ねぇ中国語で「羨望」って日本語と同じ意味?
旬ちゃん:そうだよ「うらやましい」って意味。それがどうしたの?
Pi-子:ううん、なんでもない。

うらやましい?
確かに物価の違いで日本人は中国に来ればお金持ちになれるし、外国へ留学するのだってお金を払えば簡単に行けるし(学力が必要な場合もあるが)
出国の手続きが困難な中国人に比べれば自由でうらやましがられるのかもしれないな。

私と彼女の違い?
私がたまたま、ちょっと東の国で生まれたぐらいなんだよね。

(Pi-子)