GO WEST!・2〜西安へ〜



秦始皇陵


朝5時半頃、西安に到着。

Pi-子:眠い〜!

眠い目をこすりながら、駅の外に出ると、まだ真っ暗なのに、あちらこちらで人の声が
声1:兵馬俑!兵馬俑!
声2:○○飯店!○○飯店!


↑これ、何かというとみんな客引きなのです。
「兵馬俑(超有名観光地)などのツアーに参加しないか」とか「○○飯店に泊まらないか」なんていう。
中国の主要都市にはたいていいるのですが、さすが世界的観光地、西安。
鄭州にいる客引きのの倍の数はいそう。

旬ちゃん:こんな時間からいるんだ。
藤田(トンティエン):列車が到着する時間に合わせてるんじゃない?
Pi-子:そうかもしれないね。どのぐらいの手数料をもらえるのか分からないけど、朝早くからご苦労様です。
(^_^;

中山(ジョンシャン): ところで宿泊先は決まってるの?
お姉たま:予約はしてないけど、浩子(ハオズ)が以前旅行で来た時に泊まったホテル「勝利飯店」へ行こうかと。


地図を見る限り「勝利飯店」は駅からまっすぐ行ったところにあるのですが・・・
Pi-子:まっすぐって、これ距離どのぐらい?
お姉たま:2kmぐらいかな?
Pi-子:歩いていくの?バスは?
藤田(トンティエン):聞いた話だと西安って観光地だけあってバスの中スリが多いんだってよ。外国人なんて絶対狙われるよ。
旬ちゃん:歩けない距離じゃないんだから、さっさと行くよ。


真っ暗な中、歩き出す5人。
Pi-子:なんか、足が寒いな〜って思ってたら、靴の先は破けて足の指が「ニーハオ」って言ってるよ。
旬ちゃん:何で旅行にそんな靴はいてくるの?
Pi-子:だってこれ、先週買ったばかりなんだよ。鄭州駅を出発するときにつまづいたからだ・・・あれで破けちゃったんだな〜
(ToT)
藤田(トンティエン):日本から履いて来た靴にすればよかったのに。っていうオレも中国で買った靴だけど、これは人民解放軍の放出品の店で買ったから頑丈だよ。
中山(ジョンシャン):ああ、やっぱり解放軍の店で買った靴だったんだ。オレの大衣(コート)もそこで買ったよ。

お姉たま:呼和浩特の時は買ったばかりのリュックが壊れたんじゃなかった?
Pi-子:今回も背負ってきてるけど、あれからものすごく補強したんだよ。
藤田(トンティエン):Pi-子も解放軍の店で買えば?品質全然違うから、ただし値切れないけど。
Pi-子:値切れないのか・・・考えとく。


そんな話をしながら歩いていくうちに「勝利飯店」に到着。
西安じゃ数少ない安い宿だし「没有(部屋はない)!外国人は高いホテルへ行け(←国策ですから)」って言われるかと思っていたけれど、高い部屋を勧められたぐらいで、 それを断って、安い部屋をゲットすることができた。

しかしながら、時間はまだ早朝。
チェックインできるのは午後からなので荷物を預けて、西安の街へ。

勝利飯店からちょっと離れたところに数件の屋台が並んでいたので、あたたかそうな湯気につられて、ここで朝食をとることにした。
中国人は朝から外食する人が多いので、こうゆうお店があちこちにあったのです。
おかゆと油条(中国の揚げパン)は朝の定番メニュー。
他にも焼餅、包子(肉まん)、ワンタンスープ、水餃子、ラーメンなどなど、さすが朝から「食在中国」という品揃えです。

包子(肉まん)をほおばって食べていると、後ろで誰かが私のコートをひっぱった。
誰?・・・と思って振り返ると、そこにいたのは乞食のおばあさん

自分の憐れな身の上を語って「お恵」をもらおうとしているのは分かるが、私の語学力じゃあさっぱり分かんないよん!
と無視して包子を食べ続けていると、隣にいた中山がおばあさんに数角(元より低い単位)を渡していた。

Pi-子:え・・・あげるの?
中山(ジョンシャン):だって、かわいそうじゃん。
藤田(トンティエン):きりがないんじゃない?これも聞いた話だけど、乞食も多いらしいよ。

付近の農村から出てきて都市で乞食になってしまう人は多いそうなのです。(出稼ぎで)

Pi-子:どころで、今日の予定は?
お姉たま:西安近郊の観光地を巡ろうと思うんだけど、距離があるからツアーに参加した方がいいかと思う。
中山(ジョンシャン):タクシーだとぼったくられそうだからね。

観光地のツアー、駅前やら有名ホテルの前やら客引きはいっぱいいるけど、ぼったくられた上どこへ連れていかれるか分からないので、駅前の「解放飯店(2ツ星ホテル)」 に入っている旅行社のツアーで申し込みをした。
値段は安くはないけど、外国人用のツアーなので騙されて変な土産物へ連れて行かれたりすることはないかと。

西安は見所が多いので、郊外ツアーはたいてい「東」と「西」に分かれています。
○東線1日遊:半坡博物館、兵馬俑、華清池、西安事変旧跡、秦始皇陵など
○西線1日遊:咸陽市博物館、茂陵、懿徳太子墓、乾陵、法門寺など

中山(ジョンシャン):両方参加することはないから、どちらかといえば「兵馬俑」「華清池」がある東コースだね。
Pi-子にとってはどっちがいいかなんて分からなかったけど、みんなも納得しているみたいなので、こっちで決定。

まずは半坡博物館へ

半坡遺跡博物館は市街地から東に約6km離れたところにあり、新石器時代の仰韶(ぎょうしょう)文化(B.C.4000〜2500)に属する村落遺跡である。
1953年に火力発電所を建設する時に偶然発見され、現存の面積は約5万uで、居住区と墓葬区に分かれ、住居跡、貯蔵穴、窯跡瓮棺(病気で死んだ赤ちゃんの埋蔵用棺)、 陶器、糸を紡ぐ道具、釣り針などが展示されている。

発掘された場所をそっくりそのまま、建物で覆って博物館にしたそうだ。
やることとスケールがいかにも中国的です。

次に行ったところは・・・車内の説明よく分からなかったので、謎の小山。
藤田(トンティエン):寒い〜!
旬ちゃん:本当、寒いよ〜
中山(ジョンシャン):じゃあ、あの山の上までダッシュだな。
(笑)
全員:お〜〜〜〜〜!

なんだかよく分からないけど、軒を連ねるお土産屋の屋台を無視して、体育会系のノリで小山の上までダッシュ!!!!!
中山(ジョンシャン):はぁはぁはぁ・・・疲れたけど、体は暖まったかな?
お姉たま:はぁはぁはぁ・・・でも、ここまでのダッシュはきつ〜い。
Pi-子:はぁはぁはぁ・・・暖まったけど、私の足の指先は寒い(冷たい)ままだよ。
旬ちゃん:はぁはぁはぁ・・・市内に戻ったら早く靴、買いなよ。


ダッシュして上った小山の上にて(秦始皇帝陵)土産物屋をひやかして歩く (写真提供:おねえたま)

小山の上で数枚の写真を撮った後、特に見るものもないので土産物屋でもひやかすか〜と、さっさと下に降りることにした。
でも、ここって一体なんだったんだろう?
と思って小山を振り返ってみると土産物屋に埋もれて「秦陵園」という文字が。
あ・・・小山と思っていたら、秦始皇帝陵だったんだ。(^_^;

ちなみに「秦の始皇帝」とは紀元前3世紀、7つの国が覇を競い合った戦乱の時代を制して、中国を統一。
中国史上、最初の皇帝となった人です。
ガイドブックを見ると始皇帝陵は周囲6kmの外城とその内城からなり、36年の歳月と70万人の労役を費やしたものだそうです。(「何だ、この小山」とか言ってすみません)

土産物屋1:先生(中国語ではMr.の意味です)、オミヤゲ安イ、安イ
土産物屋2:小姐(お嬢さん)メノウ、トッテモキレイネ〜

文字通り「行く手を阻む」土産物売りたち。
みんな気合が入ってますね。

土産物屋3:これは極上のメノウだよ。あんたたちだけ、特別に見せてあげよう。
ふと、振り返ると藤田と旬ちゃんがメノウ屋のオヤジの話を真剣に聞いていた。

藤田(トンティエン):おお〜、なんて美しい!
旬ちゃん:多少銭?(おいくら?)
土産物屋3:1個、50元。
藤田(トンティエン):おお〜、なんて安い!

50元・・・つーっと800円ぐらい?
安いのは確かだけど、それで「素晴らしい」メノウが買えるとは思えないけど。

Pi-子:え・・・買うの?
旬ちゃん:買うわけないじゃん

土産物屋のおじさんは2人が買うものだと思ってニコニコなんだけど・・・

藤田(トンティエン):きれいだけど買わないよ〜!
旬ちゃん:そんなお金ないもん!

それを聞くと、おじさんはニコニコ→怒りの顔に・・・(大魔神みたい)

中山(ジョンシャン):ダメだよ、からかっちゃ。彼らだって生活かかってるんだから。(←この中では最年長者)
Pi-子:でも、ムカつくよ。ここの土産物屋、どこもすごいぼったくってるの。おイモ買おうと思ったら鄭州の10倍の値段だったからやめた。
お姉たま:観光地価格なんだからしょうがないよ。


秦始皇帝陵を後にし、次は西安観光のメインとも言える兵馬庸へ。

1974年、始皇帝陵から1kmほど離れた場所で偶然、農民が地中に埋まった素焼きの兵傭の像を発見。
調査してみると地下5mの巨大な地下空間に、おびただしい数の兵士や馬の像が埋まっていることがわかったのです。
像の総数は7000体以上にのぼり、始皇帝の死後を守る軍隊として埋葬されたと考えられています。
1体ずつ手作りで作成され、それぞれ顔つきや服装が異なるというのがすごいです。
ここも前述の半坡遺跡博物館同様、発掘された場所をそっくりそのまま、建物で覆って博物館にしています。

バスを降りると「兵馬庸はこっちだよ〜」という声が聞こえてくる。
Pi-子:兵馬庸、あっちなの?地図を見るともうちょっと先みたいだけど・・・
藤田(トンティエン):地図の縮尺も怪しいしな〜・・・行ってみるか。


受付で入場券を買おうとすると学割は不可と言われ、外国人料金で10元を払わされた。
(このツアーは観光地へ連れて行ってくれるだけで、ガイドが中へ入って説明をしてくれるというものではなく、入場料もツアーとは別になってました)
お姉たま:兵馬庸にしてはずいぶん狭くない?
確かに。
そこの広さは普通の教室1個分ぐらいで、展示されているものも兵馬庸のミニチュアと写真のみ!?

(本物の)兵馬庸の入場券 (写真提供:おねえたま)
Pi-子:奥に行けば、兵馬庸がずらり・・・なんじゃない?
と自分に言い聞かせつつ、展示を進むが・・・やっぱり教室1個分で終わり!?

お姉たま:騙された・・・
Pi-子:お金、返してもらおうよ。

と思い、受付に戻ると切符切りのお姉さんのお隣にはコワモテのお兄さんが。

中山(ジョンシャン):クレームをつけると、あのお兄さんが接待してくれるんだよ、きっと。
見るだけで、それは分かるというもの。
悔しいけれど、10元というと150円ぐらいなので何も言わずにニセモノ「兵馬庸」を後にした。

本物「兵馬俑」へ行くと、ちゃんと学割がきいて、入場料金は中国人と同様、1元(15円)でした。
さっきのニセモノ「兵馬庸」・・・悔しい!!

館内は「撮影禁止」とあったので正直に撮影しなかったのですが、中国の皆さん、けっこう写真撮ってました。

この辺で昼食をとった後、華清池へ

 楊貴妃と玄宗皇帝が共に過ごした(たぶん)華清池
 の離宮
華清池は3000年の歴史を持つ、超由緒正しい温泉の源泉地。
世界3大美女で有名な楊貴妃も、自分の美貌を保つためによく入浴していたと言われており、唐代の7代皇帝・玄宗と楊貴妃のロマンスを過ごした地として、白居易の「長恨歌」にも詠われている。
但し、現在の建物は清朝末期に西太後が築いたものです。

また、1936年の西安事変で蒋介石が捕らえられた場所であり、監禁されていた部屋、当時の弾痕が今も残ってます。
西安事変とは1936年12月12日に西安で起きた、張学良・楊虎城らによる蒋介石監禁事件のこと。
当時、蒋介石率いる政府軍(国民党)と共産党軍と内戦状態だったが、日本が中国侵攻を進めている中であった為、内戦を停止し、協力して日本軍を迎え撃つよう監禁し、説得・約束させたのです。

これで今日の観光は終わり。
歴史的なものを見て「これは素晴らしい」と思うべきなんだろうけど、なんかすごく寒かったのが一番印象に残ってます。(^o^;

西安街にもどって、夜は西安名物と言われる餃子を食べに行くが・・・まずくはないけど名物?といった感じ。
それよりも、店内にも乞食が入ってきていて「お恵はやらん!」と言ってもしつこいんですけど!?
中山(ジョンシャン):しかも、若いお兄ちゃんだしね。小銭もないし(お金あげなくても)いいか。
Pi-子:よく見ると、靴にナイキのマーク入ってるよ。偽者かもしれないけど、私よりいい靴はいている人間にお金なんかやらん!!
藤田(トンティエン):早く靴、買いなよ。


その後、靴を購入して宿へ帰還。

預けていた荷物を返してもらい、部屋へ行くが・・・寒い!!

外よりはまだマシかな〜という程度で、暖房の効きがものすごく悪かったのです。
さすが安宿。
この夜はダウンジャケットを着たままベッドにもぐって就寝でした。
だって寒いんだよ!!

(黄河より南は「暖かい地域」とされ、暖房施設があまり整っていませんでしたが、西安は内陸ということもあり寒かったのです。むしろ北の方が暖房施設が整っている分暖かいと言われています。)

(Pi-子)