GO WEST!〜西安へ〜



西安へ行くぞ〜!
 工事中鄭州駅の青空(?)待合室にて


クリスマスが終わると、もういくつ寝ると〜お正月〜♪
しかし、中国では旧暦の1月1日、いわゆる「旧正月」を盛大に祝う習慣がありまして、カレンダーの1月1日はあまり重要なイベントではないのですが・・・
Pi-子:え、お休みあるんですか?
王老師:そうよ、12月28日から1月2日までの1週間がお休み。いい機会だから旅行でも行ってきなさいよ。

ちなみに旧正月は1ヶ月ぐらいがお休みになります。

旅行かぁ・・・
1週間宿舎にいてもつまらないしな〜、開封・・・はこの間行ってきたばかりだし、1週間の休みがあるならもう少し遠くへ行きたいかな。
10月の国慶節の時には呼和浩特へ行ったけど・・・お姉たま、今回はどこかへ行くつもりなのだろうか。

思い立ったら、すぐにお隣のお姉たまの部屋へ。

トントン(ノックする音)
Pi-子:入るよ〜、お姉たまいる〜?
返事はないが、カギが開いていたので中へ。

こりこりこりこりこりこりこりこりこりこり・・・

お姉たまは室内にいた・・・が、何か食べていて返事ができなかったようで・・・
Pi-子:何食べてるの?
お姉たま:
(ごっくん)あ〜、ごめん。これこれ。

お姉たまの手元を見ると「ふえるわかめちゃん」!?
それって水でもどしてサラダとかお味噌汁に入れたりするもんじゃないの?
お姉たま:日本から送ってもらった小包に入ってて、このまま食べてみたらけっこういけるんだよ。
Pi-子:へっ・・・へぇ〜・・・
お姉たま:ただし、口の中でよくもどしてから飲み込むか、今みたいによ〜く噛み砕いてから飲み込むかしないと、ノドにはりついて苦しい思いをするんだよね。ためしに食べてみる?
Pi-子:いや、いらない。
(きっぱり!)

口の中でふやかすよりも、ちゃんともどして食べた方がおいしいし

Pi-子:ところでお姉たま、お休みはどこか旅行行くの?
お姉たま:西安でも行こうと思ってるけど、Pi-ちゃんは何か予定ある?
Pi-子:全然ないから、よかったら一緒に行っていい?
お姉たま:もちろん!一緒に行こうよ!!


Pi-子:あの〜、西安ってよく聞く地名だけど何があるの?
お姉たま:え〜、そうゆうのPi-ちゃんの方が詳しいんじゃないの?三国志とか読んでたじゃん!
Pi-子:三国志に出てきたっけ?
お姉たま:昔は「長安」っていう地名で古都だったところだよ。

ああ、「長安」って聞くとなんとなく覚えがあるわぁ。

老(現在の)Pi-子よりちょっと補足
西安(昔の長安)は中国の内陸、関中平原の中部に位置し、秦・前漢・隋・唐など11王朝の都として栄えた場所です。
その為、歴史と文化の遺産は非常に多く、西安には重要文物遺跡が300ヶ所以上あるともいわれています。

説明の通り、西安は世界的に有名な観光地なので、西安へ行こう!と考えた人たちは他にもいまして
最終的にお姉たま、Pi-子、旬ちゃん、藤田くん、中山さん、合計で5人のご一行様に。

Pi-子:問題は寝台の切符がとれなかった事だよね。
中国へ来てから約4ヶ月。
旅行社へ行かなくても窓口で切符を買うようになっていた我々
硬臥(2等寝台)を買おうと思っていたのですが、ゲットできず、とりあえず乗車券だけ買っておいたのです。

藤田(トンティエン):旅行社を通した方が寝台は取りやすかったかもしれないね。
Pi-子:え〜、でも旅行社だと、外国人には軟臥(1等寝台)を買わせようとするじゃん。
お姉たま:軟臥(1等寝台)でもいいよ。
中山(ジョンシャン): 車内で補票(指定寝台席の購入)できるんじゃないの?
旬ちゃん:できると思うけど・・・できなければ無座(座席指定なし)だよ。
お姉たま:私、念のために(下へ敷いて座るために)古新聞持ってきたよ。


列車の出発は21:27だったけど、余裕をもって1時間以上前に鄭州駅へ到着。
1時間以上はちょっと余裕もちすぎじゃないかって?
いやいや、この時の鄭州駅は工事中。
普通は「○時発、○○行き、何番ホームから出発、○番の待合室で待て」という表示板があるのですが、そんな表示板も待合室もなく、使用するホームも出入り口も工事の進捗状況で変わったりしていたので、 余裕すぎるほどの余裕をみていたのです。

日本のように切符さえ買っていれば、何分前だろうが中に入っちゃっていいよん!というシステムではなく、だいたい発車時刻の30分前になると改札が開く。
人民の皆様は行列をするというのが大の苦手なので、駅員さんの「○○行き列車〜!」という改札オープンの知らせと共にその都度パニックが起こるのです。
自由席があるのなら分かるけど、列車の座席はすべて指定(無座は空いている席があれば座ってもいいのですが、どんなに早く入って空席を獲ろうとも、指定を持っている人が後から現れたら当然譲らなければならない) どうしてそんなに先を争って列車に乗らなければいけないのかこの時はまだ分かりませんでした。

そんな人民の皆様の様子を見たり、おしゃべりしながら、待つこと約40分。
改札は未だ開かず。

お姉たま:そろそろ改札が開いてもいい時間だよね。
旬ちゃん:っていうか、とっくに開いてもいい時間じゃない?
中山(ジョンシャン):列車が遅れてるのかな?

駅員:○○行き列車〜!

タイミングよく駅員が改札開始を告げる声が聞こえると、私たちが並んでいた列車待ちの列がゆるやかに崩れ、人民の皆様は改札へなだれこんでいった。

Pi-子:・・・今、「西安」って言った?
藤田(トンティエン):そんな風に聞こえた気がする。

ヒアリングに一抹の不安はあったが、「間違ってたら改札を通してくれないでしょう」ぐらいの気持ちで改札口へ向かう。

お姉たまを先頭に改札へ
本当に私たちの乗る列車の改札が開いたのか・・・半信半疑、切符を見せると・・・あっさりとパス!

やっぱり西安行きの列車であってたんだよ。
安心して2番目の藤田も・・・パス!
3番目の旬ちゃんも問題なくパスしたのだが・・・

4番目の中山の切符をとると、駅員は今までにないぐらい切符をじっくりと見つめた。
駅員:あんたはダメ!

一瞬、フリーズするが、瞬時に解凍。
中山(ジョンシャン):え、何で?
Pi-子:よく分からない、3人は改札の中に入ってるんだけど、どうして?私の切符も見せてみよう。


Pi-子も駅員に切符を見せるが・・・
駅員:あんたもダメ!

Pi-子:えっ、どうして、3人はよくて、私たち2人の切符はダメなんだろう?
中山(ジョンシャン):切符が偽造・・・なんてことあるのかな?
お姉たま:どさくさに紛れて入っちゃいなよ。


文字通り混沌としている改札口、2人ぐらい入ったってどうってことはない・・・
お姉たまが中山のそでをひっぱり中へ入れようとした、その時!

中山(ジョンシャン):わっ!!
お姉たま:ぎゃっ!!!

改札口で切符の点検をしていた駅員Aが中山のカバンをすごい力でひっぱり
駅員Bはお姉たまの襟首をこれまたすごい力でつるし上げ・・・お姉たま、猫のようになってますが!?

中山(ジョンシャン):何でオレたちは(入っては)ダメなんだよ〜!!
中山(男性)負けじとつかまれたカバンをひっぱり返すが、さらに強い力で駅員A(女性)にひっぱり返される。

中山(ジョンシャン):オレたちは日本人なんだよ〜!!
「自分たちは日本人だからよく分かっていない」ことをアピールしようということか。
だから何だ?という気もしないでもないが、外国人と分かると「しょうがないわねぇ」ということなのか、扱いがソフトになることもあるので正解かもしれない。
しかし、欧米人と違って見た目じゃ外国人と分からない日本人。
日本人であることの証明・・・パスポートがあれば・・・

ウエストポーチから急いでパスポートを取り出し、戦闘中の中山に代わり、駅員Aにパスポートを見せようとするPi-子。
Pi-子:見て!私たちは日本人・・・

ぱしぃぃぃぃぃ!!!

戦闘中の駅員Aにパスポートを見せようと斜め後ろから肩を叩いたら、払いのけようとしたのだろう
その手がPi-子の顔に直撃!!

ぶったね、父さんにもぶたれたことないのに!!

顔をぶつ気はなかったのだろうが、Pi-子の身長が低いから顔にあたっちゃったんだろうけど・・・許せん!!o(><)O

ぱしぃぃぃぃぃ!!!

「すみません、当たっちゃいました」という感じでどさくさに紛れて駅員Aを殴り返すPi-子。
さらに「ごたごたしてないで改札通してくれよ」という人民の皆様が後ろからどんどん押してきて、それを押し返そうと数人の駅員が出てきて・・・なんか泥沼?

旬ちゃん:すみません、何であの人たちは通っちゃいけないんですか?
ぐちゃぐちゃになっている周りを尻目に、近くの駅員を捕まえ、持っていた切符を見せながら尋ねる旬ちゃん。
答えは「その列車は遅れていて、まだ改札は開いてないんだから、全員入っちゃダメ」でした。

旬ちゃんのおかげで事態が理解できた我々。
当然、改札の中に入れた3人も、改札の外に出され、自分たちの乗る列車の改札が開くまで再度待つことになったのです。
めでたし、めでた・・・し? (^_^;A

数分後、今度は自分たちの乗る列車の改札が開いたことを確認し、駅の構内に入るとまわりと一緒にダッシュ!

がつっ!

Pi-子:わぁ!!
中山(ジョンシャン):Pi-子、大丈夫?
Pi-子:大丈夫、ちょっとつまづいただけ。

ハプニングもこんなもん↑で列車には無事に乗ることができた。
これで寝台が買えれば、万々歳なんだけどな。

人民の皆さんが座席が確保されていても、急いで列車に乗り込むのは、主に荷物の置き場所を確保のため(他にも理由はあるんだけど、ま、それは別の話で)ですが 我々の目的は補票(指定寝台席の購入)!!
寝台切符がなくなる前になんとか確保しなければ!!

乗り込むや否や車内の補票gui台(チケットカウンター)を探し、さっそく交渉開始。
旬ちゃん:すみません、硬臥(2等寝台)ありますか?
旬ちゃんがパスポートを見せながら乗務員に尋ねる。
ちなみに寝台を取る場合は中国人なら「身分証」が必要となります。私たちは外国人なので「パスポート」が「身分証」の代わりとなります。

乗務員:没有(ないよ)。軟臥(1等寝台)ならあるけどね。
ああ、お決まりの答え。
旬ちゃん:硬臥(2等寝台)無いって・・・
藤田(トンティエン):どうする?
中山(ジョンシャン):本当にないのかね?


というのも、当時は「外国人料金」というものがありまして・・・分かりやすく言うと「外国人から外貨を獲得しよう」という国策で、硬臥(2等寝台)に空きがあっても より料金の高い軟臥(1等寝台)を売ろうとする乗務員が数多くいたのです。(前述した通り旅行社も同様)

「外国人料金」は観光地の入場料、ホテル宿泊料金、列車、飛行機などの交通機関運賃など旅行に関わるすべてに適応され、現地人料金の数倍から十数倍になる場合もありました。
私たちは学生だったので「学割」もあったので、まだよかった方ですが。
ちなみに1994年頃に兌換券が廃止(中国のWTO加盟により)になった頃から、この「外国人料金」も徐々になくなっていきましたが、「外貨をゲット!」という国策は今でも 続いているようです。

中国人のおばちゃん:西安まで硬臥(2等寝台)3つ。
補票gui台にはりついている我々をあっさりとおばちゃんが横入り。
おばちゃん、私たちはさっき「没有(ない)」って言われたんだけどね。

乗務員:はい、39元ね。

なにぃぃぃぃぃ!!!???

Pi-子:ちょっとぉ!!あるんだったら売りなさいよ!!!!!
旬ちゃん:私たち、学生でお金がないんだから、軟臥(1等寝台)なんて買わないよ!
Pi-子:ど〜せ、決まった座席もないしぃ、ここを動かないんだぁ〜!
乗務員:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
藤田(トンティエン):ま、タバコでも1本どうですか?

押してダメなら引いてみろ作戦ってヤツで、藤田が係員にタバコを差し出した。

乗務員:・・・分かった。何枚?
旬ちゃん:5枚!!


こうして、何とか硬臥(2等寝台)をゲット
その夜はやっと寝台車で休むことができた。

明日の朝は西安だ。

(Pi-子)


(お役立ちリンク)
理研食品
お姉たまが食べていた「ふえるわかめちゃん」でおなじみ、海藻を素材にしたヘルシーな食製品を開発・生産している理研食品のサイト。
「ふえるわかめちゃん」など、良質な製品が生まれるプロセスがよく分かるweb版“工場見学”ができます。