やっとの思いで大学に到着。
外務事務所の人:いやぁ、よく来たね。迎えに行ったんだけど、電車が遅れてるってきいたので一旦帰ってきたんだよ。今、ちょうどまた
行こうかと思っていたところだったんだ。
・・・いや、この人、どう見ても
「お昼休み中」って感じで、「ちょうど迎えにいこうとしていた」ようには
思えないんだけど。
門馬(メンマ)さん:いやぁ、よく来たね。ボクも駅まで迎えに行っていて、今の今まで待ってたんだけどさ。電車が来ないから帰って
きてしまったところに、君たちが着いたんだね。運悪く行き違ったんだ。
この人は先輩の門馬(メンマ)さん。1年前から鄭州大学に留学しており、今年は2年目にあたる。
でも「今まで出かけていた」感じには見えず・・・2人とも行ってることが
ウソっぽい! (^_^;
外務事務所の人:じゃ、部屋割りはこの通り。疲れただろうから、部屋で休むといい。
2人1部屋で、私は旬(ジュン)ちゃんという大学で中国語を勉強している女の子と同室になった。
Pi-子:よろしくね
旬(ジュン)ちゃん:こちらこそ、よろしく
試験の時に浩子(ハオズ)と話していた女の子だ。

各自、部屋に行って休息&荷解きを始めた。
Pi-子は荷物がスーツケース1個と少なかったので、すぐに片付け終了!
同室の旬ちゃんもスーツケース1個だったのに・・・そのスーツケースから物が出てくる、出てくる。まるで手品のよう。
辞書等(学習用の本)が数冊、大量のカセットテープ(当時はまだカセットテープでしたね)、さらには
体重計まで・・・
Pi-子:・・・体重計まで持ってきたの!?よく入ったね
旬ちゃん:うん、荷物多すぎてスーツケース壊れて閉まらなくなってた。でも、空港の人親切だったみたいで、スーツケースベルトで
開かないようにしてくれてたよ。私、スーツケースベルトもつけてなかったのに。
確かにその荷物の量じゃスーツケースも壊れるわな!
私たちの部屋(っていうか旬ちゃんの荷物)はおおかた片付け終わったのでお隣の部屋に遊びに行ってみる。
Pi-子:どう、片付け終わった?
おねえたま:私は終わったけど、浩子は?
彼女は私たちよりちょっと年上だったので「おねえたま」と呼ばれるようになった。
・・・つーか、名づけたのは私だった気もしますが・・・ま、それはいいとして、元OL、会社を辞めて留学に来ました。
浩子:ほぼ片付いたよ。荷物が多かったから日本から送ちゃったんだ。
よく見ると、横にダンボールが・・・いや、ダンボールの残骸が・・・
おそらく中国に入ってから手荒に扱われたんだね・・・
旬ちゃん:何?布団も日本から送ったの?
よく見ると浩子のベッドには備え付けてあったぺらぺらの布団ではなく、ふかふかの布団が。
浩子:やっぱり自分の布団がいいでしょ。
それはそうだけど・・・送るかなぁ、普通?
おねえたま:一段落したから、この辺を散歩してみない?
Pi-子&旬ちゃん&浩子:いいねぇ。
10分後に宿舎の前に集合ということにしてそれぞれ身支度(?)を始めた。
約10分後。
Pi-子が1人ちょっと遅れて宿舎の前に出ると少し遠くで浩子、おねえたま、旬ちゃんの3人がちょっとイケメン風の中国人と何やら話しをしていた。
この辺の人っぽくないなぁ・・・上海とか北京とか香港とか都会に出稼ぎに行って帰ってきたばかりっていう感じ。
ちょっと距離があって何を話しているかは聞こえないけど、みんな中国語ができるからいいなぁ。
Pi-子:おまたせ〜
浩子:遅いよ、行くよ。
ちょっとイケメン風謎の中国人と目が合ってしまった。
あいさつぐらいした方がいいよね。やっぱり"ニーハオ"かな?
Pi-子:ニー・・・
ちょっとイケメン風謎の中国人:こんにちは!(流暢な日本語)
日本語話せるんだ。留学生宿舎の前にいるぐらいだから日本語習ってるのかもね。
では、いざ、ブラブラへ。
Pi-子:あれ、どっち行くの?学校の門はこっちじゃなかったっけ?
浩子:そっちは正門、東門の方へ行ってみようと思って。
さすが詳しいなぁ。旅行で来たことあるって言ってたもんね。

東門へ行く途中、購買部があったので立ち寄ってみる。
ガラスケースにノート、ペンなどの学用品のほか、またトイレットペーパーやタオル、洗面器など日用品も置いてある。
こんなもんまで学校の購買部に置いてあるんだ。
浩子:留学生だけでなく中国人学生もみんな大学の敷地内の宿舎に住んでるからね。学校の中だけでも不便はないように
なってるんじゃない。
ふ〜ん、そうなんだ。
(後から知ったことなのだけど、学校の敷地内にはちょっとした映画館、パン工場、病院もありました。)
東門をぬけて、中国の街へ。
街中通ってきたじゃないかって?・・・いや、大学までの車の中では辺りを見ている余裕がなかったから。(*^_^*)
街中の建物は日本の60年代〜70年代の映像に出てきそうな感じ。
通りを見ると車よりも圧倒的に自転車が多い。4車線のうち真ん中2車線が車、外側2車線は自転車専用になっている・・・さすが中国。
大通りからちょっと横道に入ると長屋のような商店街、その先に市場があった。
こうゆう市場の風景ってTVで見たことがあるよ。豚肉がまるごと1頭ぶらさがっていて、解体しながら売っている。
パック詰めに慣れている私たちにとってはちょっと衝撃的だわ。
この時、1人のおじさんが私たちのことをジロジロ見ながらすれ違って行った。
おねえたま:何今の?でも、あのおじさんだけじゃなくて、さっきから痛いほど視線を感じるんだよね。
旬ちゃん:やっぱり?同じ東洋人なのに何でだろう?服装?雰囲気?
おねえたま:両方だと思うけど・・・特にPi-ちゃんが見られてる。
Pi-子:ええっ、私?
私だって注目されている事はわかっていたけど、なんで"特に"なの?
すると、さっきのおじさん戻ってきて、Pi-子のことを頭の上から足の先まで
すごく珍しいモノを見るように眺めて、再び去って行った。
Pi-子:ええっ、何で?何で?何で〜?
旬ちゃん:分かった、ショートパンツだ。
Pi-子のこの時の服装、ノースリーブに半そでのシャツをはおり、下はショートパンツ・・・といっても太ももが隠れるぐらいの長さのヤツ。
おねえたま:確かにショートパンツはいている人って見ないね。
Pi-子:ショートパンツよりスケスケスカートの方が恥ずかしいと思うけどっ!
旬ちゃん:恥ずかしいとか恥ずかしくないって問題じゃなくて、珍しいか珍しくないかってことなんじゃないの?
・・・・・・・・そうかもしれない。
中国の人って好奇心旺盛の上、行動がストレートなのよね・・・。
おねえたま:Pi-ちゃん、前、危ないよっ!!
おねえたまの声に驚いて立ち止まると・・・びっくり、マンホールのふたが開きっぱなしで放置されていた。もちろんバリケートもなし。
はぁ、疲れる散歩だ・・・
宿舎に戻ると、門馬さんが小さな洗面器のような物を持って出てきたところだった。
Pi-子:門馬さん、その洗面器みたいなの何ですか?
門馬さん:洗面器じゃないですよ。今から学食に行こうと思ったんですけど、料理したものをこれに入れてもらって、部屋で食べようかと思って。
中国人の学生なんかもみんなこれを持って学食へ行ってますよ。
私には
子供用の洗面器にしか見えませんが。
門馬さん:学食へは行かれました?
Pi-子:いえ、まだですけど。
門馬さん:もしよかったら、ご案内しますよ。
留学生用の学食は留学生宿舎の2件隣ぐらいにある建物でご案内してもらうようなもんでもないけど、お言葉に甘えて(?)案内してもらうことにした。
留学生用だから(この時は留学生、全部で15人ぐらいでした)10席ぐらいのがらんとした建物で、カウンターに2,3品の食材がお皿の上に置いてあった。
藤田くんと団長、中山さんに3人が先に来ていた。
藤田(トンティエン):・・・が無くなってたんですよ。盗られたのかなぁ。
今日一緒に来た留学生仲間。大学生だけれど、中国語はPi-子と同じ初心者。
Pi-子:どうしたんですか?
藤田:いや、スーツケースにつけていたスーツケースベルトが無くなってたんですよ。盗られたにしてもスーツケースベルトなんて欲しいのかなぁ、って・・・
旬ちゃん:・・・それって、私のスーツケースについてたやつかもしれないっ!
藤田:えっ、本当ですか?
同じグループだったからよかったけど・・・やる事がアバウトだなぁ。
小楊(食堂の従業員):要不要(ヤオプヤオ)?
Pi-子:え?何?
門馬さん:何にしますか?って。カウンターに置いてある食材を選ぶんで、それを炒めてくれるですよ。味つけはどれも殆ど一緒だけどね。
ふぅん。
カウンターの上を見るとたまねぎと卵、ピーマンとお肉、トマトと卵、きのことよく分からない野菜・・・などがそれぞれ1セットでお皿にのっている。
トマトと卵・・・トマトを炒めるのかな?
意外なものにチャレンジしたかったので、Pi-子はトマトと卵をチョイス。
指差しで「これがいい」と食堂の従業員に伝える。
横で見ていると門馬さんは先ほどの小さなアルマイトの洗面器のようなものを従業員に渡していた。
本当に食べ物を入れるんだ。(^_^;
しばらくすると、私の「トマトと卵の炒め物」が出てきた。
トマトって、日本ではサラダのイメージが強いので、炒めるのって意外な気がする。
パクッ
あ、おいしい p(^o^)q
なかなか美味でございました。(今では私の得意料理(?)の1つになっています。)
なんか今日は初めてだらけの日だったなぁ。
ぐっすり眠れそうだ。
(Pi-子)