鄭州大学殺人事件



金水河


呼和浩特(フフホト)から戻ってきた翌日の夕飯時。食堂にて
Pi-子:あ〜、お腹減った。今日のご飯は何かな〜?
おねえたま:あっ、Pi-ちゃん、もう具合はいいの?
Pi-子:う〜ん・・・出すモノは出し切っちゃったから、もう残ってないだけかも。それより空っぽのなったお腹を早く満たさなきゃ。

(初っ端から下品な話題ですみません m(_ _)m 注:忘れちゃった人は前ページから読み直してね。)

塚本さん:えっ、どうしたの?
Pi-子:いやぁ、旅行中、北京についた辺りから気持ち悪くなってきて・・・
旬(ジュン)ちゃん:要するに都会の水が合わなかっただけですよ。
(笑)
Pi-子:い・・・いや、そんなことは・・・(^_^;

門馬(メンマ)さん:とうとう"洗礼"を受けたか。
塚本さん:うん、"洗礼"かもね。
Pi-子:"洗礼"って?
門馬さん:ま〜、これで立派な"鄭州人"になったってことだよ。

う〜、喜んでいいのかどうかビミョ〜。
都会の水が合わないとか、鄭州人とかって言われても、私はアーバンシティギャルですが!?

浩子:私も先週、調子悪かったけど、あれ"洗礼"だったのかな?
門馬さん:水なのかねぇ?油料理なのかねぇ?分からないけど、たいてい来てから1ヶ月ぐらいで気持ち悪くなって それを過ぎると平気になる人が多いから、ここの生活に慣れる為の"洗礼"って呼んでるんだよね。


"洗礼"なんだか"鄭州人"になったんだかはよく分からないけど、この2日間で4kgも減ったのはうれしい (^_^)v
もっとも体調がよくなったら、すぐに戻っちゃうんだろうけどさ。(←戻るだけならまだいい・・・)

部屋に戻ってきてから、体重計に乗ってニヤニヤする私の横で、旬ちゃんはすでにベッドに入って睡眠モード。
Pi-子:早いね、もう寝るの?
旬ちゃん:うん、だって明日から普通に授業だよ。

ああ、そうだった。
旅行から帰ってきてから体調が悪かったのもあり、ごろごろ過ごしていたから、授業なんてすっかり忘れてた。
私も明日の用意して早めに寝るか・・・

こうして、明日も今までと同じ日が来ると疑わず、ぐっすり熟睡してしたのですが

まさか、こうして寝ている間にあんなことが・・・



朝、起きてから朝食にと学食へ向かおうとしていた時、門馬さんの部屋から見知らぬ人が出てきたのに気づく。
はて?何?・・・っていうか誰?

宿舎の外に出ると、その見知らぬ人物と門馬さんが何やら会話してますが・・・
友だちにしちゃあ、ずいぶん歳が違うし、こんな朝から何?

頭を?マークだらけにしながら、2人のことを見比べていると門馬さんと目があった。

門馬さん:・・・ドロボウに入られちゃった・・・・・・

食堂へ行くと、話題はやはりドロボウの話で持ちきりだった。
荻田さん:変やな〜って思ったんや。
旬ちゃん:何がですか?
荻田さん:わし、国慶節の間ウルムチへ旅行へ行ってて、帰ってきたのが今朝の3時頃やったかなぁ。 そん時に門馬の部屋のフロ場の窓、廊下に面しているところに、あそこの下にイスが置いてあってな・・・
おねえたま:いつも玄関の脇に置いてあったイスですか?
荻田さん:そうそう。隣がわしの部屋やから、誰か帰りを待っててくれたんか・・・思ったけど、あれを踏み台にしたんやな。
(ちょっとがっかり)

藤田(トンティエン):あの窓、門馬さん、いつも開けてたからなぁ、湿気がこもるからって。
団長:かなり上の方についてる小窓だけど、十分に人は通れる大きさだよなぁ。

クマさん体型の団長には無理だと思いますが。

荻田さん:盗まれたのってベッド下に置いてあったスーツケースだけなんやてなぁ。あの中に現金やらT/C(トラベラーズチャック) やら金目のもんは全部入れてあったって。
藤田:あんまり考えたくないけど、それって留学生か宿舎、もしくは門馬さん個人をよく知ってる人なんじゃないかなぁ。


* 外から宿舎に入る玄関にカギがついていないこと
* 玄関脇にイスが置いてあったこと
* イスを使えばフロ場の小窓から容易に侵入できること
* 小窓はいつも開いていたこと
* そして、スーツケースの中に貴重品が入れてあること
 (スーツケースには鍵がついているので私も含めて、おそらく全員がスーツケースの中に金目の物を入れていたのです。)

門馬さんの部屋はたまたま1Fで入り易かっただけであって、誰が被害にあってもおかしくなかったんだよな。
そう思うと空恐ろしい・・・

Pi-子:まぁ、でも門馬さん気づかなくてよかったよね。居直り強盗なんかなったらもっとタイヘンなことに・・・
団長:こうなったら、俺たちが立ち上がるしかないな。

自衛っていうか、自警?
たまには団長らしいことを言う・・・

団長:"留学生探偵団"・・・イマイチだな・・・"日本忍者部隊"結成だ!!!

あ〜あ、始まっちゃったよ、団長の爆笑(走?)妄想劇場!
Pi-子:・・・何で忍者なの?
団長:"探偵"より"忍者"のがかっこいいじゃんか!!

藤田:オレ、こんな大人じゃない大人の人見たの、初めてだよ・・・(-_-;


被害者である門馬さんを他所に、妄想だか、推理だか(たぶん両方)しながら数日が過ぎていったのです。
まさか、さらに恐ろしい事が起こっているとは知らずに・・・



授業を終えて宿舎に帰ると途中、宿舎裏の金水河の辺りですごい人だかりが。

藤田:何、この人だかりは?
団長:門馬のところに入ったドロボウが捕まったのかな?
Pi-子:こんなに人が集まるほどの大事件じゃないじゃん。見えないから前に行ってみよう。


ほぼ満員電車と同じぐらいの人の間をかきわけていくと荻田さんを発見!
Pi-子:あっ、荻田さん、何かあったんですか?
荻田さん:殺人やて、死体があるで。


死・・・死体!?
怖いけど・・・ちょっと見てみたい。(←やじ馬)

藤田:やめなよ、Pi-子。あんまり見るものじゃないよ!
Pi-子:いや、でも、ちょっとぐらい見てみたいじゃん。(^_^;

そして、再び人をかきわけ前の方へ行くと・・・え・・・あれ?

普通の軽トラックの上に人の髪の毛と肌の一部みたいなものが露出してますが・・・

Pi-子:うそ・・・あんな、物みたいに無造作に・・・服も着てないし、布キレ一枚かかってないよ。
藤田:女性・・・だと思うけど、あれじゃかわいそうだな。
荻田さん:ここで検死とか、全部やったんやろな。


日本だったら、ブルーシートで覆って目隠ししたりするんだろうけど(TVで見ている限り)そうゆうことをしないのがさすが(?)中国だ。
遺体に布・・・なければシートでもいいからかけてあげればよいのに・・・。

藤田:なんか、日本じゃ考えられないよな・・・こうゆう考え方はしたくないんだけどさ、中国じゃ1人の人間の 命の価値は12億分の一に過ぎないってことなのかな・・・
藤田、ちょっとおセンチになっちゃってます?(^_^;
確かに、人の命は国籍問わず平等であるべきだと思うけど、こんなオープン過ぎる捜査状況を見ていると"人権"とは?
・・・なんて考えてしまうのであります。

事件に対して、先生たちの反応は様々で・・・

朱老師:鄭州は平和な町なのに、どうしてこんなに近くでこんなことが・・・
深いため息をつく朱老師。
朱老師:夜になったら決して1人では出歩かないように。特にPi-子は女の子だから気をつけるのよ。
Pi-子:はぁ・・・(^_^;

(↑初級班の中では紅一点でした。)

対照的だったのが王先生
王老師:太可怕!!(まぁ、なんて怖い!!)(驚愕)
と口では言いつつ、(好奇心で)瞳をきらきらさせてますが!?

王老師:かなり前に紫金山公園の近く(鄭州市内だが学校からは離れてい)で 殺人事件があったこともあるけど、鄭州では殺人は多くないのよ。アメリカではどう?
ジェイソン:え・・・
王老師:もっとも、アメリカではピストルで"ズトン!"よね、中国ではやっぱりナイフかしら(嬉)
初級班の中の唯一のアメリカからの留学生、ジェイソン。
る 彼は言葉の意味が分からなかったのか、それとも分かっていたからなのか、絶句でした。(^_^;

事件より2日後、犯人が逮捕された。


クリックで拡大(かなり読みにくいですが)
河南日報より

10月10日、午前8時、鄭州市公安局二七公安分局に「金水河沿い、鄭州大学の近くに女性の焼死体がある」との通報があった。
捜査員は迅速に現場へ駆けつけ、調査を行ったところ、殺されたのは鄭州大学の女子学生であることを確認した。
彼女は8日の夜「河南師範大学の学生」と称する宋洪涛という男と一緒に外出した。

12日の早朝7過ぎ、自転車にて逃走しようとする宋洪涛を発見、逮捕した。
調べによると宋は24歳の就職浪人。
8日の夜、女学生の同郷人だと騙して誘い出し、強姦した後、首を絞めて窒息死させた。
その後、被害者の時計を盗み、遺体に火を放った後に逃走。
現在のところ、目下、審議中。(1990年10月13日)

団長:実は、闇で"日本忍者部隊"の活躍があったのだ!
藤田:パソコンの前の諸君はボクたちの活躍をどう思うかな?┐(  ̄ー ̄)┌ フッ

(注:大ウソです。 by Pi-子)

* 被害に遭われた女子大生のご冥福を心よりお祈りいたします

(Pi-子)