伊勢神宮参拝記その4



淨闇の夜に行われる遷御
 伊勢神宮を参拝し帰京後も、社殿などを一新してご神体を新正殿に遷す20年に一度の式年遷宮には深い関心を寄せていました。
 遷宮は、社殿やご神宝を新しくすることによって神さまがみずみずしさを取り戻し、永遠の発展を願う「常若(とこわか」という神道の考え方に基づいていると云う。
 遷御の儀は、内宮では平成25年10月2日夜、外宮は同じく5日の夜、正殿近くで焚かれていた庭火や参道を照らしていた提灯の火が一斉に消され、ご神域は「淨闇(じょうあん)」と云われる清らかで穢れのない暗闇と静寂に包まれた中で厳粛に執り行われたと報道されました。
 本ページは遷御の儀についての様子が読売新聞の記事に詳しく掲載されましたので、転載させていただきました。
 


 遷宮前の新正殿(平成25年7月29日撮影)



 内宮「遷御の儀」
 「カケコー、カケコー、カケコー」鶏の声をまねた神職の「鶏鳴三声(けいめいさんせい)が正殿の下から響いた。天の岩戸に閉じ籠った太陽神の天照大御神を外に出そうとして、鶏を鳴かせたという故事にちなむとされる儀式。
 天皇陛下のお使いである勅使が「出御(しゅつぎょ)、出御、出御」と唱える。午後8時、ご神体を運ぶ列がゆっくりと動き始めた。
 旧正殿を出て、38段ある階段を降りた列は、神さまに供えるために新調された盾や鉾、刀などの神宝を持った神職を先頭に奉拝者の前に姿を現した。
 神職ら150人で、列の長さは80メートル。大宮司や少宮司らがささげ持つご神体の「八咫鏡(やたのかがみ)」は、白い絹の布「絹垣(きんがい)で囲まれ、たいまつの火に幻想的に浮かび上がる。
 その後を、天皇、皇后両陛下の長女黒田清子臨時祭主らが続いた。神職が砂利を踏みしめる「ジャツ、ジャツ」という音とともに、ご神体が目の前を通り過ぎると、約3000人の奉拝者からは、かしわ手を打つ音が湧き起った。
 旧正殿から新正殿までの距離は約300メートル。ご神体は雨よけのために設けられた雨儀廊(うぎろう)を通り、約20分後、ヒノキの香りが漂う新社殿へ入った。
 神宝や装束も新社殿に納められると、御扉(みとびら)が大宮司と少宮司により閉じられ、神職や参列者らが8度拍手して参拝した。神話を再現したとされる20年に一度の「神さまの引っ越し」の儀式は無事に完了した。
 遷御の時刻に合わせ、皇居の新嘉殿の南庭では、天皇陛下が伊勢神宮の方角に向かって拝礼された。(本稿は読売新聞10月3日朝刊記事より転載しました) 。
 
 衣食住の守り神である豊受大神を祀る外宮は、内宮に2年遅れの692年に第1回の遷御が行われたと云う。
 遷御の儀式は内宮とほぼ同じ様に進められる。ご神体が旧正殿を出る際の鶏鳴三声は内宮の「カケコー」ではなく、「カケロー、カケロー、カケロー」。
 8年の歳月をかけて進められてきた神宮最大の行事は、内宮、外宮の遷御の儀式でほぼ完了し、別宮などの遷宮は2015年まで続くという。


宇治橋と五十鈴川  内宮の杜
 
静寂に包まれた 内宮境内の池



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