翻訳作業に関する備忘録
以前、テレビで、日本の漫画を各国語に翻訳する工房のことが取り上げられていました。そのやり方は徹底していて、日本語の吹き出しを一つ一つ、エクセルの列に入れた上で、各行に対応する各国語の訳を横並びに入れていく、というものでした。これがプロの仕事だと私は大いに感心し、自分の翻訳の作業にも取り入れようと考えました。
以前から気になっていたのは、原文のセンテンスを一つ読み飛ばしてしまい、その部分の訳文が脱落するというミスです。やはり、目が疲れて集中力も落ちているときに起こります。きちんと休憩を取らずに、あそこまで行ったら休みにしようと、ずるずると続けるときにが危ないようです。もちろん、めったにないことなのですが、それだけにかえって、”あるかもしれない”脱落を後から見つけ出すのはけっこう大変で手間のかかる作業になってしまいます。
とくに、私が取り組んだミルの文章は、セミコロンが多用されているので、チェックがいっそうむずかしくなります。というのは、セミコロン以下の部分には、先行する部分の例示や限定などが組み込まれているので、その部分が訳で脱落していても、前後の文章とはスムースにつながって読めてしまうからです。意味を追いながら読んでいると、脱落に気づきにくいのです。しかし、プロの校正者のように意味の流れにあえてとらわれずに読む、というか見るというのは、意味を考えながらの作業にすでに深く関与しているために、かえってむずかしいわけです。
以下のようなエクセルを使ったやり方ですと、脱落は、訳文の行の少なさで視覚的に確認できます。また、最後に触れますが、他にもいろいろな効用があります。
しばらく時間が経つと、自分が試みたことの詳細を忘れてしまいそうですので(もう忘れ始めている!)、備忘録として残しておきます。御覧になった方にも、何かの参考になればうれしく思います。
◇作業の流れ
(1)原文の電子テクストの入手→ (2)テクストファイルの整形 →
(3)エクセルでの準備作業→ (4)本作業
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