独断的JAZZ批評 850.

JOHN COATES, JR.
稀少性を謳った再発アルバムに優れものが少ないのは今も変わらないか・・・
"ALONE AND LIVE"
JOHN COATES, JR.(p)
1977年6,7月 ライヴ録音 (OMNISOUND : MZCS-1283)

JOHN COATES JR.は初めて聴く。初めて試聴した時に、これはKEITH JARRETTEに似ているという印象を持った。このCOATESのことをネットで色々調べてみたのだけど、詳しいことはよく分からない。一時、脚光を浴びて、やがて、人知れず消え去ったという感じなのだ。
一部では先のKEITHと一緒にバンドを組んでいた(KEITHがドラムスを叩いていた)とか、KEITHに多大な影響を与えたとか、日本でも熱狂的なCOATESブームを巻き起こしたとか言われている。
「悲運の名盤が30数年を経て奇跡のCD化」だそうだ。
確かに、KEITHの"THE KOLN CONCERT"(JAZZ批評 3.)に雰囲気が似ていると言えば似ている。でも、この"THE KOLN CONCERT"は1975年の1月の録音だから、KEITHの方が先に録音したことになる。


@"PROLOGUE" 一聴するとKEITHを連想する。ゴスペル、フォークと牧歌的色調が混じった演奏だ。この雰囲気がどの曲にも多かれ少なかれ混じっている。
A"WHEN IT'S SLEEPY TIME DOWN SOUTH" 
この曲のみスタンダードで、他の9曲はCOATESのオリジナル。この曲と言えば、PETER ROSENDALの"LIVE AT THE COPENHAGEN JAZZHOUSE"(JAZZ批評 162.)の小粋な演奏を思い出す。翻って、COATESの演奏はフォーク色が強くて、同じ曲とは思えない仕上がりとなっている。饒舌というのとは違うが、「間」がなくて抑揚に欠ける。
B"NEVER HAVE KNOWN AN ESTHER" 
曲が違っても雰囲気は同じ。
C"SKETCH" 
D"MIXED FEELINGS" 
E"HOMAGE" 
F"SOMETHING KINDA SILLY" 
G"THE END OF THE BEGINNING" 
ゴスペル色の強いゴツゴツした演奏だ。
H"THE PRINCE"
 

最初に耳にしたとき、KEITHばりの演奏に面白そうだと思ったのだが、何回か聴いているうちに飽きてきた。曲が変わっても演奏スタイルが似ていて、皆、同じように聴こえる。
たまたまKEITHと一緒にプレイしたことがあるとか、"THE KOLN CONCERT"に演奏スタイルが似ているとか、日本では全くのマイナーなプレイヤーだったとか・・・その稀少性が受けてブームとなったのではないかと推測している。
率直に言って、"THE KOLN CONCERT"の方が演奏の奥深さや躍動感、美しさに溢れていて比較にならないほど素晴らしいと思う。
「似て非なるもの」と言わざるを得ない。昔から、稀少性を謳った再発アルバム(いわゆる、「幻の名盤」)に優れものが少ないのは今も変わらないか・・・。
これを機会に、改めて"THE KOLN CONCERT"を引っ張り出して聴いてみたが、やはり何年、何十年経とうが今もって色褪せない頬擦り盤である。   (2014.02.09)

試聴サイト : http://www.youtube.com/watch?v=F_kKU0Lx5XY#t=37



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