ALAN PASQUA, DAVE CARPENTER & PETER ERSKINE TRIO
このアルバムの底流にあるのは常に4ビートだ
"STANDARDS"
ALAN PASQUA(p), DAVE CARPENTER(b), PETER ERSKINE(ds)
2007年1月 スタジオ録音 (FUZZY MUSIC : PEPCD014)
先日紹介したALAN PASQUA TRIOの"LIVE AT ROCCO"(JAZZ批評 845.)は素晴らしいアルバムだった。未だに余韻が残っていて、時々、引っ張り出しては聴いている。
これだけのピアニストに今まで気が付かなかったことが我ながら不覚に思える。大のお気に入りとなってから、本アルバムを含めて3枚のアルバムをゲットした。順次、紹介していきたいと思う。
"LIVE AT ROCCO"が主にPASQUAとメンバーのオリジナルで構成されていたのに対し、本アルバムはタイトル通りスタンダード・ナンバー中心の構成となっている。一度ならずや聴いたことのある曲だけにその料理の仕方に興味津々だ。
@"THE WAY YOU LOOK TONIGHT" タイトルに馴染みがなくてもテーマを聴けば「ああ、この曲か!」と思うはず。心地よい4ビートに乗ってズンズン進む。ライヴではないので比較的抑え目な演奏だ。
A"DEAR OLD STOCKLHOLM" 言わずと知れたスウェーデンのフォーク・ソング。奇を衒わずにオーソドックスに弾いているのがいいね。CARPENTERの太くて重いベース・ワークもグッドだ。
B"DEEP IN A DREAM" バラードであってもブラシがテンポを刻み静かな躍動感がある。これが大事!
C"CON ALMA" D. GILLESPIEの書いた曲だけど、今ではスタンダード化している。このアルバムの底流にあるのは常に4ビートだ。
D"IT NEVER ENTERED MY MIND" R. ROGERSの曲だけど、いい曲だなあ!この人が書いた名曲は多いけど、この原曲の良さを生かした演奏にも拍手を送りたい。
E"SPEAK LOW" この曲というとWALTER BISHOP JR.(JAZZ批評 111.)の演奏があまりにも有名だが、四の五の言わずに直球勝負という姿勢がいいね。
F"I'M GLAD THERE IS YOU" 緩急で言えば「緩」のトラック。ベースの重低音が実に効果的。
G"I HEAR A RHAPSODY" ERSKINEの軽快なブラシで始まる。スティックに持ち替えてからのシンバル・レガートも心地よい。何やら、CHICK COREA的なパッセージもあったりして面白い。ドラムスとの8小節交換を経てテーマに戻る。
H"I'M OLD FASHIONED" BILL CHARLAPのタイトル・アルバム(JAZZ批評 634.)ではギターのPETER BERNSTEINとドラムスのPETER WASHINGTONとのトリオ演奏も良かった。ここではERSKINEのブラシによるソロが用意されている。
I"I COULD HAVE DANCED ALL NIGHT" 最後はしっとりバラードで締め括る。音符過剰にならない「間」がとても良い。
得てして、スタンダード・ナンバーは人とは違う演奏を目指すあまり、変拍子にしたり、凝ったアレンジを施すケースをよく見かけるが、本アルバムでは真っ向勝負、正々堂々と料理してくれた。その点、本アルバムは好感が持てる。
このアルバムの底流にあるのは常に4ビートだ。3者が均等になって持ち分を分担し、そのアンサンブルが素晴らしい。誰にでも安心してお勧めできるアルバムということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。 (2014.01.31)
試聴サイト : http://www.amazon.co.jp/Standards-Alan-Pasqua/dp/B000V3IX3W
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