独断的JAZZ批評 818.

JOHN NAZARENKO TRIO
特に、ジャズ初心者の方にはうってつけ
こういうアルバムを聴きながらジャズを好きになって欲しいなと思う
"WITH ERIC HARLAND & MATT PENMAN"
JOHN NAZARENKO(p), MATT PENMAN(b), ERIC HARLAND(ds)
2012年12月 ライヴ録音 (FIFTH STEP 自主制作盤?)

前掲に次いでJOHN NAZARENKO TRIOである。と言っても、ベースがREUBEN ROGERSからMATT PENMANに替わっている。ドラムスは同じくERIC HARLAND。
このJOHN NAZARENKOはSKIDMORE COLLEGEの音楽部門の先生らしい。本アルバムの録音もその学校内のホールに少人数の友人たちを招いて録音されたという。実際にはオーディエンスがいたわけだけど、拍手や歓声などは録音されていない。
MATT PENMANはニュージーランド生まれで、1994年に活躍の場をニューヨークに求めて渡米している。この人の傑作というとフランスのアルトサックス奏者JORIS ROELOFSの"INTRODUCING JORIS ROELOFS"(JAZZ批評 523.)が思い起こされる。ピアノにAARON GOLDBERG、ドラムスにARI HOENIGという豪華メンバーだった。堅実で良く歌うベース・ワークが持ち味だ。


@"NIGHT AND DAY" 
C. PORTERの曲。PENMANの絡み方がいいね。HARLANDのブラシ・ワークも軽快で、途中からスティックに持ち替える。とても素性の良い演奏だ。
A"ANGEL EYES" 
ベースがズンズン、ミディアム・テンポの4ビートを刻む。何て心地よいのだ!ベース・ソロもよく歌っていてGOOD!
B"IF I LOVED YOU" 
R. RODGERSの手になる美しいバラード。
C"ISRAEL" 
この曲というとBILL EVANSの"EXPLORATIONS"(JAZZ批評 158.)の演奏があまりにも有名だ。12小節のブルース。PENMANのベース・ソロも聴きどころだ。
D"DARN THAT DREAM" 
ボサノバ・タッチで軽やかに。サポート役に徹したHARLANDのブラシ・ワークも軽快だ。オーソドックスだけどとても良い演奏だ。
E"ALICE IN WONDERLAND" 
「不思議の国のアリス」 軽快なワルツ。
F"STELLA BY STARLIGHT" 
ピアノのテーマ崩しで始まる。このアルバムの中では一番遊んでいる。
G"LAMENT" 
トロンボニストのJ. J. JOHNSONの書いた曲。何て美しい曲なのだろう!あまりの美しさに多くのミュージシャンが今までに取り上げてきた。スロー・バラードだけど躍動感を失っていないのがいいね。
H"BEATRICE" 
今度はテナー奏者のSAM RIVERSの曲。
I"THE DUKE" 
DAVE BRUBECKの曲。最後はミディアム・テンポの4ビートで締める。

全ての曲がスタンダード・ナンバーかジャズの巨人のカバー曲で、兎に角、みな曲が良い。「いいテーマにいいアドリブあり」を具現化している。いいテーマに沿ったアドリブの展開力も申し分ないし、まず、破綻することがない。どの演奏も安心して聴いていられる。そういう意味では少々優等生過ぎる嫌いはあるが、音楽学校の先生だったら仕方ないかな?
とても素性の良いアルバムで誰にでも安心してお勧めできる。特に、ジャズ初心者の方にはうってつけ。こういうアルバムを聴きながらジャズを好きになって欲しいなと思う。   (2013.09.10)

<2013.11.26 追記>
先日、最近の5つ星アルバム5枚と本アルバムの合計6枚分をスマホに入れて小旅行に出た。シャッフルしながら聴いていると、その度に、本アルバムのトラックでいいなあと思いつつ、プレイヤーを確認した次第だ。
初心者にうってつけのアルバムと書いたのだが、大のベテランまでお勧めできると確信し、「manaの厳選"PIANO & α"」に遅ればせながら追加した。


試聴サイト : http://www.cdbaby.com/cd/johnnazarenkotrio



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