独断的JAZZ批評 786.

NAJPONK
NAJPONKがやらなくても良い音楽だと僕は思っている
"LIVE AT THE OFFICE"
NAJPONK(p), JAROMIR HONZAK(b), MATT FISHWICK(ds)
2012年7月 スタジオ録音 (GATS PRODUCTION : NAJ0001)


NAJPONK(ナイポンク)の名前は日本で結構知られてきて、最近はアルバムのリリースもコンスタントになってきているようだ。NAJPONKとは、ジャズ界ではよくある逆さ読みで、本名はJAN KNOPという。チェコ出身。
NAJPONKのアルバムと言えば、2002年録音の"AUTUMN IN NEW YORK"(JAZZ批評 236.)を忘れてはならない。兎に角、心に染み入る演奏で、聴くものをあっと言わせたアルバムだ。僕にはこのアルバムの強烈な印象が残っていて、このアルバムを超えるには相当の好印象が必要だと思っている。
メンバーは自らのオリジナル・メンバー。スタンダードからカバー曲まで聴き慣れた曲がずらりと並んだ。

@"THERE IS NO GREATER LOVE" 軽いタッチのかーるい演奏。目を瞑っても弾けそうだ。ライヴではこういうノリの良さが受けるだろう。
A"BASED ON BACH, BIRD AND TRANE" 
凄いタイトルが付いたもんだ。バッハにチャーリー・パーカーにコルトレーンだもの!
B"BLUE MONK" 
C"FOR HEAVEN'S SAKE" 
原曲は美しいバラード。何か、この場にそぐわない。
D"LOVE LETTERS" 
E"LISTEN HERE" 
何とも古臭い8ビートの演奏だ。
F"WAHOO" 
G"I'LL REMEMBER APRIL" 
ボサノバ・タッチ。
H"BLUES AT THE OFFICE" 
タイトル通りのブルース。RAY BRYANTを彷彿とさせる。
I"CHEROKEE"
 ベース音がダボついていて、シンバリングがせわしない。

率直に言えば、期待外れである。というか、最近のNAJPONKのアルバムを聴くにつけあまり大きな期待はしていなかったというのが本音だ。ある意味、予想通りであった。全編、バップ・テイストに溢れている。
最初にも書いたように僕には"AUTUMN IN NEW YORK"の印象が強くて、このアルバムを超えてくれないことには満足は出来ないのだ。
ライヴ盤であり、ノリもライヴのそれである。オーディエンスの喜びそうなフレーズを多用している。まあ、文句を言うつもりもないけど、ここまで迎合することはなかった。NAJPONKがやらなくても良い音楽だと僕は思っている。通い慣れたライヴ・ハウスでファン・サービスに徹したという印象だ。
それに引き替え、"AUTUMN IN ・・・"は彼らのやりたかった音楽であり、彼らにしかできない音楽を100%表現できたのではないかと思う。その違いなのだ。JOHN LENNONの書いた"IF I FEEL"とか9.11を題材にしたオリジナル"NINE ELEVEN 2001"や"AUTUMN IN NEW YORK"なんかを聴くと、しっとりと心の隅々まで音楽が沁み通っていくのが分かる。気分直しにこのアルバムが聴きたくなった。   (2013.01.17)

試聴サイト : http://diskunion.net/jazz/ct/detail/JZ121130-04



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