BOBO STENSON
一言で言うと、楽しさも遊び心も充分とは言えない
故に、少々聴き疲れする音楽だ
"VERY EARLY"
BOBO STENSON(p), ANDERS JORMIN(b), RUNE CARLSSON(ds)
1986年12月 スタジオ録音 (DIW DIW-481) 

このアルバムはちょっと古めの1986年のスウェーデン録音の再発盤。JAZZ批評 228.HELGE LIEN(ノルウェイ)のアルバムに触発されて購入したアルバムだ。いきおい、試聴もしないでジャケットの帯にあるコピーだけで買ってしまった。
「ボボ・ステンソンの、否、ヨーロピアン・ピアノ・トリオの最高傑作&ベスト・セラー」と、あるだけの賛辞が書き連なっていた。売る側のコピーとしてみれば、誇大表現だと非難するわけにはいかないのでしょう。
北欧独特の味わいがある。ヨーロッパのピアノ・トリオは概して、3者が対等な立場で演奏される場合が多い。スリリングである反面、内省的で少し理屈ぽいとも言える。そして、あくまでもクールなのだ。

@"MOON AND SAND" 躍動感溢れるイントロがこれからの展開を期待させる。ピアノが鍵盤をバシバシ叩いている。そして、ベースの長めのソロが続く。ベースで和音を弾いているが思い切りの良さと力強い演奏で躍動感が失われていないのが良い。
A"SOME OTHER SPRING" バラードだけど、ここでもピアノをこれでもかと叩きまくる。だけど"HOT!"という印象は湧いてこない。あくまでも"COOL !"なのだ。

B"VERY EARLY" BILL EVANSの曲。巧みなスティック・ワークに続くブラッシュ・ワークも素晴らしい。このアルバム、概して、ベース・ソロが長い。上手いことは認めるがベース・ソロが長過ぎるというのも鼻につく。
C"AUTUMN IN NEW YORK" スタンダード・ナンバー。バラード・ナンバーでもしっかりとしたピアノタッチが良いね。
D"COMING ON THE BIKE" STENSONのオリジナル。4ビートを刻みだすとウキウキしてくる。ジャズはこうでなくちゃあ!こういうノリが全編にあれば最高だった。このアルバムのベスト。

E"PAVANE" 美しいバラード。ここではピアノが饒舌だ。
F"SATELLITE" JOHN COLTRANEの曲。
G"SORG" 
H"RAMBLIN'" これはORNETTE COLEMANの曲。

全体を通して思うのはベースがでしゃばり過ぎということ。ベース・ソロも長過ぎる。所詮、ベースは楽器としての能力においてピアノに叶わないのであるから、腹八分目に留めておいて欲しいし、ベースの持つ役割に徹するべきではないか。逆に、もっともっとピアノにはしゃしゃり出て欲しいと思う。更に言えば、もっとリラックスして演って欲しい。一言で言うと、楽しさも遊び心も充分とは言えない。故に、少々聴き疲れする音楽だ。   (2004.11.20)



独断的JAZZ批評 232.