独断的JAZZ批評 731.

BRIAN CHARETTE
ジャズ版B級グルメ
"LIVE AT DEANNA'S"
BRIAN CHARETTE(p), MATT PENMAN(b), ARI HOENIG(ds)
1999年12月 ライヴ録音 (SOULSEARCH MUSIC : SSM009)


「幻の名盤」といわれるアルバムの再発盤。日頃から、「幻の名盤に名盤なし」と思っているのであまり食指が伸びないのであるが、再発盤として枚数限定で発売された6枚のうちの1枚くらいはいいだろうと思って購入してみた。だから、最初から大きな期待は抱いていない。ただ、このメンバーならそこそこの出来にはなっているだろうと思った。何しろ、ベースにMATT PENMAN、ドラムスにARI HOENIGだもの!
このBIRAIN CHARETTEというプレイヤーは現在ではオルガン・プレイヤーとして活躍しているそうで、このアルバムは1999年録音のピアノ・トリオ・アルバムとなっている。

@"ALL THE THINGS YOU ARE" ライヴならではの雰囲気と言いたいところだけど、このレストラン"DEANNA'S"では少々場違いだった?演奏とは関係なしに大声でゲラゲラ笑うオーディエンスの声まで入っている。こういう環境の中で真面目に楽器に対峙している3人は立派だ。
A"MY ROMANCE" 
ミディアム・テンポのカチッとしたテーマ。まあ、何と言ってもPENMANのバース・ワークが素晴らしく唸ってしまうね。太くてゴツゴツした触感がまた良い。軟弱なベーシストはこのピチカートを見習って欲しいね。
B"CHEESECAKE" 
アップ・テンポの4ビートを刻むが、CHARETTEのピアノが何の変哲もない演奏で退屈する。
C"I DON'T STAND A GHOST OF A CHANCE WITH YOU" 
バラード。オーディエンスの話し声が一際大きく聞こえる。プレイヤーには気の毒な環境だ。
D"SOLAR" 
E"DON'T EXPLAIN" 
ボサノバ調のこの演奏はWYNTON KELLYの"PIANO"(JAZZ批評 11.)の演奏とはまるで違う。全然別物の曲のようだ。
F"STELLA BY STARLIGHT" 
このアルバムの中で、HOENIGはほとんどスティックを使うことがない。やはり切れのあるHOENIGのスティック捌きを聴いてみたいものだ。PENMANのベース・ワークに手抜きはない。
G"CORCOVADO" 
退屈なピアノだ。
H"WHAT IS THIS THING CALLED LOVE" 
珍しくHOENIGがスティックを持って暴れている。こういうのが聴きたかった。
I"I GOT RHYTHM"
 アップ・テンポで突き進むPENMANのウォーキングとHOENIGのブラシ捌きがいいね。このアルバム中、一番一体感がある。

ジャケットデザインといい、装丁といい、まさにB級。いくら再発といえどもぺらぺらの紙片が入っているだけのジャケットはまるで自主制作盤のようだ。
PENMAN、HOENIGとサイドメンには今をときめくプレイヤーが参加しているが、ピアノがB級。そして、オーディエンスもB級。このライヴ・ハウス"DEANNA'S"のオーディエンスなんかまるで熱心に聴いてなんかいやしない。自分達の会話に夢中だ。そういう白ける状況の中でプレイヤーは一生懸命にやっている。こういう姿勢だから後にPENMANもHOENIGもA級の称号を得たのだろう。それにしても、プレイヤーにはなんとも気の毒なライヴ・ハウスだ。   (2011.12.10)

試聴サイト : http://www.soulsearchmusic.com/liveatdeannas.htm



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