独断的JAZZ批評 726.

RANDY PORTER
空白の8年?
"THIRSTY SOUL"
RANDY PORTER(p), JOHN WIITALA(b), TODD STRAIT(ds), REINHARDT MELZ(ds on
B,C,D,F,G)
2008年リリース スタジオ録音 (HEAVYWOOD MUSIC)


RANDY PORTERのアルバム・レビューはこれが3枚目にあたる。兎に角、2000年録音の"EIGHT LITTLE FEET"(JAZZ批評 124.)の出来映えが素晴らしく、後にリリースされた2003年録音の"BRIO"が霞んでしまうほどだった。"EIGHT LITTLE FEET"ではリリカルなバラードからグルーヴィな4ビートまでバラエティに富んだ選曲にも関わらず、どの曲でも強い印象を残した。それにひきかえ"BRIO"では、BOB MAGNNUSONから今回と同じベーシスト・JOHN WIITALAへのメンバー変更に伴いその強いドライヴ感とエモーションが減ってしまったのが悔やまれる。
この"THIRSTY SOUL"の録音年月は不明だが、2008年にリリースされているようだ。メンバーは"BRIO"の時と同じメンバーで5曲、残る8曲ではTODD STRAITがドラムスを担当している。

@"HI WIRE" CHICK COREAの曲。ピアノの音色が軽快というよりは軽い感じ。いわば、この1曲が象徴的である。ピアノの音数も多目だ。規定路線というか、予定調和的というか、スリリングな展開が期待できないオーソドックス過ぎる展開だ。
A"IT NEVER ENTERED MY MIND" 
R. ROGERSの曲。多分、前述した展開で最後まで行くのだろう。
B"SIGNED, SEALED, DELIVERED" WONDER作とあるので、STEVIE WONDERのことなのだろう。詰まらない演奏だ。ここまで迎合することはないね。
C"THIRSTY SOUL" PORTER自身のタイトル曲。かーるい演奏だ。
D"MEMORIA" 
E"ALONG CAME BETTY" 
今度はBENNY GOLSONの曲。何というかなあ?心棒がないんだなあ。ブレブレなのだ。
F"BOOMER-ANGST" 
G"CHEEK TO CHEEK" IRVING BERLINの曲。
H"HEY THERE" 
I"I WILL" 
今度はPAUL MACCARTNEYの曲。
J"IT DON'T MEAN A THING" 
D. ELLINGTONの曲。
K"THE SHADOW OF YOUR SMILE" 
JOHNNY MANDELの曲。
L"ART LETS A LIGHT BY" 


今のRANDY POETERは変調気味なのだろうか。それとも、これが実力?そんなことはないでしょう。"EIGHT LITTLE FEET"(JAZZ批評 124.)を聴けば、こちらが本当の実力と思いたくなる。この時からメンバーを変更しておかしくなってきた。一発目がすごく良くて、後が泣かず飛ばずということは世の中にままあることだ。POERTERの今もそういう陥穽に陥っている。空白の8年?とでも言いたくなってしまう。
全13曲のうち4曲がPORTERのオリジナルで、残りがスタンダードとカバー曲。多種多様のミュージシャンの曲が網羅されていて捉えどころがない。なんかPORTERの個性が殺されてしまった印象を持つ。逆に言えば、それだけ"EIGHT LITTLE FEET"の印象が強いとも言える。
このアルバムにはDVDが付属している。最初から観る気がないので、今もって観ていない。多分、買取に出すまで観ないだろう。最近はこうしたDVD付属のアルバムが散見されるが、付属しなくていいから、その分価格を抑えて欲しいね。音楽は観るよりも聴くに限る。   (2011.11.16)

試聴サイト : http://www.cdbaby.com/cd/randyporter12



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