オールラウンド・プレイヤーの印象もあるが、決して聴衆におもねるエンターテイナーではない
洗練された部分と泥臭い部分を併せ持つ楽しみなピアニストが現れた
"EIGHT LITTLE FEET"
RANDY PORTER(p), BOB MAGNUSSON(b), JOE LABARBERA(ds)
2000年スタジオ録音(HEAVYWOOD HW 7889J)

これも初めて聴くピアニスト。でも、これは優れものだ!
ドライブ感あふれる斬新な演奏あり、ブルージーな演奏ありで凄く楽しませてくれる。楽しませるといっても、いわゆる聴衆に迎合したエンターテイナーではない。ご安心を。

最近、5つ星を進呈したJOEL WEISKOPFやJOE CHINDAMO、AKIKO GRACEといった若手の瑞々しい演奏の中に加えたい1枚であり、何回も繰り返し聴きたくなる1枚でもある。
全12曲のうちEとHを除く10曲がオリジナルと意欲的なのもいい。同時に、なかなかのメロディ・メーカーでもある。

@"JIG WITH A PIG" いきなりのテーマがブラッキーだが、アドリブに入ると斬新な演奏。アップテンポの4ビートで今風の切れの良い演奏が聴ける。高音部から低音部までをフル活用。殊に、左手のバッキングに印象的なものがある。
A"A LITTLE KINDNESS" 一転して、軽やかな曲。曲の良さとアレンジの良さで印象的な1曲になった。
B"INSIDE YOUR MIND" これも美しい曲。どの曲もバラエティに富んでおり、才能の豊かさを感じる。ブラッシュワークも軽快だし、ベースのソロも良く歌っている。
C"CINDY LYNN" これもいい曲なのだ!一度聴くと頭から離れなくなる。どこかで聴いたことのあるような・・・。PORTERの奥さんに捧げた曲だそうだ。

D"GROOVE THING" Cまでの曲は優しく美しく軽やかだ。ところがどっこい、このピアニストの凄いところはこの曲から始まる。タイトルどおりのグルーヴィな演奏を聴け!
E"DO YOU KNOE WHAT IT MEANS TO MISS NEW ORLEANS?" 
F"SAVOR" Dと共にブルージーな曲だけどブルースではない。ベースとの絡みが楽しい。みんなで指を鳴らそう。満足、満足。
G"EULOGY" 

H"GIANT STRETCH" COLTRANEの"GIANT STEPS"をPORTERがアレンジした曲。装飾を省いた演奏で途中からバイテン(倍のテンポ)に移行する。
I"BE STILL" これも印象に残る曲。
J"EIGHT LITTLE FEET" タイトル曲。ワルツの美しい曲。ベースのソロもGOOD!
K"FIRST SNOW" 最後を締めくくるのも美しい曲。

バラエティな曲想が集まった。メロディ・メーカーとしての非凡さも感じるし、プレイヤーとしての感性も素晴らしい。なかなかのピアニストだと思う。オールラウンド・プレイヤーの印象もあるが、決して聴衆におもねるエンターテイナーではない。洗練された部分と泥臭い部分を併せ持つ楽しみなピアニストが現れた。「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。  (2003.02.28)


RANDY PORTER

独断的JAZZ批評 124.