HEINE HANSEN
いまから小さくまとまることはない
もっとアグレッシブで、もっと自己主張が強くっても良いと思う
"WHEN THE SUN COMES OUT"
HEINE HANSEN(p), JESPER LUNDGAARD(b), MORTEN LUND(ds)
2010年3月 スタジオ録音 (MARSHMALLOW RECORDS : MMEX-140-CD)


HEINE HANSENの参加しているアルバムは、今までに2枚紹介している。いずれも、ベースにJESPER LUNDGAARD、ドラムスにALEX RIELという豪華メンバーだ。1枚が2003〜4年録音の"WHAT HAPPENED ?"(JAZZ批評 273.)で、もう1枚が2005年録音の"THE HIGH AND THE MIGHTY"(JAZZ批評 450.)だ。いずれも、リーダーはドラムスのRIELだ。LUNDGAARD、RIELという歴戦の勇士のサポートを得てHANSENがどんな演奏をするのか興味が尽きなかった。結果、JAN LUNDGREN(JAZZ批評 433.)のようには行かなかったが、十分な素質を披瀝した。
このアルバムは、ドラムスにMORTEN LUNDという組み合わせで、しかも、リーダーはHANSEN、その人である。リーダーとなった今、果たして、思い切りの良い躍動感溢れる演奏を披露してくれるのだろうか?

@"TRUBBEL" 
兎に角、この1曲目。この出だしが素晴らしい。イントロなしにいきなりの4ビート。これが躍動感に富んで、実に気持ち良い。「どうだ?文句あっか?」みたいな潔い演奏に釘付けとなる。3者のバランスも良いね。ピアノ・トリオっていうのはベースとドラムスのサポートがしっかりしていると素晴らしいアンサンブルを奏でてくれる。LUNDGAARDの良く歌うベース・ソロに続くHANSENのブロック・コードがまた良い。文句なしのこのアルバムのベスト・チューン。
A"LOTUS BLOSSOM" 
KENNY DORHAMの書いた名曲。LUNDとLUNDGAARDのコンビネーションも良くて、それをバックにHANSENのピアノが楽しげに歌っている。
B"ARE YOU LONSOME TONIGHT" 
一転して、美しくて静かなバラード。
C"BOLIVIA" 
CEDER WALTONの書いた曲。ここではLUNDのドラミングに注目したい。このLUNDはどちらかというと配慮の利いたドラマーだったけど、最近はかなり自己主張するようになってきた。丁度良い塩梅だ。
D"SUMMER NIGHT" 
E"MINORITY" 
これも名曲。GIGI GRYCEの書いた曲。LUNDの軽快なドラミングに乗って4ビートを刻む。LUNDのスティック捌きが軽快さと豪胆さを併せ持ちよく歌っている。欲を言えば、HANSENのピアノがもっとアグレッシブなら良かった。
F"WHEN THE SUN COMES OUT" 
何といってもLUNDGAARDのベース・ワークが素晴らしい。役者だねえ。
G"MINOR UP BLUES" 
H"THE BOY NEXT DOOR" 
"THE GIRL NEXT DOOR"でなくて、"BOY"なのだ。
I"I SHOULD CARE" 
テーマに続くLUNDGAARDのベース・ソロが素晴らしい。まさに、LUNDGAARD健在なりを地でいった感じだ。

HEINE HANSENは1978年生まれというから、今年32歳だ。"WHAT HAPPENED ?"の録音時は未だ25歳前後だったから本当に若かった。
このアルバムではHANSENがリーダーで、ヨーロッパの重鎮、LUNDGARRD(1954年生まれ)とヨーロッパを代表するドラマー、MORTEN LUND(1972年生まれ)を従えている。だからといって、臆しているそぶりは見えないが、もうひとつ覇気がない。若いのだからもっと自由奔放に伸び伸びやれれば良かった。それが惜しい。いまから小さくまとまることはない。もっとアグレッシブで、もっと自己主張が強くっても良いと思う。   (2010.08.31)

試聴サイト : http://diskunion.net/jazz/ct/detail/MMEX140



 

独断的JAZZ批評 647.