LARSJANSSON
「LARS JANSSON、これにあり!」でいいのかも
"IN SEARCH OF LOST TIME"
LARS JANSSON(p), CHRISTIAN SPERING(b), ANDERS KJELLBERG(ds)
2009年3月 スタジオ録音 (SPICE OF LIFE INC. : SOL SV-0011)
LARS JANSSONは1951年生まれというから今年、58歳になる。スウェーデンに生まれ、7歳からピアノを始めたという。現代ヨーロッパを代表するジャズ・ピアニストと言っていいだろう。1999年に録音された"HOPE"(JAZZ批評 106.)などはいかにもヨーロッパ的色彩感覚のアルバムだった。美しいテーマと清々しくも軽快なスイング感に溢れたアルバムだった。
今回のこのアルバムでは、ベースが2008年からレギュラー・メンバーになったCHRISTIAN
SPERINGに代わっている。14曲という少々多すぎる曲数の全てがJANSSONのオリジナルとなっている。4分未満の曲が6曲もあるというのは少々いただけない。曲数を減らしても1曲あたりの演奏時間をもう少し増やして欲しいと思った。
今年はトリオ結成30周年ということで日本での記念コンサートも組まれているようだ。9月9日から12日まで大阪を皮切りに5つのコンサートが決定している・・・というようなことがアルバムのライナーノーツに1枚追加されていたので参考まで。
@"THERE IS BUTTERFLY IN MY ROOM" 1曲目。そう、これこれ!まさに、LARS JANSSONサウンドなのだ。美しいテーマに清々しいピアノのタッチ、そして、快いスイング感。「何か文句あっかー!」てな感じだね。
A"AT-ONE-MENT" この曲はピアノのイントロで始まる美しい佳曲。テーマに入ると一転して威勢の良い演奏となる。指でも鳴らしながら聴いて欲しい曲だ。
B"MIDSUMMER"
C"SILJAN WALTZ"
D"IN SEARCH OF LOST TIME"
E"SIMPLE SONG SIMPLE LIFE" きっと誰もが思うだろう。どこかで聞いたことがあるような・・・と。
F"ONE HAND CLAPPING" 抽象画、その1. フーン。
G"FISHERMAN"
H"GOD'S DELAY ARE NOT GOD'S DENIALS"
I"A RARE ITALIAN BIRD"
J"WHERE IS THE BLUES" 間合いの伸びた抽象画、その2. 兎に角、14曲と曲数が多いので、こういう演奏も入れないと一本調子になってしまうと考えたのかもしれない。Fもこの曲も最初からなくても良かった。
K"GODS WHO SHIT" このアルバム中、最もアグレッシブな演奏。このくらい弾き倒してくれるといいね。願わくば、こういう演奏をもう一つ二つ聴きたいと思った。
L"NEW ROOM" お手の物の美メロ・チューン。
M"HILDA" 同じくピアノ・ソロ。
僕は"HOPE"(JAZZ批評 106.)のレビュー時に「更に言えば、皆、美しすぎる。それぞれの曲が浮き立たないというのが欠点かも。もう少し、趣向の変わった曲が間に入ったほうがより美しい曲が引き立つというものだ。」と書いているが、今回は抽象画風の2曲が挿入されている。が、これは余分だった。むしろ、Kのようなアグレッシブな演奏をもっと聴きたいと思った。
最近、北欧の若手ミュージシャンの活きの良い演奏を聴くにつけ、ジャズはアグレッシブに躍動し、なおかつ、チャレンジ精神に溢れている演奏に心が躍るものだと再認識した。
LARS JANSSONの奏でる音楽は10年前の"HOPE"とそれほど大きな変化は認められない。今回もまた、美しくも清々しく軽快にスイングしている。多分、このスタイルは変わることがないと思うし、恐らく変えられないだろう。また、変える必要もないかもしれない。「LARS
JANSSON、これにあり!」でいいのかも。 (2009.07.11)
試聴サイト : http://www.lars.jp/cd-search.html