美しいテーマ+純真無垢な清々しさ+軽快なスィング感
"HOPE"
LARS JANSSON(p), LARS DANIELSSON(b), ANDERS KJELLBERG(ds)
1999年スタジオ録音 (IMOGENA IGCD078)

兄から拝借したCDの1枚。久しぶりにゆっくりと耳を傾ける時間が取れたので、再度聴きなおしてみた。ウ〜ン、これはいける。
KEITH JARRETT/STANDARDSのサウンド作りを彷彿とさせる共通点がある。STANDARDSを少し甘美にしたような・・・。

@"HOW DEEP IS THE OCEAN"。この曲だけがスタンダード・ナンバー。まさにKEITH JARRETT/STANDARDSの乗りなのだ。サウンド全体の持ち味も良く似ている。
A"THE TREE"。テーマがいい。この曲に限らずこのJANSSONのコンポーザとしての力量は素晴らしい。どの曲もまた聴きたくなる何かを持っている。
Bタイトル曲"HOPE"。このグループの真骨頂はこの曲を始めとするオリジナルにあるが、中でもこの曲の美しさは特筆に価する。美しいテーマが持っている価値を快いスウィング感とドライブ感で倍増させている。美しさを甘さだけに流れないところがいい。
D"WHY WAS I LEFT UNDER THE SKY" 
E"LIVING UNDER THE ROAD TO PARADISE" 両方とも曲のタイトルだけでひとつのイメージが出来あがる。
G"A LITTLE BLUES FOR YOU"。ブルースであっても泥臭くない。洗練されたブルース。
H"A BLISSFUL SMILE"。まさに「至福の笑顔」を思わせる美しい曲。アドリブはきちんと芯があって軽快なスウィング感に溢れた演奏。心に残る。

全編10曲、美しい曲のオン・パレード。
そんな中でも、タイトル曲"HOPE"の美しさは特筆に価する。更に言えば、皆、美しすぎる。それぞれの曲が浮き立たないというのが欠点かも。もう少し、趣向の変わった曲が間に入ったほうがより美しい曲が引き立つというものだ。この世界にも引き立て役というものが必要なのだ。
ともあれ、最近のヨーロッパ・ジャズの中にあっても出色の出来映えといえる。
ついでに付記しておくと、この手のジャケット・デザインは好きだ。これから奏でる音楽の素性が垣間見れて期待感が湧く。

このLARS JANSSONのピアノ・トリオは日本人の嗜好にあっていると思う。毒や灰汁は微塵もない。中には、こんな純真無垢な曲や演奏があっても良いだろう。
実にさわやかに清々しい気分にさせてくれる、買っても損はないと思う1枚。僕も購入を決めた。   (2002.10.22)


 LARS JANSSON

独断的JAZZ批評 106.