OAM TRIO
ベースが悪いと評点が辛くなってしまう(・・・本人にはそういう自覚はないのだが、友人たちにそう指摘されている・・・)のだ
"FLOW"
AARON GOLDBERG(p), OMER AVITAL(b), MARC MIRALTA(ds, cajon, tablas)
2000年12月 スタジオ録音 (FRESH SOUND : FSNT 136CD)

昨年末に紹介したアルバムにJORIS ROELOFSの"INTRODUCING JORIS ROELOFS"(JAZZ批評 523.)があるが、僕はROELOFSそのもの演奏にも感動したが、サイドメンとして参加していたAARON GOLDBERGのプレイにも興味を持った。そこでのGOLDBERGは目立たないけど良い仕事をしていると僕は思った。
そのGLDBERGがトリオで演奏したらどんな演奏をするのかという興味が沸々と沸いて来た。そして、"AARON GOLDBERG"で検索してゲットしたアルバムがこのアルバム。残念ながらネットでの試聴は出来なかったので「当たるも八卦」。
このアルバム、3人の頭文字を取って"OAM TRIO"と名乗っているのだが、やはり、最初の頭文字のOMER AVITAL(b)がリーダー的存在なのだろうか?

@"EQUINOX" 
3人のフリーのインタープレイで始まるが、やがて来る、ベースのソロでがっくりと肩を落とす。何故なら、ベースの音色がすこぶるチープなのだ。ブリッジを引くして弦を緩めにした弛んだ音色だ。大きな箱が共鳴している音色ではないので、ピックアップの設定に問題があるのかもしれない。これはテクニック以前の問題で、見事に僕の期待感は萎んでしまった。
A"MAO'S BLUES" 
この音色ではどんなにテクニックを見せ付けようと感動はしないだろう。最後にテンポ・アップして終わるが面白くないなあ。
B"SHIMI'S TUNE" 
逆説的に言えば、この2000年の録音から2007年の"INTRODUCING JORIS ROELOFS"の間にAARON GOLDBERGは長足の進歩をしたことになる。後半部に用意されているAVITALのベース・ソロは音程も悪く聴くに耐えない。加えて、ビリつき歪んだ音色はいかんともし難い。(腹の底ではヘタクソと呟いている)
C"THE SHADOW OF YOUR SMILE" 
アレンジに凝っているが、合間に入るベースのソロがいただけない。全然、箱が鳴っていないもの。
D"SAD AND BRIGHT" 
E"PUFF, THE MAGIC DRAGON" 
懐かしい!昔、中高校生の頃、PPMのフォークソングをよく聴いたものだ。
F"FLOW" 
G"CON ALMA"
 テーマに入るまでにフリーのインタープレイが1分以上続く。余分だ。

期待のGOLDBERGの演奏は取り立ててキラリと光るものも感じないし、ごく普通の出来だろう。

余談であるが、3月3日の東京、サントリー・ホール、BRAD MEHLDAU TRIOのコンサートに行ってきた。霙交じりの寒い夜だったが、ホール内は熱気溢れる素晴らしいコンサートだった。今更ながらに、MEHLDAU TRIOの凄さに感動したわけだけど、3者の緊密感、一体感、躍動感、美しさ、どれをとっても満足いくものだった。その中でも、僕が現代最高のベース・プレイヤーとして挙げるLARRY GRENADIERのベースは全身全霊をそのベースに託した素晴らしいものだった。このトリオにGRENADIERあり!と改めて思った。
GRENADIERと比較するのも何だが、このOMER AVITALのプレイは全身全霊とは言い難い。小手先で弾いている。
というわけで、僕はベースが悪いと評点が辛くなってしまう(・・・本人にはそういう自覚はないのだが、友人たちにそう指摘されている・・・)のだ。   (2009.03.07)

参考サイト : http://www.myspace.com/aarongoldbergmusic



独断的JAZZ批評 542.