これでは世の凡百の作品と変わらないではないか
トリオとしての一体感も躍動感もない
唯一、スローバラードにその片鱗が残っているのみ
BRAD MEHLDAU TRIO "ART OF THE TRIO,VOLUME 5 PROGRESSION"
LARRY GRENADIER(b),JORGE ROSSY(ds) 2000年9月 at VILLAGE VANGUARD

何故もこう詰まらない作品になってしまったのだろう?!
分からない・・・。
"VOLUME THREE" の美しさやトリオの一体感、あるいは"ELEGIAC CYCLE" のギンギンに迫ってくるピアノソロの迫力がまるでないではないか。一体、どうしたことか。
期待が大きかっただけにその失望感は大きすぎる。
トリオとしての演奏もバラバラ。ベースラインは陳腐で何の面白みもないし、ドラムスは全然乗りが悪いし、ドタバタ、ガシャガシャとうるさい。メルドーのピアノもかつての鬼気迫る迫力や凄みもなければ、人の裏をかくような意外性もない。
僕は我が耳を疑うばかりだ。
でも、もう少し耐えて聴き込んでみよう。

それから1週間・・・

ということで随分聴き込んだが、感想は第一印象とあまり変わらない。
兎に角、ドラムスが駄目だ。これが諸悪の根源と思わずにいられない。
"VOLUME 2" "VOLUME 4"も今回と同じVILLAGE VANGUARD"の録音だったが、このJORGE ROSSYというドラマーはライブになるとドタバタ、ガシャガシャと過剰にうるさくなる。特にシンバリングの音が悪い。
スタジオ録音ではある程度抑制されていて邪魔になるほどではないが、ライブではいただけない。録音技術の問題もあるかもしれないが・・・。

従って、このCDの中ではスローバラードの曲のみが唯一「聴ける」。何故なら、ドラムスがブラッシュをもっているからだ。スティックを持たせない方が良い。間違いなく!
僕の個人的意見としては、このトリオが更なる発展をするためにはドラムスを交代させるのもひとつの手だと思う。
ジャック・ディジョネットが叩くとどうなるのかと期待感が湧いたりするのだが・・・。。

最後に、不満だらけの2枚ぐみCDの中で、光明を見出すとすればCD1の3曲目 "THE FOLKS WHO LIVE ON THE HILL" と6曲面 "CRY ME A RIVER" のスタンダード・ナンバー2曲の出来は素晴らしいし、安心して耳を傾けることが出来る。     (2001.09.28.)



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BRAD MEHLDAU

独断的JAZZ批評 28.