じっくり腰を据えて聴きたいCDだ。
強力なリズムセクションにぐいぐい引っ張られていく。
PAT METHENY

PAT METHENY TRIO 9900
PAT METHENY(g),LARRY GRENADIER(b),BILL STEWART(ds) 1999年8月録音 

ベースのグレナディアは今をときめくブラッド・メルドー・トリオのオリジナルメンバー。ドラムのビル・スチュアートとは以前、ジョン・スコフィールドのグループでレコーディングをしている。

僕にとって、パット・メセニーはピアノ以外でよく聴く数少ないプレイヤーの一人だ。メセニーの音楽はロックだ、フュージョンだと言われるが、別にどのジャンルに属すのかなんていうことに興味はない。音楽として感性に響くものを持っているということだけで僕には十分だ。

“TRIO 9900” はスタジオ録音。じっくり腰を据えて聴きたいCDだ。トリオとしてのバランスも良い。ここでは、ベースのグレナディアとビル・スチュワートのリズムセクションが強み。強力なリズムセクションがぐいぐい引っ張っていく。乗せられてメセニーのギターも楽しげにスウィングしている。
11曲中8曲がメセニーのオリジナル。作曲という面でも非凡な才能を感じる。
この
CDの中で3,7,11曲目の3曲でアコースティックギターに持ち替えて演奏しているが、この時のメセニーは牧歌的な歌心を発揮する。このことは”beyond the Missouri Sky”独断的JAZZ批評 6.で紹介済み)のCDにも集約されている。
特に11曲目の "TRAVELS" は牧歌的な秀作。アコースティックのギターと相俟って、何ともいえぬメセニーの世界を創り出す。

TRIOLIVE
PAT METHENY(g),LARRY GRENADIER(b),BILL STEWART(ds) 
1999〜2000年ヨーロッパ・ツア録音

“TRIOLIVE” は文字通りのライブ版の2枚組。同じメンバーによる演奏だが、活き活きと活力のみなぎる演奏となっている。如実に表れる観客の反応はプレイヤーにダイレクト伝わり「乗り」になって返ってくる。2曲目のメセニーの十八番”QUESTION AND ANSWER”は20分にも及ぶ演奏だが、テンションが徐々に高まっていく過程がよくわかる。
2枚目のCDにはフリージャズが延々と演奏されるトラックがあるが、僕はパス。ご愛嬌と思いたい。やっている本人は楽しいかもしれないが、聴くべき音楽じゃないと僕は思っている。



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独断的JAZZ批評 8.