独断的JAZZ批評 332.


ERIC LEGNINI
このアルバム、「ごった煮」である
しかし、随所できらりと光る旨味を味あわせてくれる
"MISS SOUL"
ERIC LEGNINI(p), ROSARIO BONACCORSO(b:EXCEPT 1,2,12), FRANCK AGULHON(ds), MATHIAS ALLAMANE(b:1,2,12)
2005年9月 スタジオ録音 (LABEL-BLUE LBLC 6686)

当独断的JAZZ批評に初登場
ベルギーのピアニストだという。これも始めてかも。
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@"THE MEMPHIS DUDE" 
A"SUGAR RAY" PHINEAS NEWBORNの書いた曲で、ROY HAYNES 〜PAUL CHAMBERSのトリオ"WE THREE"の名演がある。
B"HOME SWEET SOUL" 

このアルバム、特にC以降Hまでがいいね。
C"FOR ALL WE KNOW" 
曲が素晴らしく良い!何の変哲もない演奏だが、こういうシンプルな演奏が「心に沁みる」ということはままあることだ。BRAD MEHLDAUの演奏(JAZZ批評 2.)もいいけど、こういうシンプルでナチュラルな演奏も捨てがたい。
D"JOGA" BJORKの書いた曲。ペーソスとエスプリに富んだ味わい深い演奏。この曲を聴いた時、フランス人ピアニスト、EDOUARD BINEAUの"IDEAL CIRCUS"(JAZZ批評 314.)が思い浮かんだ。所々で「暗いヴォイス?or 唸り声?」が入る。
E"HORACE VORACE" 
LEGUNINIのオリジナル。32小節の歌モノで、A/A'/B/B'形式。サビのB/B'の部分で快いスウィング感の4ビート演奏を刻む。
F"LA STRADA" 
この曲もペーソス溢れるテーマで、このピアニスト、作曲の方もなかなかだ。
G"MISS SOUL" 
8ビート演奏。
H"DAAHOUD" 
CLIFFORD BROWNの書いた曲で、アップテンポの4ビートを刻んでいく。ここでもLEGNINIのピアノのは流暢で淀みない演奏を披露している。演奏時間が3分30秒と短いのが惜しい。

I"PRELUDE TO A KISS" 
J"BACK HOME" 
典型的な泥臭いブルース。ベース・ソロではスキャット紛いにユニゾンで歌っている。実際、これは相当訓練していないと難しいと思うが、いとも簡単に歌っている(ように聞こえる)。ま、ご愛嬌というところだろうか。
K"LISBON STOMP" 
かつて、ALEX RIELの"WHAT HAPPENED ?"(JAZZ批評 273.)で、隠しトラックというのがあって、最後の曲の1分後にライナー・ノーツにも記載されていない"TEARS IN HEAVEN"がピアノ・トリオとは何の関係もないギター・カルテットで入っていた。今回の隠しトラックはピアノ・ソロ。敢えて、入れる必要もなかったと思うが・・・。

このERIC LEGNINIは1970年生まれというから今年、36歳。このアルバムは12年ぶりのリーダー・アルバムという。36歳というと、丁度、脂が乗り始めた年齢か。このアルバム、「ごった煮」である。美しいバラードからファンキーなブルースやボサノバ調まで、盛り沢山だ。色々演ってみたい年齢でもあるのだろう。そういう意味で統一感に欠けて散漫なきらいはあるが、随所できらりと光る旨味を味あわせてくれる。   (2006.04.09)