ATELIER SAWANO CONCERT 2005
"GIOVANNI MIRABASSI TRIO + FLAVIO BOLTRO"
GIOVANNI MIRABASSI(p), GILDAS BOCLE(b), LOUIS MOUTIN(ds), FLAVIO BOLTRO(tp)

"KIYOSHI KITAGAWA TRIO"
KENNY BARRON(p), KIYOSHI KITAGAWA(b), BRIAN BLADE(ds)
2005年12月3日 すみだトリフォニーホールにてライヴ

年末恒例の澤野工房の東京コンサートに行ってきた。MIRABASSIとBARRON、欧州と米州を代表する二人のピアニストが同時に堪能できるコンサートというのは有難い企画だ。
僕の失敗はチケットの予約が遅かったことだ。S席でありながら取れたチケットは2階席だった。これは最悪とは言わないまでも、もう、推して知るべしで、臨場感たっぷりのライヴとはいかないだろうと思っていた。
予約時点で倅と行くことにしていた。血は争えないもので、聴く前にテンションをあげようということになり、錦糸町をウロチョロ。やっと見つけた蕎麦屋に入って、生ビールの中ジョッキと焼酎の蕎麦湯割りを2杯飲んでいざ出陣。「ウン、テンション上がってきたぞ!」
やっぱり、ジャズはアルコールを飲みながら聴きたいのだけど、大きなコンサートホールではなかなかそうもいかない。呑めないなら、先に呑んでおこうとなった次第だ。

ハイテンションで聴くジャズが悪かろう筈はなく、MIRABASSIもBARRONも素晴らしい演奏だった・・・と、記憶している。2部のBARRONの演奏に移る前の休憩時間にワインを一杯グイッといった。最近はコンサートホールでもアルコール、販売しているんだあ!!

というようなわけだから、実に満足して帰ってきた。家に帰って、倅と今日のジャズを語りながら、今度は日本酒で一杯やった。ウ〜ン、満足な一日だった・・・。

おぼろげに残っている記憶を辿って、印象に残ったことについて少し触れておこう。
@先ず、最初の澤野工房社長の挨拶が良かった。純粋で朴訥な人柄が読み取れた。だから、良いミュージシャンを呼べるんでしょう。
A「ハウルの動く城」はペットを含むカルテットで演奏されていた。
Bほとんどの曲が"PRIMA O POI"(JAZZ批評 307.)からの選曲だった。
Cアンコールは"CARAVAN"だった。JAZZ批評 307.でグルーヴ感のあるブルースを聴いてみたいと書いたが、ブルースではないもののグルーヴ感のある"CARAVAN"だったので、願いが通じたようで嬉しかった。
D際立ったのはドラムスのLOUIS MOUTIN ! 良いドラマーだなあ!CDでは遠慮がちな印象が強かったが、良く歌うアグレッシブなドラミングが素敵だった!

E北川のベースはやはり音が良い!これって、基本中の基本で凄く大事なことだと思う。GILDAS BOCLEとは比べ物にならなかった。
F北川のベースはスナップが利いていてビート感もある。遠くから見ていると右手がまるで「タコの足が踊っている」ように見えた。実にしなやかな右手だ。これが強靭なピチカートを生み出すのだろう。
G澤野さんも言い直していたけど、今回の北川潔トリオは紛れもなく「ベース・トリオ」。やはり、ベースの弾き過ぎというのも考え物だ。ここは、「ピアノ・トリオ」であって欲しかった。
Hこのグループもドラムスが良かった。BRIAN BRADEのドラミングには刃物のような鋭い切れ味があった。前述のLOUIS MOUTIを「動」とすれば、BRADEは「静」だ。僕はBRADEに「学者」のイメージを重ねてしまった。
Iアンコールの"SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE"では素手でパーカッションのように叩いたり、マレットを使ったりと多彩なドラミングをみせていた。(そう言えば、MOUTINも素手で叩いていたけど、最近の流行りか?)

というような具合であったが、総じて、満足のいくコンサートであった。
欲深い僕が一点、注文をつけるとしたら、今回のコンサート会場は大きすぎると思う。せいぜい200名程度の小ホールなら更に数倍良かった筈だ。因みに、次回は武蔵野スイングホールで聴いてみたいと思ったものだ。   (2005.12.04)



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独断的JAZZ批評 310.