NajPonk
C〜Fの4曲が秀逸だ
答えはこの中にあった
"BALLADS BLUES & TRIO"
NAJPONK(p), ROBERT BALZAR(b), MARTIN SULC(ds)
1999年9月 スタジオ録音 (CUBE METIER MJCD 2528) 

ライナーノーツによると"NAJPONK"という名前は"JAN KNOP"を逆さ読みしたものらしい。チェコ(1993年にスロバキアとの連邦国家を平和裡に解消し、チェコ共和国として独立したそうだ)で活躍している若手のピアニストで、このアルバムはデビュー・アルバムにあたる。セカンド・アルバムは"AUTUMN IN NEW YORK"(JAZZ批評 236.)で既に紹介済みだ。これは素晴らしいアルバムだった。音数は少なめだが、心に響く和音の美しさと瑞々しさが印象に残った。その時とはベーシストが違うし、3年遡る1999年の録音だ。
タイトル通り、ブルースが@、B、G、Iの4曲で、残りがバラード&スタンダードという構成になっている。一聴してブルースと分かる演奏はそれなりにブルース・フィーリング溢れるものだが、このグループにはしっとりした曲想のバラードとかスタンダードの方がよく似合う。このことはセンカンド・アルバムの評価の高さを見ても分かる。心に沁みる和音の美しさを生かした演奏こそ、このグループにしか持ち得ないもので、真骨頂というべきものだろう。

@"FOR FUNKY TIMMONS(take2)" 単純明快なブルース。
A"AUTUMN LEAVES" ピアノの躍動感のあるイントロからドラムスが加わり、テーマが始まる。更に、テーマのサビの部分からシンバリングが快い4ビートを刻む。
B"BROTHER JOE NAJPONK" 

C"THE STREET OF DREAMS " VICTOR YOUNGの書いた佳曲。イントロからアドリブまで、こういう味わい深い演奏がセカンド・アルバムに繋がっていく。
D"WHAT A DIFFERENCE A DAY MADE" (DINAH WASHINGTONに捧ぐ) テーマから最後まで、心地よいスイング感が嬉しい。
E"YOU LOOK GOOD TO ME " (OSCAR PETERSONに捧ぐ) これも心地よいスウィング感に溢れた演奏。4ビートを刻むシンバリングとベースのウォーキングが気持ち良い。ピアノがPETERSONばりに軽やかに跳ねる。
F"WHERE ARE YOU" (FRANK SINATRAに捧ぐ) こういうしっとりとした曲想にはぴったりと嵌る。美しい和音の厚さが良い。音数は少ないけどしっとりして説得力のある演奏だ。

G"BLUES FOR MR. PV" ベースのウォーキングで始まるブルース。
H"YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS " スタンダードの名曲。
I"FOR FUNKY BOBBY TIMMONS(take1)" 
J"BOSSA DE LUXE" 以下、ボーナス・トラック。
K"CARELESS LOVE" 

最初にセカンド・アルバムを聴いてしまった不幸と言ってもいいかも知れない。逆に考えるとファースト・アルバムからセカンド・アルバムまでの3年間に大いに成長したグループといっていいだろう。グループとしてのアイデンティティーが確立されたのがセカンド・アルバムだと思う。深く、分厚い和音だけで聴かせてしまうというのはなかなか真似できない技だ。そこがセカンド・アルバムの良さであると言えるだろう。
このファースト・アルバムでは未だ試行錯誤の段階だったと思う。あれもこれもやってみたくて、実際、全てやってみたという感じなのだ。NAJPONK自身も進むべき方向性を考えていた時期だったかもしれない。そんな中で、
C〜Fの4曲が秀逸だ。答えはこの中にあったと思う。

蛇足だが、ジャケット・デザインが秀逸だ。このジャケットの街角からはJAZZの音楽が聞こえてくる。   (2005.09.17)



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独断的JAZZ批評 295.