STEFANO BOLLANI
どんな曲においても決して失わないドライブ感が満喫できる
"SMAT SMAT"
STEFANO BOLLANI(p, vo:E, M)
2003年5月 スタジオ録音 (LABEL-BLUE LBLC 6665) 

「manaの選ぶ2004年 PIANO・ALBUM BEST 4」に選定したJESPER BODILSEN "MI RITORNI IN MENTE"(JAZZ批評 210.)はピアノがこのSTEFANO BOLLANIだった。1曲目の"NATURE BOY"におけるバッキングは豊かなイマジネーションと表現力、それを裏付けるテクニックに満ち溢れていた。そのBOLLANIのソロ・ピアノ・アルバムだ。
録音時期もほぼ同時期の'03年の5月。前作から1ヶ月後の録音だ。このアルバムは小作品集とも言うべき比較的短めの作品集になっている。4分を超える演奏はひとつもない。それと各チューンがジャズのスタンダードやブルースなどの所謂、ジャズ・チューンと呼べる曲がほとんどない。昔、中学校の音楽の時間に習ったことのあるような気がする、そんな曲が多い。従って、ファンキー臭さやブルースフィーリングが溢れる曲はない。しかし、どの曲も充分グルーヴィでクールである。BOLLANI自身の書いた曲も5曲(
A、B、I、J、K)ほどある。


@"NORVEGIAN WOOD" J.LENNON & P.MCCARTNEYの書いた曲。最近では、JAZZ批評 234.のAKIKO GRACEがトリオで演奏している。BOLLANIの演奏は単に美しいだけの演奏に終わっていない。
A"LA VITA INTENSA" 躍動するピアノを聴け。
B"MR.O'MALLEY" 多重録音なのか同時録音か分からないがハーモニカを加えた演奏がシャンソンの雰囲気を醸し出している。
C"UGLY BEAUTY" T.MONKの曲。
D"PIERRE ET LE LOUP" 

E"IL MARE SI E FERMATO" ヴォーカル入り。哀愁を帯びた佳曲。
F"EL CHOCLO" 出だしはまるでクラッシク。ところが・・・。
G"DANZA DEL GAUCHO MATRERO" 音の洪水に暫し身を委ねよう!
H"DANZA DE LA MOZA DONOZA" 
I"GIROCONLON" 低音部をゴリゴリ弾き始めると・・・。

J"SOCIAL SMOKER" 
K"LA VITA OPEROSA" 
L"LET'S MOVE TO CLEVELAND" 切れ味鋭い演奏。
M"TREM DAS ONZE / FIGLIO UNICO" ヴォーカル入り。これだけのピアニスト、何も歌まで歌わせる必要もなかったと思うが。ピアノだけで十分に釣りがくる。

最初はどの曲も短めで何か食い足りない感じもしたが、繰り返して聴いているうちに充分な満足感を覚えるようになった。兎に角、ピアノが上手い上にイマジネーションが豊富で表現力も凄い。どんな曲においても決して失わないドライブ感が満喫できる。僕はぞっこんだ!参った!
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2005.01.30)



.

独断的JAZZ批評 249.