BRAD MEHLDAU
ピアノから発する巨大なエネルギーにぶっ飛ばされそうになる1枚
"SOLO PIANO LIVE IN TOKYO"
BRAD MEHLDAU(p)
2003年2月 ライヴ録音 (NONESUCH 7559-79853-2) 
                    
このアルバムは、とある街のレコード・ショップに入ったときに見つけた。そうだ!国内盤は2枚組みにして近々出ると聞いていた。そうすると、これはシングル盤だから輸入盤か

BRAD MEHLDAUも一時の迷いが消え、原点に戻りだした感じがする。前作(JAZZ批評 181.)"ANYTHING GOES"もなかなか良かった。あれから半年後の2003年2月のSUMIDA TRIPHONY HALLにおける東京ライヴだ。音響が如何にもコンサート・ホールといった感じの残響と奥行きのある録
音となっている。
このピアノ・ソロは凄いぞ!

                             
@"THINGS BEHIND THE SUN" トレイにCDを載せた瞬間に始まるワクワクドキドキ。こういう躍動感溢れる演奏はぐぐっと引き込まれてしまう。しかし、ここで驚くのはまだ早い。この後、曲が進むにつれて、さらに圧倒的な迫力を持って迫ってくるのだ。

A"INTRO" Bへのイントロ。
B"SOMEONE TO WATCH OVER ME" 切なく美しいGERSHWINの曲。MEHLDAUはスローな曲ほどそのピアノ・スタイルに合っている。僕は「間(ま)のピアニスト」だと思っている。演奏の合間に見せる「間」がこのピアニスト独特のもので、これこそがこのピアニストの個性だと思う。

C"FROM THIS MOMENT ON" COLE PORTERの曲。急転直下、激しい演奏に変わっていく。
D"MONK'S DREAM" ブルージーなテーマの曲はこんな風に料理してみました!と。
E"PARANOID ANDROID" ある時はせせらぎに身を浸し、ある時は音の洪水に身を任せる。我、痺れ、我、唸る!

F"HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON?" これもGERSHWINの手になる曲。左手の刻むコードが何とも言えず良いんだなあ。
G"RIVER MAN" 5/4という変拍子を事も無げに、なおかつ、違和感なく消化してしまうところが凄い。5拍子の躍動感と美しさに溢れている。

ピアノから発する巨大なエネルギーにぶっ飛ばされそうになる1枚。これだけのパワーを感じるアルバムはそうそうあるものではない。多分、2枚組みの国内盤を購入しても正解だろう。このライヴに立ち会った人こそ一番の幸せものかもしれない。
豊かなイマジネーション、溢れる躍動感と緊迫感、そして美しさを兼ね備えた興奮の1枚だ。

「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。   (2004.09.12)



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独断的JAZZ批評 219.