まさにジャズの奥義を知り尽くしたピアノ・トリオ
"KEITH JARRETT TRIO"
KEITH JARRETT(p), GARY PEACOCK(b), JACK DeJOHNETTE(ds)
2004年4月27日 東京厚生年金会館にてライヴ


このコンサートのチケットを手に入れたのは1月の中旬だったと思う。既に、ほとんどの席が売り切れており残りは僅かだった。KEITHのトリオの人気振りが分かると言うものだ。S席で1万円。ここが迷うところで、CDの5枚とどっちが良いか。今回はコンサートを取った。恐らく、日本でKEITHのトリオをナマで聴ける機会はそう多くはないと踏んだからだ。
息子を誘って行ってみた。今までにも、CHICK COREA、BRAD MEHLDAU、小曽根真のライヴに一緒に行ったことがあるが、それ以来、久しぶりのコンサートだ。
チケットを手に入れた時点で、コンサートは始まっている。僕のテンションは日が経つにつれてどんどん上がってくる。そういうテンションの高さも音楽を聴くことの一部と言える。勿論、開演前に一杯、アルコールを流し込むことも忘れていない。ライヴというのはその場の雰囲気、拍手、照明など全てのものが一体となってひとつの音楽を組み立てていると思う。だから、後から発売されたCDを聴くのとは次元がまるで違うことになる。

パンフレットによれば
KEITH JARRETT:1945年生まれ。当年、59歳になる。
GARY PEACOCK:1935年生まれ。なんと、69歳だったとは!
JACK DeJOHNETT:1942年生まれ。いつの間にか62歳だ。
"STANDARDS.VOL..1"を録音したのが1983年というから、足掛け20年以上もトリオを組んできたことになる。
前回作"UP FOR IT"(JAZZ批評 135.)の延長線上にあるスタンダード・ナンバー中心の演奏だった。

今や、このピアノ・トリオは完成度の高さや音楽に対する真摯な姿勢で、歴代のピアノ・トリオの中でも屈指のトリオだと断言できる。その素晴らしさは言うに及ばない。KEITHのピアノは美しさと躍動感に溢れ、PEACOCKのベースは硬く引き締まってビート感に溢れ、DeJOHNETTのドラムスは躍動感と隅々に行き届いた配慮を見せつけてくれた。
卓抜な技量と豊かなイマジネーション、そして3者の美しい調和が心を揺する。
まさにジャズの奥義を知り尽くしたピアノ・トリオと言えるだろう。
                      
一切のスピーチや紹介もなしに全9曲を歌い上げた。そのうちの5曲が以下の通り。
@"ON GREEN DOLPHIN STREET" 
A"ALL THE THINGS YOU ARE" 
B"NOW'S THE TIME" 
C"SOMEDAY MY PRINCE WILL COME" 
D"BYE BYE BLACKBIRD"  

ひとつ難点を上げれば、会場の音響が良くなかったこと。もっとも、1階の最後尾という席だったので、仕方のない面はあったが。もっと早くチケットの手配をして最前列の席を買い求めるべきだった。
理想的には"BLUE NOTE TOKYO"などのライヴ・ハウスで聴くことが出来れば最高だが、この人の人気を考えると難しいのかもしれない。   (2004.04.28)

<後日談>
その後、主催元のkoinuma.musicで確認すると全10曲の曲目が・・・・全10曲?9曲のハズでは?なんと、アンコールが2度あったようで、僕はアンコール1度目で席を立ってしまったらしい。最後に名曲"WHEN I FALL IN LOVE"が演奏されたらしい・・・・・グスン!   (2004.04.30)



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KEITH JARRETT

独断的JAZZ批評 196.