録音当時、73歳のROY HAYNESの演奏に脱帽!
"THE ROY HAYNES TRIO"
DANILO PEREZ(p), JOHN PATITUCCI(b), ROY HAYNES(ds)
1999年11月 スタジオ録音 (TRACKS @〜E)、1999年9月 ライヴ録音 (TRACKS F〜I) 
(VERVE 543 534-2)

ROY HAYNESというドラマーは1926年生まれというから、現在、78歳。録音時で73歳ということになる。ジャズ界にあっては60、70歳は当たり前。40、50歳は洟垂れ小僧?ナンやらどこかの国の政治の世界のようだ。年取るごとにかくしゃくとして、力強いドラミングが強度を増しているかのようだ。
このドラマーは、僕にとっても忘れることの出来ないドラマーだ。ジャズにのめり込むきっかけとなったCHICK COREAの"NOW HE SINGS ,NOW HE SOBS"(JAZZ批評 1.)で太鼓を叩いていたのがこのHAYNES。今回のアルバムでも、センシティブでありながら大胆さも併せ持つドラミングを披露している。

ベースは同じく、一時期、CHICK COREAとトリオを組んでいたJOHN PATTITUCCI。このベーシスト、通常、弾き過ぎの嫌いがあるが、ここではHAYNESに気を使ったのか少し遠慮が見えて、塩梅が良い。
ピアノにはDANILO PEREZ。派手さはないが、勘所を押さえており、打楽器的な演奏に注目したい。

このアルバムはスタジオとライヴの2つのセッションから成っている。        
       
THE STUDIO SET
@"WAIL" BUD POWELLの曲。
A"QUESTION AND ANSWER" 
PAT METHENYの曲。同名タイトルのPAT METHENYのアルバム(JAZZ批評 27.)でもROY HAYNESが参加しており、ストレート・アヘッドな完成度の高い演奏を披露している。今回のこのアルバムでも力強いドラムスと太いベース、切れのあるピアノが躍動する。
B"SHULIE A BOP" 
ブラッシュ・ワークが見事。
C"DEAR OLD STOCKHOLM" 
ここでも主役はドラムスだ。

D"IT'S EASY TO REMEMBER" 
3人のアンサンブルをじっくりと聴き込みたい。ベースもドラムスもピアノも実に心地よい。こういうのには弱いね。参った。
E"FOLK SONG" 
CHICK COREAの曲。踊るスティック。

THE LIVE SET
F"SIPPIN' AT BELLS" 
MILES DAVISの曲。ベースとドラムスのインタープレイが繰り広げられる。その後、ピアノも入ってアップテンポの演奏に。
G"BRIGHT MISSISSIPPI" 
THELONIOUS MONKの曲。
H"PRELUDE TO A KISS" 
DUKE ELLINGTONの曲。Dやこの曲のようなスローバラードの方が3人の持ち味が生かせるようだ。
I"GREEN CHIMNEYS" 
T. MONKの曲。長めのドラムス・ソロが続くが、これが良い。見事なドラミングをじっくりと堪能いただきたい。ファンキーな味のある演奏。3人のインタープレイも凄い!ライヴで聴いたらもっとゾクゾクすること間違いなし。

ROY HAYNESが過去にゆかりのあったプレイヤーの曲を選び、その人たちに捧げた演奏曲集。当時、73歳の演奏に脱帽!   (2004.04.25)



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ROY HAYNES

独断的JAZZ批評 193.