家に帰るのももどかしく、着くやいなやディスクをトレイに載せた
溢れる満足感!ふーっと深い溜息をついた・・・
"THE JOY OF STANDARDS VOL.2"
JOE CHINDAMO(p), MATT CLOHESY(b), DAVID BECK(ds)
2002年スタジオ録音(ATELIER SAWANO AS 026)

出張で仙台に行っていた。仕事の後に立ち寄ったHMVで試聴した1枚。@とAの2曲を試聴して、これは絶対イケルと確信した。特に誰もが知っているA"MY FAVOURITE THINGS"のダイナミズムと斬新なアイディアに痺れた。
兎に角、何回も聴いてみたいと思った。迷わず購入を決めたが、CDプレイヤーを持っていなかったので聴くすべがない。仕方なく、出張帰りの池袋で購入した。家に帰るのももどかしく、着くやいなやディスクをトレイに載せた。
溢れる満足感!ふーっと深い溜息をついた・・・。

JOE CHINDAMOというピアニストの名前を僕は知らない。タイトルを見ると"VOL.1"が既に発売されているようだ。この人、オーストラリア人らしい。そう言えば、巷にはびこるヨーロッパ・ジャズとは一線を画している。逞しさとダイナミズムがある。歯切れも良いし透明感もある。実に、いい気分にさせてくれる演奏だ。

@"TRICOTISM" 32小節の歌モノ。先ず、テーマが面白い。ピアノの低音部とベースのユニゾンで始まる。透明感のあるクリアなピアノがスウィンギーに歌っているし、なかなか小憎らしい弾き方をする。ブラッシュ・ワークも軽快だ。
Aワルツの名曲"MY FAVOURITE THINGS" 3者が一体となった躍動感が素晴らしい。僕の採点基準である「美しさ」「躍動感」「緊迫感」を全て満たしている。アップテンポの3/4拍子でアドリブも展開されるが、ドラムスが豪快にしてセンシティブ。なかなかいいドラマーだ。
B"MR.BOJANGLES" 美しいテーマの曲。甘さだけに流れずメリハリの利いたスウィンギーな演奏だ。これもお奨め。

D"PARIS IN APRIL" CHIDAMOのオリジナル。ボサノバ調の軽快なリズム。軽いだけでなく芯がとおった硬さがある。
E"ZINGARO" ANTONIO CARLOS JOBIMの曲。少し重たいボサノバで・・・。

G"APRIL IN PARIS" 美しいスタンダードをメリハリの利いたテンションの高さで料理した。
H"IT WAS A VERY GOOD YEAR" 重く暗いバラードに澄んだピアノの音。
I"THREE VIEWS OF A SECRET" エレキ・ベースの天才、JACO PASTORIUSの曲。最近では、山中千尋が"WHEN OCTOBER GOES"(JAZZ批評 113.)の中で演奏している。ここでも歯切れのよいピアノ・タッチが聴ける。
JTHELONIOUS MONKに捧げた"MONK BUSINESS"
K"BALLAD OF THE SAD YOUNG MEN" 最後の曲はピアノ・ソロ。DEEP & NATURAL。
この曲も何回も繰り返し聴きたくなる。

このピアニスト、透明感のあるクリアなタッチに好感が持てる。スウィンギーな部分やダイナミズムも同時に持ち合わせていて、なかなかいい作品に仕上がった。特に@、A、Bは「美しさ」「躍動感」「緊迫感」を3拍子備え合わせており、繰り返して聴きたくなる。
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。                    (2003.01.18)


JOE CHINDAMO

独断的JAZZ批評 118.