そう、いつも「当たり」ばかりとはいかない
こういうこともJAZZ・CD購入の楽しみの一つだ
"MY ROMANCE"
THOMAS FINK(p), JOHANNES FINK(b), HEINRICH KOBBERLING(ds)
2003年1月 スタジオ録音 (ATELIER SAWANO AS 033)

先日、会社帰りのHMVで試聴できたピアノ・トリオ・アルバムというと
@HARVEY MASON "WITH ALL MY HEART"
ATHIERRY LANG "REFLECTIONS 1"
BANDERS PERSON "IN PERSON"
CERIC LEGNINI "ANTRAIGUES"
DNATHALIE LORIERS "WALKING THROUGH WALLS ALONG WALLS"
という具合だ。沢山のピアノ・トリオの中からわずかな試聴時間で4.5★以上の作品を見極めるのはなかなかの難題だ。以上の5つのアルバムは購入までに至らなかったがこの選択は正しかっただろうか?

今回掲載のこのアルバム、ジャケットがBILL EVANSの"WALTZ FOR DEBBY"をパクッた感じで良い印象を持っていなかった。タイトルといい、いかにも、EVANSにあやかって「売り」を取るような作意が嫌だった。手ぶらで帰るのも何だし、試聴に金がかかるわけでもないのでちょっと耳に当ててみた。POPに書かれた紹介文とはちょっと違うなと思った。

最近はレコード店の試聴システムが当たり前になってきて、試聴を前提としたアルバムの構成が目立つ。即ち、先ず、1曲目にベスト曲が配置されることが多い。確かに、試聴するとなると誰でも先ずは1曲目を聴いてみるものだ。僕の場合は、それに加えてスタンダード・ナンバーなどの知っている曲を試聴するようにしている。それでも、その演奏に引きつけるものがなければ魅力的なアルバムとは判断しない。

@"MY ROMANCE" イントロからインテンポになるあたりからスウィンギーな演奏になり、ドラム・ソロを経て倍のテンポに移る。
A"ON B.R.CENTRE" どこかで聴いたことがあるような・・・。BERNDT EGERBLADH(JAZZ批評 140.)が好みそうなFINKのオリジナル。
B"IF I SHOULD LOOSE YOU" 頭からリズム陣の図太い4ビートで始まる。後から入ってくるピアノの高音部がお洒落。この曲を聴いて購入するのを決めた。誰でもこれを聴いたら指を鳴らしたくなるに違いない。

C"MY FOOLISH HEART" EVANSの定番曲が揃った。
D"GROOVIN' AT LANG'S PLACE" FINKのオリジナル。短め。
E"TDI BLUES" 
F"AUTUMN FEELING" 
G"TOM'S WALTZ" A、D、E、F、GがFINKのオリジナルだが、どの曲もあまり面白いとは言えない。

H"MOON RIVER" これじゃあムード音楽だ。
I"ALL THE THINGS YOU ARE" テーマはかったるいけどインテンポになってからは良い。FINKの息子がベースを弾いていて長めのソロが配置されている。親子で演奏なんて楽しいだろうな。
J"BLUE BASSA" KENNY DORHAMの名曲。短めなのが残念。
K"BASIN STREET BLUES" ミディアム・テンポで泥臭く。
L"TURN OUT THE STARS" 

試聴の上で購入をしたのだが、@とBが楽しめるものの4.5★以上の点数はつけられない。そう、いつも「当たり」ばかりとはいかない。こういうこともJAZZ・CD購入の楽しみの一つだ・・・と負け惜しみを言ってしまった。   (2003.12.01)



THOMAS FINK

独断的JAZZ批評 166.